第十二話 妖精騎士アイギスさんと花園城塞キレッキレッエルフ対決(3)
わたしが、花園城塞の異界の上空に浮かぶ戦艦に連絡を入れてから5分後……
やっと森陽王の馬鹿息子から応答が来た。
『……神祖と名乗るやつが出てきたと聞いたが、小賢しい真似をしおって。それほどまでに核を撃たれたいらしいな』
「おっと、やっとお出ましかよ」
名前名乗らんでも、もう第一声でコイツだな。
と、解る威圧感がある声のトーンと声量。傲慢さがにじみ出てるぜ。さて、この手のタイプの弄り方は、っと。反射的にわたしは反応する。
「なんだ、女の所にしけ込んでたのか。それとも捕まえた雌猫とか? 程々にしておけよ、余計に馬鹿になるぞ」
『おい。私を謀るにしても、貴様らでは品性の持ち合わせがなさ過ぎて哀れにさえ思えるぞ。それで神祖とは聞いて呆れるわ。知恵と言う物を身に着けてから出直して来い、獣風情が』
「おいおい。獣以下の畜生どもに知能のレベルを下げて喋ってるんだよ。礼儀正しくして欲しかったらもう少し頭使ったらどうだ? 気づかないとか本当に間抜け過ぎるぞ」
『……』
そして、少し返答が遅れる。反射的に反応して来ないだけでどういう馬鹿か解るぞぉ。
コイツ、自分では頭回るとか考えてる馬鹿だ。
『ほう。なら、どう間抜けか言ってみろ、私の手に核兵器の発射スイッチがある事を忘れずにな』
「まず核兵器の発射スイッチがお前の手元にあるとか言ってる時点で間抜けだよな。お名前聞かせてもらいたいね、森陽王の息子の中でも一番の馬鹿とか聞くけどそんな馬鹿の名前聞いてもだれも覚えてないんだわ」
『どうやらよほど死にたい阿呆らしいな。デュヌージュペ・ベルト・バルヴィン・ベーレンヴィルトだ。ああ、覚えなくても良いぞ。どうせ貴様のお頭では入りきるまい。それに私を虚仮にして生きていられると思うのだからな。それより貴様こそ名乗ったらどうだ、それともまだ神祖と謀るか』
「聖魔帝国が認めた正真正銘だよ。神祖の妖精王アイギスだ。妖精騎士のアイギスさんとして売り出してたが、〈鮮血妖精〉のアイギスと言った方が、通りが良いか? こっちに戻って来た時、少しばかり冒険者稼業に身を入れててな」
『冒険者だと? 神祖がか? 馬鹿も大概にするんだな。我ら妖精族の創造主が寄りにも依って薄汚い冒険者稼業か、聞いて呆れるわ――』
と、わたしはここで話に割り込む。次の瞬間には多分、通信切られそうと直感が働いた。
「神祖と言うくらいは強くないと信憑性ないだろ、間抜け。腕前があって、しかも神祖の直系。2代目神祖としては充分過ぎる。アーパ・アーバの爺さんも認めてくれたしな。聖魔帝国の魔女王にも、だ。絶賛売り出し中だろ、わたし。まさか知らないのか? おまえの国じゃ、わたしのせいで馬鹿騒ぎしてるって聞いたけど」
『はん! そういう事か。神祖の直系とはたいそれた話だな。聖魔帝国の謀略に浮つきおって……。それで、それがどうかしたのか。だから、核兵器の発射は待って下さいとか言う気か、馬鹿らしい』
「いや、それなら話早くて助かるわ。獲物掠め取ってやったから核攻撃してくれるか分かんなかったからよ。じゃあ早いとこ頼む」
『…………』
デュヌージュペはもちろん、制御司令室のわたしの周りにいた人達も一瞬理解に及ばなかったのか、その場の雰囲気に間が空いた。
アスタロッテだけが、「あらぁ」と嬉しそうな声あげてた。ま、陰謀とか企んでる人なら解るよね。
『…………なかなか面白いやり方だな。少しは頭が回る奴だと褒めてやるぞ』
「もう死ぬおまえに褒められても嬉しくともなんともないぜ。最後の役割演じてさっさと死ねよ」
相手のペースに乗るほどアイギスさんは甘やかさないよ。基本、コチラが会話の主導権を握って行く。
『言うに事欠いてよく口が回るな。死ぬのは貴様だ。まさかその城塞が鉄壁だからと自惚れてるのか?』
「まさか、当然おまえをブチ殺しに行くぜ。なんだ? 逃げ出すとでも思ってた? コレだから虫けらどもは、無能で馬鹿でクズで間抜けだよね。神祖の妖精王だと言ったぞ。……まさか、そのポンコツ戦艦落とせないと思ってる?」
うん? なんだかわたしの周りの雰囲気が緊張感に包まれ始めるんだけど、まだ早いよ?
