PURGEー28 絶望!!
目の前に現れたリドリアと信乃。黒葉は探していた人物が見つかった安心感などとてもなく、魅了を受けた人ごみの中から出現したことにとても嫌な予感を感じていた。
「リドリア……森本さん……」
視線を俯かせていた二人が顔を上げて黒葉に見せてきた。その瞳からは光が消え、表情は周りにいるショッピングモールの客人たちと同じ気味の悪い微笑を浮かべていた。
「まさか……」
顔を青ざめる黒葉と反対にイブリスは顎を上げて大きく口元をにやつかせながらしゃべり出した。
「二人共、俺が納得するまでその男を攻撃しろ」
「「はい、ご主人様!!」」
イブリスの指示を受けた途端にリドリアは体を変身させ、信乃は構えを取って黒葉に標準を合わせた。
黒葉が態勢を整えるよりも前にリドリアは最短距離で滑空して突撃をしてきたのだ。
「リドリア! 仕方ない!!」
黒葉はリドリアの攻撃を流しつつ触れて分解しようと試みるが、黒葉のてがリドリアの足に触れる直前、突然黒葉は体の向きが反対方向に回転させられ、背中にリドリアの爪の直撃を受けてしまった。
「ガハッ!!……」
続けざまにリドリアの左足による回し蹴りを受け身体を飛ばされる黒葉。床に叩きつけられた彼は激痛に耐えながらどうにか立ち上がろうとする。
「今の一瞬の移動……まさか」
黒葉が察した瞬間、瞬きする間に彼の身体はリドリアの攻撃範囲まで移動しており、そこにまた蹴りが今度は腹に叩き込まれた。
「グハッ!!……リド……リア……」
複数個所からの出血に立つ力もなく膝をついてしまう黒葉。イブリスは黒葉の痛めつけられる様子にご満悦な様子で軽く拍手を送りながらリドリアと信乃に言葉を送った。
「よしよしいいぞ、二人共」
「「はい、イブリス様」」
二人がイブリスに心酔しきったように近づいていく。黒葉は出血から意識が朦朧としながらもどうにか回った舌で問いかけた。
「イブリス……まさかお前!!」
イブリスは黒葉の問いかけに彼を鼻で笑いながら答えた。
「もちろん二人共魅了にかかっている。今はおれの都合の良い駒ってわけだ。リドリアには自分の意志で俺の小隊に来てほしかったんだけど、君に毒され思考が捻じ曲がった。だから仕方なく少々強引な手を使ったんだよ」
「お前って奴は……どこまで人をコケにして!!」
溢れ出る激情から立ち上がった黒葉は自分の身体が動く間に黒幕のイブリスを倒そうと足を進めるが、彼に届く前にリドリアと信乃が立ちはだかる。
「イブリス様のために!!」
リドリアは足を振るい、黒葉は紙一重の距離でこれをかわす。
「やめろリドリア!! 目を覚ましてくれ!!」
必死に問いかける黒葉だが、次の瞬間眼前に見たのは信乃の顔だ。呆気に足られた一瞬の隙に黒葉は信乃のナイフで刺されてしまう。
「ウグッ!……委員……長……」
手を伸ばす黒葉の行為もむなしく、次のリドリアの攻撃が身体に襲い掛かり、客が大勢いる方向にぶつかる勢いで蹴り飛ばされた。
黒葉が客に危害を加えないように何かを考えている間に更に一瞬で移動させられ、リドリアの右足に力強く踏まれてしまった。
「カハッ!!……」
「あ~あ無様、あまりにみっともないな春山隊員。そんな程度でよく次警隊の隊員をやれる」
嘲笑いながら黒葉を蔑む口を止めないイブリスに黒葉の怒りは止まなかった。
「お、お前が! 次警隊を語るな……」
怒鳴りつけようとするもダメージからの消耗で既に大声を出せる程の気力が残っていなかった黒葉。それでもなお目付きだけは死に絶えず、諦めていない意志を感じさせ、イブリスは黒葉のこの態度に苛立ちを感じていた。
「本当に腹の立つ目付きだ。俺のところにやって来た時も、今も……君はまるで自分が死んでも意志は折れないとばかりにギラギラさせて……本当にむかつくよ」
