PURGEー61 気配!!
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クオーツに連れられる形で廃墟の中に足を踏み入れていく黒葉。近くに立ち入り禁止のロープなども用意されており、普通に考えて入ってはいけない場所であることを伝えさせてくる。
隊長権限で特別なのか、はたまたクオーツ自身の勝手な行動なのかも分からないが、何か考えがあるのだろうと思いついて行った。
廃屋の中はハイテクな危機が隠されているという訳でもなく、予想そのままの廃屋の薄暗い静かな空間が広がっているだけだ。
ここで何をするのだろうかと周囲に何度も視線の向きを変えながら足を進めていると、クオーツは突然に足を止めて前方を見ながら独りでに発言した。
「失礼します。約束の取引に来ました」
(取引?)
黒葉が自分の聞かされていない事態に反応して反射でクオーツの方に顔を向けた。すると廃屋の奥から年齢がバラバラの強面な成人男性が三人姿を現した。右の男の手には何やらケージが握りしめられており、黒葉の視線を自然とそっちに向いた。
「あのケージは……」
黒葉も反応する中、クオーツは早速そのケージについて言及する。
「その中にいるのですね。まずは現物を見せてもらわないと」
「当然の要求だな。おい、見せてやれ」
中心のリーダー格らしき人物の指示を受けて右の男がケージの前蓋を開くと、中に入っていた生物が顔を覗かせてきた。
恐竜に似ているが、役職上宇宙生物にもある程度精通している黒葉からしても初めて見る生命体だった。だがどこか疲労しているように力を感じない。
「なるほど、それが……」
「ああ、『マボロサウルス』の子供。この宇宙でもめったに見ない絶滅危惧種だ」
絶滅危惧種の生物の子供。よく見ると顔の後ろには首輪が取り付けられており、男達に無理矢理従わされているようにも見える。
男は部下にケージの蓋を閉じさせると、クオーツに対して堂々と問いかけてきた。
「こっちはブツを見せたんだ。約束の金はどうした?」
クオーツは言われてすぐにいつの間にか何処かから取り出したジュラルミンケースを目の前に出し、ロックを開けてなかに入っている大量の紙幣の束を相手に見せた。
「ほお、耳は揃っているらしいな」
「せっかくのオークションですから、ケチな事はしませんよ」
目の前に明らかに違法な生物売買が行われようとしている。次警隊はそもそもこういう行為を止めるためにあるというのに、クオーツのこの行動は完全に組織に対する裏切り行為ともとれるものだ。
だが黒葉はそれを本人にして気をする気にはならなかった。何故かは分からないが、目の前にいるクオーツを信じたい気持ちになったのだ。
「さあ、こちらとその子を交換です」
クオーツが前に出てケース内のお金と相手側のケージを交換しようと歩き始めるも、向こうはそれに反応こそしても合わせて歩み寄る事はしなかった。
ただ口元を二やつかせたリーダー格の男は一瞬余所に目を向けると、クオーツに向かって口を開いた。
「ああ、金は貰ってやるよ。この珍獣は渡さないがな」
男の発言に目を丸くして視線を向けた黒葉。すると彼のクオーツを取り囲むように屈強な男達が十人、全員が銃を持って取り囲んだ。
「これは一体、どういうことですか?」
足を止めて質問するクオーツにリーダーの男は高笑いしながら返答した。
「こいつは一匹しかいねえ。だがこいつを欲しがるバカはアンタらの他にもいっぱいいるんでな。お前ら程度の額で渡すんじゃもったいないから、金だけいただいて終わりなんだよ」
元々が闇取引である以上警察組織に訴えることは出来ない。そう踏んだ上でのこの強引な手段なのだろう。
銃を構え一歩でも動けば即刻発砲する脅しをかけてくる男達。取り囲まれてしまった上飛び道具が相手となっては黒葉に対処はしにくい。
どうするべきか判断に悩んでいた黒葉。逃げ場もなくどうしようもないかと思われたその時、突然襲い掛かろうとしてきた男達が倒れだした。
「エッ!?」
「な、何が起こっている!?」
黒葉はもちろん相手側のリーダーもこの事態に困惑している。すると二人は何処かから何者かの声がテレパシーの様に入って来た。
「この宇宙のあらゆるものには、気配というものがある。それは時に相手を認識させ、安心させ、そして警戒させる。ならばこれを操り、安心も恐怖も、存在感すらも操ることが出来るとすれば……」
恐怖するリーダー格の男の方にふと載せられる手。その途端に彼は何故か心の底から安心してしまうも、相手の顔を見た途端に一転して顔が青ざめた。
「お、お前は!!」
「このように、誰にも気づかれず懐に入ることも出来ます」
男が見たのは、周辺も自分の周りも取り囲んでいた見方が全員倒され、堂々と自分の方に手を触れているサングラスと帽子を外したクオーツの姿だった。
「お前は、次警隊のマザー・クオーツ!!?」
クオーツの姿を見た途端に安心しきっていたはずの心が一瞬の内に恐怖に全身が包まれる感覚に襲われ、彼女に何もされない内に恐怖に負けて泡を吹きながら倒れてしまったのだった。
「あらら……攻撃もする間に気を失ってしまいましたか。出来れば意識を残したまま捕えたかったのですが……」
巨大タコの事件に続き、またしても垣間見た自分の所属する六番隊隊長の実力。黒葉は結局目の前で起こった事に対して何の説明もなく解決しそうになっていた事態にただ突っ立っている事しか出来なかった。
そんな中クオーツはケージの中にいた生物を見ながら何か思っているようだった。
「やはり、春山隊員を連れてきてよかったですね」
この声は黒葉には聞こえていなかったが、黒葉は自分が何故この事件現場に連れてこられたのかについてすぐに理解することになった。
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