アスタロッテだけ楽しそうな笑顔見せてるの。
『はん。それこそ馬鹿らしいわ。そんなハッタリ通用するか。だったら来て見ろ、それどうした丁重に迎えてやるぞ』
「うわぁ。最近のエルフって本当に馬鹿なんだね。まさか、わたしが行かなきゃ落とせないと思ってるの? それともおまえが馬鹿なの? 神祖の妖精王だよ? まず魔法で撃ち落とすに決まってるじゃん。それとも撃ち落としてから迎えてくれんの?」
『――おい。道化にもほどがあるぞ。魔法で撃ち落とす……? 旧式とはいえこの戦艦の魔法防御は最新鋭戦艦に劣る物ではないぞ。では、その魔法とやら撃ってみろ』
「オッケー。度肝抜かして逃げ出すなよ」
やっと売り言葉が来た。当然、買うぜ。
コレを待ってた。こっちが神祖の妖精王だと認識して貰わないと話しにならないから。
もちろん、奴らの戦艦を撃ち落とす事はしないよ。人質のフリュドラさん達がどうなるか解らないから。
が、撃ち落とせると思うくらいには思わせないと駄目だから、コレが結構、難しいのよ。
撃つ魔法の威力が強力過ぎて。
そしてわたしは連中のリクエスト通りに魔法を発動する。但し、大規模広域攻撃魔法なので魔法が完成するのにちょい時間が掛かるんだよね。大技だから。
発動まで約1分。
コレでも威力最小化して高速発動してるんだけど……発動魔法はレベル12魔法。
「――〈紅蓮新星〉」
所謂、神話級魔法の2つレベル上の魔法。魔法の真理の先、魔導の深淵に位置するが故に深淵級魔法と呼ばれる……とは、とあるゲームの設定だ。
この世界では聞いたことないけど。
魔法の発動箇所は戦艦と地上を避ける為、さらに上空で直撃を避ける。避けないと落とすどころか溶けかねない。
そして、魔法の形勢が始まる。
上空の一点を中心に渦を巻くように紅い炎が走り始める。太陽が吐き出す紅炎のような炎の線が、何十にも中心の一点を中心に渦を巻き始めるの。
その紅炎のような炎の帯は精神世界面から見れば太陽より光熱を含む魔力エネルギーなの。
普通の生物が触れたら精神体ごと肉体が溶けるよ。物理世界にも影響を与えて目視できるほどだし。
そして、何故かけたたましく制御司令室から警告音が鳴り響く。ちなみに通信繋ぎっ放しだった向こうの戦艦からもアラーム音聴こえて来た。
「じ、次元破壊警報が出てます!」
と、制御機器のモニター画面を見てた女猫妖精のオペレーターさんが声を張り上げた。
「花園城塞の魔法障壁が積層次元を自動的で展開して重ねていきます。こ、これは」
白魔導師のベル・ベラさんが叱咤するように大声上げる。
「慌てるな! 直撃してもこの城塞なら耐えきれる。危険性をシステムが感知して緊急対応してるだけ……」
と、ベル・ベラさんがわたしの近くにツカツカやって来た。そして、小声で。
「……本気では使わないでくださいね。この異界ごと吹っ飛びますよ」
「耐えきれないじゃん」
「理論的には耐えれます、耐えれますが……試したことないんです。本当にやめてください、ね」
試したことないのかよ。タブタブって奴が作ったんだから相当防御力有りそうだと思ったけど。
でも、やっぱりそうか、この異界はその為かと思った。わたしが使った深淵級魔法の攻撃魔法を撃ち込める場所なんだ。
異界化してるなら、その外には影響を及ばさない。
そしてこの花園城塞は深淵魔法に耐えきれる。
つまり、撃てるってことだな。ただ、流石に試したことないのは怖すぎる。駄目だ全力では使えない。多分、ジャングル全滅するし。