イブリスは考えた。どうすれば黒葉を心の底から絶望させることが出来るのかと。そして一つ思い浮かんだ。
「そうだ。良いことを思いついたよ」
「な……に……」
「二人共、こっちに戻っておいで」
「「はい、イブリス様」」
イブリスの言われるがままに黒葉から注意を逸らしてイブリスの元に行くリドリアと信乃。リドリアは変身を解き黒葉は拘束から解かれたが、既に動き回れる力はなかった。
イブリスはそんな黒葉に聞こえるよう、リドリアと信乃にハッキリ指示を出した。
「二人共、着ている服を全部脱いでこの場で俺に奉仕しろ」
「!!?」
黒葉の目つきが変わった。イブリスは黒葉の性格上、彼自身にどれだけ肉体的苦痛を与えた所で意味はないと考えた。
だからこそのこの指示。自分の仲間が目の前で成す術もなくイブリスに奉仕している様子を見せれば、大切な人を助けられなかった事実から大きな精神的絶望を味合わせることが出来る。
魅了を受けていた二人は、イブリスの指示に当然の答えを口にした。
「「はい……イブリス様……」」
二人は黒葉が怯え、衆目に晒されている状況の中で自身の服に手をかけた。
「止め……ろ……」
静まり返った空間にチャックの開く音が響く。リドリアがチュールスカートの、信乃がショートパンツのチャックを下ろし、そのまま手を放す形で落とした。白く細い太ももや見え、イブリスの口角が自然と上がる。
次に信乃は帽子を外して落とし、シャツの腰回りの布を掴んで上げ始めた。小さなリボンの装飾が付いた清楚な黄色いショーツが露出され、体からこぼれた一筋の汗がへそ周りを垂れて扇情的に目移りさせる。
一方のリドリアはTブラウスのボタンを上から一つづつ外していき、服の抑え込まれて窮屈そうにしていたバストがセクシーな水色のブラジャーと共に露わになり、微かにはいった日の光を白い肌が反射している。
「止めろ……」
そしてドリアはボタンをすべて外し、信乃はシャツを上げ切った事により下着以外の服をすべて脱ぎ捨ててしまった。
妖艶で攻めた水色のブラジャーとショーツを纏ったリドリア。清楚で可愛い黄色のブラジャーとショーツを着こなした信乃。
どちらも普通から群を抜いた美少女のあられのない姿だということもあり、イブリスは息を飲みこんで舌なめずりをし、ゆっくり自分から二人に近付いて行く。
「止めろ!……」
イブリスの邪悪な手が迫る中、リドリアと信乃は背中の方に手を回し、下着のホックに手をかけようとする。
だがイブリスはそんな二人に迫ると、一度頬を擦って自身に注目させ手を下ろさせた。
「「イブリス様」」
「いい頃合いだ。これからたっぷり、可愛がってやるからな!!」
イブリスはそんな黒葉の表情を好物を食べているときのように嬉しそうな顔を浮かべると、目を大きく開いて白目を血走らせ、二人のブラジャーを掴んで大声を出した。
「最後は、自分で仕上げるとするか!!」
イブリスのやろうとしていることを察した黒葉は目の前の光景を拒否するばかりに喉がつぶれる勢いで叫んだ。
「止めろおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「止めてください!!!!」
黒葉の叫びをしのぐ大きな声が響き渡り、イブリスは誰かに押し飛ばされた。その声は黒葉が驚くだけでなく、自分から奉仕をしていたリドリアと信乃が動画の一時停止を受けたかのように動きを止めた。
何が起こったのか分からない黒葉がぼやけていた視界をどうにか戻そうとすると、見えたのは興奮して息を荒くしているレニの姿だった。
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