PURGEー65 爆発!!
レジアの通信が長引く中、一人ベンチに座っている黒葉が休憩してしていた。テンションを上げて楽しんだものの、結果的に先日も休日出勤をしていた彼にはかなり疲労が出ていた。
「フゥ……やっぱり疲れているなぁ……にしても思っていたより長い電話だなぁ。一体何の話をしているんだろう?」
などとふと考えているとき、突然黒葉の通信機の元に着信音が鳴り響いた。すぐに彼はデバイスを取り出して着信に出ると、通信をかけてきたのはクオーツだった。
「どうも春山隊員。もしかしてですが今日は私がチケットを上げたテーマパークに行ってませんか?」
「え? ああはいそうですけど」
黒葉が貴方がチケットをくれたからではと当然に思っていると、次にクオーツから聞いた内容に大きく顔を歪めた。
「偶然なのですが、貴方が今いるテーマパークに、金品目当てに各地を襲撃する強盗グループが潜入したという情報が入りまして」
「ハイッ!!?」
黒葉はまたしても休日に犯罪者を相手しろという指令だ。流石に連続でこんな事態になるのは嫌だと言いたい顔になる。当然声には出さなかったが
「嫌だと思ってもやってもらいますよ。幸いそちらには今もう一人隊員がいるみたいですのでそちらの方とご協力を……」
「その隊員って、どちらに……」
ところが会話の最中、黒葉の耳に大きな音が聞こえてきた。音が聞こえてきたのはレジアが歩いて行った方角。顔を向けて見たのは派手な爆発だった。
「あ~隊長……」
「どうかしましたか?」
「いや……その事件、思っていたより早く解決するかもしれません」
黒葉が人々が逃げていく中爆発箇所に向かっていく最中、当の現場では五人程の男達のグループが既に倒れており、レジア一人が立って息をついていた。
「フゥ……せっかくのプライベートが台無しです」
「レジア!!」
「黒葉さん!」
黒葉はレジアの周りに倒れている人達の周りを見てこれを彼女一人でやったのかと驚いた。
「君、やっぱり次警隊の隊員?」
「おや? 言っておりませんでしたか? 貴方の事も知っていましたよ黒葉君。名前を聞いてピンときましたわ! 入隊式の時に騒動を起こして決闘に勝ったとか」
「やっぱり、その話目立っちゃってるんだ……」
黒葉自身にとってリドリアとの最初の決闘はあまりいい意味で目立ったものではないこともあって少々苦い顔になっていた。
だがそんなとき、物陰に隠れていた子音グループと同じ男が銃を構えて発砲して来た。
「黒葉君!」
レジアは黒葉を庇って前に出て銃弾を受けてしまった。
「レジアさん!!」
腕を撃たれて出血するレジア。黒葉は自分のミスのせいだと彼女に申し訳ない思いを浮かべる。すると優勢になったと見たのか更に物陰から五人の男達が出てきた。
その内の代表格の一人が勝ち誇ったように話しかける。
「せっかくの金目の物への入り口の前だっていうのに、その女のせいで思っていたより数がやられちまったな……だが、これで形勢逆転。俺らの勝ちだ。
オイお前! そこを退け。男には興味ないんだ見逃してやるよ。それともお前も痛い目に遭いたいか?」
黒葉にこの場から去るように脅す男。だがこの程度の安い挑発に彼が乗るはずがなかった。
「レジアさん。本当に頑張ってくれてありがとう! 後は任せて!!」
「え?」
黒葉はその目つきを鋭いものにさせ、後ろにいる男達に振り返って構えた。男達はそんな黒葉の様子を鼻で笑った。
「へっ! 女の前でかっこつけたいのか? それじゃあ言った通り痛い目に遭ってもらうぞ!!」
男達は銃を構えて攻撃を仕掛けようとした。しかし黒葉は冷静に最初の銃弾をかわし、狭い道だからこそすぐに到達した壁に手を当ててその一部を分解した。
「何ッ!!?」
分解された壁はさらに細かく分解され、黒葉はこれを手裏剣の様に投げて見せた。当然材質はタダの壁。細かくした威力などほとんどない。だが男達を一瞬怯ませるには十分だ。
黒葉はこの隙をついて男達の銃に次々と手に触れ、そのパーツをバラバラに分解してみせた。
「な、俺達の銃が!!?」
自分達の武装がいとも簡単に無力化された事態に焦る犯罪グループ。やけくそになったのかここでさらに暴れようとする彼等だったが、突然背後から小規模な爆発が起こりそのまま気絶して倒れてしまった。
「え!?」
黒葉が何が起こったと驚いていると、男達の背後の位置にいたレジアが出血している腕を抑えつつも一仕事したような顔つきになっていた。
「ざっとこんなもの、ですわ」
「さっきの、レジアさんが?」
「ありがとうございます黒葉君。とっても助かりましたわ!」
その後、連絡を受けてやって来た次警隊の隊員達により犯罪グループは逮捕、連行されていった。
手当の済んだレジアの元に黒葉は近づき、まず謝罪した。
「ごめん。俺が話しかけたせいで怪我を」
「いいですわよこの程度。かすり傷ですわ」
誠実に対応するレジアに気まずくなる黒葉。だが彼女を心配に思った黒葉はデバイスを操作して救急箱を取り出し、消毒、手当てをした。
「黒葉君?」
「いや、やっぱりそのままにしておきたくなくて……余計だったかな?」
黒葉が自身の過去でのことも相まって自分から動き出しておきながら焦ってしまうが、レジアはそんな彼を見て思わず笑ってしまった。
「フフッ、お人好しですね。でもありがとうございます」
事件が解決し、対処がはやかったこともあってか後処理も手早く片付けられた。最もそのせいで黒葉の休日はまたしても潰れてしまったが……
「ハァ……せっかくの連休なのにとことん事件に巻き込まれるな……結局身体が休まらないまま仕事の日々に戻ってしまいそうだなぁ……」
そんな黒葉の帰る背中を目にしながら、レジアは何かを企んでいるかのように口角を上げて独り言を呟いていた。
「春山黒葉……あれがリドリアのところの隊員ですかぁ……」
ブックマーク、評価をしていただけるととてもやる気につながります!!
他の『FURAIBO《風来坊》シリーズ』の作品もよろしくお願いします!!
リンク https://ncode.syosetu.com/s1109i/