花園城塞に大した武装がないのも、撃つ奴いれば要らないだろうからね。
そしてわたしはデュヌーの様子はどうかと繋ぎっ放しの通信音声にエルフ耳で聞き耳立てる。微かに慌ててる声が聴こえるよ。他の乗員の声が。
『……積…第4層ま……ダメージが……』
『感知シス…ムに以…発生、魔…逆流の』
『サブリアク……ダウン。…因…明が…復旧に時間が』
直撃してないのに偉い騒ぎ。掴みは上々だな。
そしてデュヌーが乗員を叱咤する声が聴こえる。
『この馬鹿どもが狼狽えるな! たかが神話級の魔法でコレか、所詮は旧式戦艦か。クソっ。さっさと復旧させろ。私に恥をかかせる気か』
「……忙しそうだな、デュヌー。魔法防御は最新鋭並とか言ってなかったか、おい」
『ちっ――』
通信の先から舌打ち音。大分、苛立ってるな。この状況でまだ威勢を保てるのが驚きだけど。
やっぱり馬鹿なんだろうね。典型的な貴族タイプの一つだから、逆に安心する。調子乗らせなきゃ大丈夫なヤツだわ。
けど、こっちも何一つ状況が好転してないけどね。
やっと交渉のテーブルに席付けれるって感じかな。
ここからが本番だぜ。
『フン。この程度で勝てる気で居るのか、コチラは戦艦だぞ。回避できないとでも思ってるんじゃないだろうな』
「おまえの戦艦が予想以上にオンボロ過ぎて逆に使えんわ。堕ちるどころか溶けるだろ。直撃してないのに、そのざまなによ」
『馬鹿なやつだ。私を本気にさせたいようだな。コチラに核兵器があるのを忘れてるのか?』
「だから、そいつを使って欲しいんだってば。おまえをブっ殺しに行くのに流石に核兵器浴びせられたくないからさ」
『なかなか、面白いやつだな。だが、さっきも言った通り核兵器のスイッチは私の手元だ、妙な真似をしたら当然叩き込むぞ。解ってると思うが全弾発射だ。貴様の戯言になぞ付き合っていられるか』
これは本当に全弾発射ボタン持ってるな。
むしろ撃たないと駄目なんだろうね、コイツ。
後先がないって奴。
でないと持たせないよね核兵器のボタン。
「その割りにはお付き合い頂いてるよな。なんだ、もう刻限過ぎてんぞ。核兵器のスイッチ本当におまえが持ってるのか?」
『馬鹿か貴様は。交渉か何かする気か。貴様らの命運は決まっているのだぞ。貴様らに出来るのはその城に縮こまってる事だけだ』
「ビビってるのはおまえだよね。核兵器のボタンどうして押さないのよ。どうせ親父に押せって言われてるんだろ?」
『…………』
図星突かれて黙ったな。しかも私が撃って来いって言ってるから本当に撃って良いか迷ってるな。
馬鹿が臆病引いてる。そして相手が本当の事言ってるか判断が付いてない。何より相手の言うこと聞くの嫌いなんだわ、コイツ。
つまり馬鹿だ。
話を信じた方が間抜けでよぉ。こんなの詐欺師の序の口の手口だぜ。あの暗黒騎士だったら絶対通用しねぇぞ。核兵器のボタン押してから、話し聞こうとするだろうからな、アイツの場合。ヤツに比べたらこいつは余裕だぜ。
依ってアイギスさんはさらに押す。一切引かぬ。媚びぬ。顧みぬ。
「さっきも言ったと思うけど、おまえらのオンボロ戦艦のおかげで出ざるを得なくなったわ。わたしの手でブチ殺さないと駄目なようだな、お前らは。……一応、言っとくと核兵器を撃っても撃たなくてもおまえらの命運変わらないぞ」
『はん、良く吠える。それほど核兵器を撃って欲しいようだな』
「それがおまえの惨めな役目だからだよ。使い捨ての駒で、しかも役立たず。魔女王におまえらの謀略見破られ済みなんだよ、デュヌー。後はおまえが核兵器を撃ってくれれば万事万端よろしく上手く行くんだな、コレが」
