PURGEー51 体当たり!!
リドリアがググの魔の手に襲われようとしている、そのほんの少し前の時間。ググの屋敷の別の空間での事。リドリアと共に海の家にて睡眠薬を飲まされてしまい拉致されてしまったレニが倒れていた。
「ンッ……ンンッ……」
何処かも分からない場所の中で目を覚まし、覚醒しきっていない状態ながら上半身を起き上がらせて辺りを見回すレニは、開けた海だった周辺が壁に囲まれている事に気が付いた。
「ここは……部屋? そうだ私! 海の家で気を失って、それで!!」
気絶する前の状況を思い出したレニは意識をハッキリさせて部屋の様子を確認する。自身の首に赤いチョーカーがまかれている事と、薄暗いシンプルな寝室におもむろに置かれた一つの箱の存在。レニが興味本位に箱を開いてみると、中に入って露出度の高い服を見て赤面しながら箱を閉じた。
(この服! ボク達をここに連れてきた人の趣味なのかな? 恥ずかしい服……でもそんなことより今は……)
「リドリアさん……」
レニが真っ先に浮かんだ心配は、もちろんながら気絶するその直前まで一緒に行動していたリドリアの安否だった。だがわざわざあのような露出の多い服を置いている人物が相手となると、レニはリドリアの現状の仮説が立った。
「もしかしてリドリアさんもボクと同じように何処かの部屋に? もし目覚めていないのなら大変だ! 助けに行かないと!!」
レニは急いで部屋の扉を開けようとするも、ある意味当然ながら扉には鍵がかかっており開かない。
(力づくで突撃する? いや、わざわざ捕えた人を一人づつで監禁する相手。監視されていてもおかしくは……)
レニは自分で考えている最中にある事に気が付いた。自分が監視されている最中であるのなら、何故犯人側から何かしらのコンタクトもないのかだ。
(何かここを監視する事よりも集中している事がある? それって……)
レニの頭の中に悪い想像がよぎり顔が青くなる。過去にイブリスによって小間使いにされていた彼女だからこそ浮かぶ想像。犯人がリドリアに接触している可能性だ。
「リドリアさん! そんなこと、絶対にあっちゃいけない!! あの人に何かがあるくらいなら!!」
レニは一つ決心をすると、自身を閉じ込める扉に向かって体当たりを仕掛けた。当然音は大きく響くも、華奢なレニの身体ではパワーが足りず一撃ではあまり効果が見受けられなかった。
「一発じゃダメ。だったら何回でも!!」
レニはあわよくば一つの狙いも込めて何度も扉にぶつかる。一撃は軽くとも何度も同じことをすれば当然扉には確実にダメージが入っていき、凹みや傷を付けていった。
そしてこの響いて言った音は更に大きくなっていき、たった今リドリアでお楽しみの最中であったググの耳にも入って来た。
「ん? 何だこの音は?」
音に反応してリドリアの左乳を握ったまま動きを止め、キスを仕掛けた顔を寸前で上げた。リドリアの方は自身への恥辱に耐えることに必死で気付いていなかったが、ググは何度も続けて響く異音に異常を察してリドリアの身体から離れた。
「誰かが何かをぶつけている? まさか女の子の誰かが勝手な事をしているのかな?」
ググはすぐ近くにいるリドリアへの楽しみが途中で阻害されたことにもどかしさを感じつつ息が荒くなっている彼女に声をかけた。
「仕方ないなぁ。君の相手はほんのちょっとだけお預けだ。大丈夫、すぐに戻って来るから。そのときは……君も心の底から楽しませてあげるからね」
邪悪に口元をにやつかせて部屋を去っていったググ。思わぬ形で解放されたリドリアだったが、何度も胸を揉まれ続け辱めに遭わされたショックは相当な疲労となっており、涙目になりながらベッドから起き上がることが出来なかった。
一方のググは音のする方向に一目散にかけていき、音の発生源であるドアを発見した。
「ここかぁ。全く無駄な事をする子がいるものだねぇ……こんな事をしたって女の子のか弱い身体でドアが破壊できるわけでもないというのに」
ググが若干呆れた様子で念のため自身のスマートフォン型のデバイスで隠しカメラに撮影している部屋の中のリアルタイム映像を見た。
「おやおやこの子は……そうか起きたんだね。それじゃあこの子も……」
ググは映像越しにレニの豊満な身体を見て邪な思いを抱きながら笑みを浮かべると、リドリアにやった時と同じように部屋の中に声をかけた。
「やあ、起きて早々に元気のいい子だね」
「こえが聞こえてきた? この部屋に話しかけられているの?」
聞こえてきた声に動きを止めるレニ。ググは調子良く彼女の引っ掛かりへのヒントをわざと与えて動揺を誘う。
「確かレニちゃんだったっけ? 君が今気になっているのはリドリアちゃんのことだろう? それなら安心してよ。君より先に目が覚めて、僕がこれから一緒にお遊びするんだから」
お遊び。言葉に含まれた裏の意味に気付いたレニは顔を少し俯かせた。ググは彼女の心境を理解し悪い声をかけた。
「まあせっかく目が覚めたんだ。君が僕と遊んでくれるっていうのならそれに乗るよ。せっかくならそこにある僕が用意した着替えに着替えてね。待ってるよ」
ググはレニが首を縦に振らざる負えない選択を迫る。ここで判断に迷うレニの様子を見るのも一興かと思ったググだったが、ここに来てレニが問いかけてきた。
「見ないんですか?」
「……え?」
「着替え……見なくていいんですか?」
「ッン!!?」
レニの予想外の問いかけに、さすがのググも目を丸くして大きく驚いた。
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