PURGEー49 海の家!!
時間は遡り、黒葉と信乃が海に消えたとき。追いかけっこに遅れたリドリアとレニは突然消えた二人の存在に気が付かず何処に行ったものなのかと心配して探し回っていた。
「信乃さん! 黒葉! 何処行っちゃったのよぉ!?」
「二人共、返事してくださ~い!!」
既にかれこれ一時間以上捜索を続けている二人。日に照らされた空間の中でずっと動いていたこともあり、発汗からかなり喉が渇いていた。
「レニ、大丈夫? 喉乾いてない?」
「そういうリドリアさんこそ。しんどそうに見えますよ」
声に出して指摘を受けたリドリア。ここで変にツンデレになっても仕方ないと素直に認める。
「そうね。ここで倒れたらそれこそ大変だし、一回休憩にしましょっか」
リドリアとレニは汗が滴る身体で近くにあった海の家にまで歩いた。喉の渇きからすぐにお茶を頼んだ二人は、出された麦茶を一気に飲み干す。
「フゥ……結構日が照ってるわね。汗が収まらない」
「猛暑ですね。黒葉さんも信乃さんも、倒れてないといいんですが……」
心配になりつつも、同時に潤い切らないのどの渇きにもう一杯同じ飲み物を頼む二人。またしても一気に飲み干し、一息つく。
「本当に何杯でも飲めちゃいそうね。あっつい」
「はい。本当に……」
無言の時間が少しだけ過ぎ去る。しかしこれでも収まり切らなかった渇きに耐え兼ねた二人は三度目の注文をしてお茶を出してもらうと、またしても一気飲みしてため息を吐いた。
「いい加減、捜索を再開しないとね」
「そ、そうですね」
二人は会計を済ませて飲んだ分を全て汗で出す覚悟で日の照った砂浜にもう一度足を踏み入れようとした。しかしここに来てどうにも二人は体に違和感を感じた。
「あれ?」
いくら猛暑の中で動き続けていたとはいえ、海の家の席を立ってすぐに起こった途端に足がふらつき極度の疲労感が身体を襲って来たのだ。
「何で……いきなり身体が」
「とっても……重い……」
次の瞬間、二人は海の家の敷地から出るよりも前に倒れてしまい、綺麗な寝息を出した。
二人の眠った様子を確認した海の家の店員は不敵に笑みを浮かべて指を鳴らすと、その瞬間に海の家は忽然と姿を消した。
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「ンッ……ンンッ!!……」
次に目を覚ましたリドリア。砂浜とは打って変わって柔らかい感触を感じたリドリアが上半身を起き上がらせると、目に見たのは窓のない白い壁に囲い込まれ、その一か所にだけ何処かに繋がっているであろう扉があった。真下には、自分が寝転んでいた綺麗なベッドがある。
「ここは……部屋?」
場所の確認が終わって次にリドリアが感じた違和感は自身の首元。何かを取り付けられているのかのような感触。
ふと触れてみると、中心に鈴がぶら下げられ、首回り全体に巻かれている。どうやらチョーカーを付けられているらしい。
「こんなこと、誰が?」
自身の状況に不安が募るリドリア。そんな彼女の元にふと何者かの声が聞こえてきた。
「やあ、起きたようだね」
「誰!? どこから話しているの!?」
部屋の中を見渡し警戒を強めるリドリアだが、暗がりの中ではカメラもスピーカーも見つけられない。
焦りを感じるリドリアに声の主は再度話しかけた。
「余計な詮索はする必要がないよ。そんなことをしていたって、君はもう僕のペットなんだから」
「ペット……ですって!?」
無害な小動物のように言い表された事案に腹を立てて目つきを鋭くさせるリドリアだったが、ここに来て汗を吸ったまま着続けていた水着の冷たさに体が反応し、緊張感を途切れさせるくしゃみをしてしまった。
「クシュン!!……」
「ハッハッハ!! そうだった。肝心な渡すものを説明していなかったね」
「渡すもの?」
「君の後ろに一つ箱が置かれているだろう。その中のものに着替えるといいそしたら一緒に遊ぼうじゃないか」
リドリアが後ろを振り返ると、確かに声の主の言う通り箱が一つ置かれてある。恐る恐る箱のふたを開けると、中のものを見て即座に蓋を閉めて怒鳴り出した。
「何よこれ!? こんなもの着られるわけないでしょ!! それならこのまま水着でいた方が!!」
「そうか、いいんだよ。それならもう一人の連れてきた子にやってもらうからさ」
声の主の吐いた台詞にリドリアの表情が固まった。もう一人の子、この場にはいないレニの事だ。彼女の身柄は今向こうの好きなように出来るという脅しだ。
こうなってしまえばリドリアに拒否権などない。下唇を噛み締める程に悔しさを感じながらも声の主の提案に乗ることにした。
「……分かったわよ。相手してあげるからちょっと待ってなさい」
「いい返事だ。ちょっとだけ待っているよ」
どこかから聞こえていた声が途切れた。リドリアは念入りにカメラで自身が撮影されていないかを警戒しつつ出来るだけ端へ移動しながら水着を脱ぎ、箱の中に用意されていた衣装を自ら取って身に着けた。
リドリアが衣装を着終わって立ち上がると、まるで待ち構えていたかのように部屋の扉が開いて一人の人物が部屋に入って来た。
その人物が見たリドリアの姿は、最初に来ていた水希とは比較にならない程に胸や腰回り、尻の肌を露出させられたホルスタイン柄のマイクロビキニ。おまけに牛の角のカチューシャを頭にはめたものになっていた。
リドリアが身体を屈ませ恥ずかしさに赤面しながらも睨みつける先には、髭を蓄えた肥満気味の男が悠々と椅子に座っていた。
「やあ、来てくれたね。その服装、とても似合っているよ」
男の目つきは一目で分かるほどにいやらしく、下衆なものだった。
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