PURGEー87 旅館!!
道場にて入間による一方的な攻防が行われ、情報を聞き出している最中。騒動とは縁もない豪勢な旅館の中に、精道の姿はあった。彼は布団が敷かれた和室の中で胡坐をかき、ここでもお菓子を口に運んでいる。
何処か精道が楽しみそうにソワソワとしていると、襖の先から声が聞こえて来た。
「音尾です」
「おお、入れ」
許可を受けた音尾は礼儀正しく扉を開け、精道とは反対に道着をしっかり着込んだ姿で寝室に入って来た。精道は彼女の道着ですら隠しきれていないボディを目に収めつつ、問いかけた。
「俺が指定した服は、着てきているんだろうな?」
「……はい」
音尾は何か躊躇いを感じさせるような様子で一言返した。
これを見た精道は、音尾の心にはまだ迷いがある事を察し、自分の邪な思いは隠して話をする。
「いいか音尾。これは『御伝流』の今後を左右する重大な事なんだ。俺とお前、二人が手を取り合う事によって、御伝流の危機は救われる」
「はい、分かっております」
「ならば、やる事は決まっているはずだ」
手を震わせている音尾に、精道が追撃ばかりの言葉をかける。
「なあに、別に何かを失う訳じゃないんだ。これで皆が救われる」
「皆が……私の気持ち一つで……」
(春山君……)
黒葉への思いは拭い切れない。それでも音尾は、これは自分が共に道場で関わって来た皆のためだと、自分を納得させた。
精道は口元をにやつかせ、音尾に指示を出す。
「それじゃあ、道着を脱いでもらおうか」
「……はい」
音尾は返事と共に息を吐いて手の震えを抑えると、道着の帯に手をかけ、結び目をほどき始めた。
黒帯が畳に落ちていき、次に音尾は形が崩れた道着を掴む。ゆっくりとめくる様に道着を動かした。
めくられた道着の内側から現れたのは、音尾のEカップはあるであろうバストの、その微かな部分だけを隠しているマイクロビキニだ。
ほんのわずかにしか体を覆っていない紫色の布地は、下手な脱ぎ切った状態よりも扇情的に精道の目に映っていた。
「いいねぇ、それじゃあ、下も」
「……」
精道は音尾の腰回りの布地に目を向ける。音尾は恥ずかしさから上がる心拍を感じつつ、両手で下の道着の端をそれぞれ掴み、下に下げ始めた。
「ほほう!」
精道の欲望が声となってこぼれてしまう。
正直なところ、音尾は精道が『御伝流』の未来のことなど考えていない事は分かっていた。それでも今の彼女、というより門下生達は、彼に頼るしかない状況に立たされていたのである。
音尾は悔しさを浮かべつつも、腰回りの道着を下に下げ、ついに足を引き抜いてしまった。
音尾の腰回りには、こちらにも胸周りと同じように布面積がほとんどなく、裏側など、お尻の肉がそのまま露出させられている。
照明に肌が照らされる今の音尾の格好は、普段の凛としてクールな雰囲気をしている彼女とは雲泥の差がある。まるで敵に負けてしまった高貴な騎士が、敵の脅しに屈して肌を晒されているかのようだった。
精道は恥ずかしそうに縮こまる音尾の様子に、鼻息を荒くしてそそられた。
(おっほほ! 実際に脱がせてみると想像以上の身体だな! 出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。まさに極上だ)
精道は口元から涎を垂らしかけてしまい、それを誤魔化そうと舌なめずりをする。気持ちの悪い音に音尾の顔が一瞬青くなると、そんな彼女に精道は次の指示を出した。
「さあ、こっちに来い」
「……はい」
音尾は、内心でどれだけ嫌悪感を感じていても断ることは出来ない。皆の為だからと自分に言い聞かせ、彼女は精道の元に足を進めた。
「隣に座れ」
精道の指示に、音尾は彼のすぐ左隣にまで移動すると、ここでも礼儀良く正座をした。
精道は近くに来たことでより細かく見て取れる音尾のボディを凝視し、目で味わっていた。
(近くで見れば尚凄いな! 道場に入って来た時はちんちくりんのガキでしかなかったコイツが、ここまで上玉になり、今俺のものになろうとしている。
アイツがいなくなったおかげで、いい甘い汁が味わえるようになったのは感謝だな!)
精道は左手を伸ばして音尾の肩を掴み、彼女を抱き寄せた。動かすたびに今の音尾はその実った果実を揺らし、その魅惑をより強調させていった。
「それじゃあ……さっそく……」
精道は空いていた右手を伸ばし、音尾の胸に近付ける。音尾は見たくないとばかりにそっぽを向くと、精道の乱暴な右手が彼女の左の果実を掴んだ。
「クッ……」
精道の乱暴な手つきに形を変形させられる音尾の胸。精道は手の力の入れ具合で元に戻っていく魅惑の果実に、もはや涎を隠すことなく垂らしてしまっていた。
「いいな、いいなこれは! ああ、テンションが上がる! もういいか? 俺も我慢出来なそうだ!」
精道は胸を掴む右手はそのままに、左手で音尾の顎を掴み上げて自分の顔と無理矢理目を合わさせた。
「こうなったら、結婚前に誓いのキスも済ませてしまうか。いいだろ? 俺達はどうせ夫婦になるんだからな!」
もはや音尾に返答を言わせる間もなく、強引に彼女の顔を自身の顔に近付ける精道。
音尾は抵抗することは出来ず、眼を背けたいとばかりに目を閉じてしまった。
音の脳裏には、自分が我慢すればならないという思いを強めようとする。しかしその奥に、どうしてもぬぐい切れない思いがあった。
(春山君……)
そして二人の唇が重なろうとしたその時、突然部屋の襖が枠から外れて倒れ、大きな音を立てた。
「何だ!?」
精道が振り返り、音尾が目を開ける。そして彼女は目にした人物に、自然の瞳から涙がこぼれてしまった。
「春山……君……」
部屋に飛び込んできたのは、道場にいたはずの黒葉だったのだ。