即興で考えたけどなかなか上手い口実だよね。
これで簡単には撃てなくなっただろ。
『はっはっはっ。墓穴を掘ったな馬鹿が。――おい本国に連絡を取れ。撃って良いか確認をな。――馬鹿が。上手いことやったつもりかも知れんが連絡を取れば良いだけではないか。まったく貴様如きに踊らされるとはな』
マジでぇ。それは想定してなかったわ。てか、即興だもん。ヤバい! わたしが盛大にやらかすか。
然し、何かの奇跡がアイギスさんを救う。
『……おい。通信が封鎖されてるぞ。さっさと封鎖を解け』
「…………おまえ馬鹿だろ。妨害されてるならこっちもされてるに決まってんじゃねぇか。……だからおまえに核兵器を撃てつってんだよ。本当にクズで馬鹿でノロマで阿呆だな。通信が妨害されてなかったら言わねぇんだよ、わざわざ」
ピンチをすぐにチャンスに変えるアイギスさん。
なんとか筋通ったな。
『……馬鹿が。なら、わざわざ通信を妨害する必要がないだろう。語るに堕ちたな小娘が』
「でも、おまえの状況変わってないよね? それで核兵器撃てるの撃たないの? ねえ聞かせてよ。本国の状況が変わってて、それで聖魔帝国が通信妨害してるって事もあり得るのに考慮に入れてなくない?」
『どう変わってると言うんだ聞かせてみろ』
「うわ。そんなことも考えられないんだ〜。魔女王の謀略が森陽王に看破された可能性に決まってんじゃん」
『…………クソがっ! おちょくりおって。第一どうしたら核兵器を撃ったら魔女王の謀略にハマると言うんだ、なら言ってみろ』
「おまえがこの城塞の奴らに言った理由そのまんま返しだよ間抜け。馬鹿が核兵器乱射したら、それが世間にバレて森陽王が困るって訳。もう、目的の品はわたしの手元にあるから、失敗を言い訳できねぇぞ。ヒャハハハ!」
『はん。その品を手に入れようと入れまいと核兵器を発射することになってるは馬鹿が』
「そしておまえが戦犯って事になるんだよ。その戦艦の乗員ごとなぁ! おら、撃てよ。撃たないとわたしがその戦艦に乗り込んで撃つ羽目になるだろうが。わたしが嘘吐いてると思ったら撃ってみろ」
『やってやるわ。クズがっ! きさま如きに踊らされてたまるかっ』
「おまえの一世一代の花火だぜ! もう核兵器撃っちまってるから言い訳つかねぇもんなぁ!」
『…………ッ!』
「ちなみにわたしがおまえの戦艦に乗り込む羽目になったらおまえら皆殺しだぜ。わたしがやったとバレない為に当然だろう。神祖の妖精王さまが核兵器撃ち込んだ馬鹿を退治したって筋書きでよぉ! 良い気味で憐れだよなぁデュヌー」
『舐めるなよ小娘。そう簡単に戦艦に乗り込めると思って居るのか。飛空艇くらい叩き落としてくれるぞ』
「なら、こいつはどうだ――ザランバル!」
そして戦艦の近くのジャングルに現れる、アイギスさんの隠し玉。隠蔽魔法で姿を隠して探知されるギリギリの距離まで接近してたっての。
ザランバルは空飛ぶ戦艦を呑み込むに十分な体躯よ。最初に会った時よりデカくなってるしな。
魔法文明の一つを「食って」滅ぼしたとかいう化物だ。戦艦くらい食えるサイズになると思ったぜ。
いきなり出てきた化物に動揺が広がる。
戦艦からの乗員の声が微かに聴こえるぞ。
『地上に巨大な魔力反応!』
『星幽界が歪曲してます』
『ば、馬鹿な。喰食王だと!?』
ザランバル有名だな。喰食王の名前が出てきた。
