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PURGEー76 久しぶり!!

 団体戦第二試合が終了し、黒葉と信乃はレニが敗北したことに驚いていた。


「レニが負けた」

「惜しい、後少しだった」


 悔しがる二人にレジアは自慢げに腕を組みながら口を開く。


「フフフ、さすがはシャウ。私の予想通り、勝ちましたわね! まあ、貴方達のところの隊員さんも奮闘したとは思いますが、やはりシンプルイズベストはそう中々突破できませんわね」


 これで両者一対一。決着は次の第三戦、小隊長同士での戦いに賭けられることになった。

 信乃は自分の胸に手を当て、緊張を少し和らげようとする。黒葉はそんな彼女の様子を見て声をかけようとした。

 

「信乃さん……」

「大丈夫だよ黒葉君。私、勝って来るから」


 振り返って笑みを見せた信乃。黒葉はそれでも何処か彼女から不安をぬぐえない部分もあったが、さっきの女性陣の様にハグをすることは出来ない。

 せめてできることはこれだけかと一瞬下唇を咬み、声を挙げた。


「俺、応援しか出来ないけど! その分祈ってる! 信乃さんの、森本小隊の勝利を!」


 黒葉の不器用ながら真っ直ぐな優しさに、信乃は何処か硬かった笑顔が少しやらわからくなった。


「はい!」


 二人が少しいい雰囲気を醸し出している中、蚊帳の外に置かれていたレジアが機嫌を悪くしたのか、わざと間に入って口を挟んできた。


「ここで話をするのも良いですけど、さっき戦ってくれた隊員さんに声を賭けに行くのも大事ではないですか?」


 それを言われ、黒葉と信乃はレニの元に行かなければと走り出す。ところが黒葉はそのまま走っていく中、信乃はレジアに腕を掴まれて止められてしまった。

 転倒しかけた体制をどうにか戻す信乃に、レジアが意地悪く笑いながら声をかける。


「貴方が行くのはもう少し待った方が良いですわ。その方が、面白いものが見れますので」

「面白いもの?」


 レジアの含みのある問いかけに気になる信乃。するとレジアはそのまま自分のペースで語り始めた。


「大方貴方達は、この団体戦を持ち掛けたのは私だと思っているのでしょう?」

「違うんですか!?」

「ええ、この団体戦。確かに発端は私が春山隊員と会った事ですわ。ですが、場を作ったのは私ではない」


 信乃はレジアの話が気になって足を止めて聞く態勢に入った。レジアもこれを楽しそうにして話を続けた。


 一方、信乃を置いていったことに気付かないまま、黒葉は担架で運ばれていくレニに追いついた。残念な事に彼女は気を失ったままで、会話をすることは出来ない。

 ならばせめてもと、黒葉は彼女に力強く励ましの声をかけた。


「レニ! よく頑張った! 本当に凄かった! 俺、応援しか出来ていないけれど……お前の戦い、かっこよかったぞ!」


 レニからの返答はなく、そのまま運ばれていった。


「レニ……」


 レニを心配する黒葉。ふと気持ちが沈んだ彼は、ここで初めて一緒に来ていたはずの信乃の姿がない事に気付いた。


「あれ? そういえば信乃さんは?」


 周りを見ても信乃はまだ来ていない。急ぐばかりに置いてきてしまったのかもしれないと思った黒葉は、来た道を戻っていくことにした。


 そんな中、この場に近付く足音が聞こえてくる。黒葉は信乃が追い付いて来たのではないかと思い、振り返った。


「信乃さん。ごめん、試合前に急がせるようなことしちゃって……って、あれ?」


 黒葉が振り返って見た人物は信乃ではなく、相手方の小隊長『木花(このはな) 音尾(ねお)』だった。白い道着を纏い、腰には太刀を携えている。


「こ、木花隊長?」

「春山……黒葉……」


 黒葉は予想外の相手が現れた事に驚いていたが、音尾の方も同じく、目を丸くして驚いていた。

 少しの間沈黙が流れたが、黒葉が我に返り、遜った。


「ああ、すみません。俺、信乃と勘違いして」


 面と向かって話をするのは初めてだからと、丁寧な口調で話をする黒葉。しかし音尾からの返事はなく、黒葉は次の言葉に戸惑ってしまう。


「あ、あの……俺……」


 黒葉がどうにか会話を続けようと言葉を考えていたが、ここで音尾の方が口を開いた。


「……やっぱり、そうだった」

「え?」


 小さな声で聞きとれなかった黒葉。耳を澄まして聞き取ろうとする黒葉だったが、次の瞬間、音尾は正面から飛び込み、抱き着いて来た。


「うおっ! エッ!?」

「やっと会えた! 春山君!」

「え? ちょっと……って、俺に触れたらまずい!」


 黒葉が声を上げて突き放した時にはもう遅くかった。音尾が着ていた道着は帯が緩み、そのままずり落ちていった。Eカップ程の見事なバストに、鍛えられた美しい素肌が晒されていく。


「あぁ! やば……」

「私の事、覚えてない?」

「え?」


 音尾が唐突に溢した台詞に、黒葉は閉じかけた目を反射で開いてしまった。目の前の美女のボディラインを見物してしまう形になる。

 だが黒葉が目を奪われたのは、音尾の豊満なバストでも、引き締まったウエストでもなきう、腰回りに一枚残ったショーツだった。

 デフォルメされて描かれた猫のイラスト。黒葉はこれに、一つ覚えがあった。


「その下着……」


 視線を上に上げる黒葉。改めて目にした音尾の顔は、潤んだ瞳ながら嬉しそうな表情。この顔付きにも、覚えがあった。


「貴方……いや、君まさか!」


 音尾は胸に手を当て、心から喜んだ様子で答えて来た。


「良かった、思い出してくれた! そう、私だよ。小学校時代、クラスメイトだった『木花 音尾』!

 本当に、久しぶり!」


 木花小隊の小隊長『木花 音尾』は、黒葉の小学生時代のクラスメイトにして、彼の『分解(パージ)』の最初の被害者の少女だったのだ。

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