「どうよ、わたしの乗り物は? 神祖の妖精王に相応しいだろう」
『はん! 馬鹿が地上を這いずることしか出来ん化物を呼んだ所でなぁ。こちらは空の上だぞ間抜け!』
「間抜けはおまえだよ。図体デカけりゃ飛べないって思ってる? ――言われてるぞ喰食王」
『フハハハっ! 愚かものどもめ、きさまらは我の腸に収まる有効射程よ。我を舐めるなよ、ヴィネージュの末ども。神祖の妖精王に楯突いた愚かしさ、今こそ晴らしてやるぞ! エルフどもがああぁぁぁぁ!』
精神世界面からビリビリと伝わって来る怒号のような思念。腹に響くような怒声が、星幽界側から木霊して圧倒的な存在感を知覚させる。
「だ、そうだぞ。ヴィネージュの曾孫さんよぉ。あの化物おまえらによっぽど報復したいってよ。乗り込んでやるよアイツと一緒によぉ。――おっと悪い呑み込むの間違いだわ。あいつの腹の中異空間らしいから」
『馬鹿が! それでは核兵器を撃てなくなるぞ』
「吐き出してから、撃たせるわ」
『その異空間内で全弾発射してくれるわ!』
「おっと。その手があったか……で、おまえ本当にわたしが核兵器を撃たせたいって思ってる?」
『――!?』
「時間稼ぎだよ、馬鹿が! あいつがおまえらを呑み込める距離までじっくり近づく為のなぁ!」
『き、きさまぁ!』
「きゃははははは! 皆殺しにしてやるぜ。ヴィネージュの末のクズどもがぁ! 末代まで祟るってなぁ! 10万年ぶりの応報だ。恨むなら先祖と森陽王を恨めよ! 核兵器で喰食王は沈まねぇぞぉ!」
『馬鹿はきさまだ! 知らないとでも思ったか! 喰食王が暴れまわった原因が核兵器を撃ち込まれたことぐらい知っておるわ! だから、姿を現したのだろう、その距離では撃てるからなぁ核を!』
そのとおり目標はかなりの上空。
当然、距離がある訳でボタン一つ押すには充分。
もちろん、駄目押しで煽るわ! 気づかれたからといって引くと思ってんのか、このアイギスさんがよぉ!
「良いぜ、撃ってみろや。おまえが全弾発射してる間に喰食王は戦艦に食いつけるぜ!」
『こ、この小娘がぁ! 本当に撃つぞ、舐めきりやがって。私がそんな軟弱な振る舞いをすると思っているのか! 二択ではあるまい。確実に私を殺す気ぐらい解っているぞ!』
「あは。馬鹿なのに今ごろ気づいた? ワンチャン喰食王に核を全弾撃ち込めば逃げ切れるかもよ? 戦艦の逃げ先にわたしが魔法を撃ち込むけどなぁ!」
『お、おのれぇぇぇ――――!』
やることは、すべてやったぜ。後は結果を待つのみ。もう、デュヌーの馬鹿が保たないのが解る。さらに最後にキレ散らかしてやるぜ。楽しくなって来たぞ。
「悔しがってるとこ悪いんだけど、早くして来んない? オススメは無差別全弾発射。その後でおまえら皆殺しにして、核兵器撃ち込みまくった大罪人として全員の名を遺してやるわ。子々孫々にいたるまでお前らがエルフの恥晒しだってわかるようになぁ! きゃははははは!」
『撃ってやるぞ! お望み通りにな』
「あはははは! 地獄に送ってやるよ、馬鹿どもめ! おまえらの家族も後で皆殺しにしてやるよ。喰食王も殺りたがってるしなぁ!」
『後悔させてやるぞ! ……なっ! それはどういうつもりだ貴様ら。――パンパン。このクズどもがああああ! ――パンパン』
「――ザランバル!」
銃声が聴こえたと同時にわたしが声を掛ける。
大口開けた化物が戦艦に助走を付けて大きく跳躍。
大口開けたまま、猛スピードで上空の戦艦に突っ込む。
そのあいだ――――核兵器は撃たれなかった。




