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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第2章 暗躍錯綜のフェアリーテイルズ
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第十二話 妖精騎士アイギスさんと花園城塞キレッキレッエルフ対決(2)



花園城塞の内部は確かにその名の通り、いろとりどりの花に満ち溢れていた。


急いで通路を早歩きしてたんだけど、通路にも花が飾られてたし、庭園とかも何度も見かけたんだよね。外観の武骨さと大違い。


花は花でも植物系のモンスターも闊歩してたけど。

案内してくれてるル・フェインって人にモンスターの事聞いたら、普段は植物の世話係だけど、今は侵入者対策で警戒させてるんだって。


草花妖精アルルーナ樹女妖精アルラウネのような他の妖精族の人も居たよ。

こんな時でなければ話して見たかったんだけど。


ちなみに鋼鉄人形スチールゴーレムや、小さくて足に車輪が付いてる「人」って漢字の形の自動機械オートマトンなんてのも、うろちょろしてた。まさに非常事態って解る慌ただしさ。


ちなみにル・フェインって人が制御司令室に辿り着くまで説明早口で喋ってたけどわたしは大して聞いてない。


城塞内部の光景に目移りしてたのもあるけど、どうせアスタロッテが把握してるし、やる事は一つなんだしさ。


そう、あの戦艦のクソエルフどもをブチ殺すことだよね。結局、あいつら殺る以外の選択肢はないのよ。


そして、それをどう殺るか?

作戦会議の為に制御司令室に辿り着いたのだった……





まず、話し始めたのはベル・ベラっていう白魔導師の人。ル・フェインって人と同じでブラウニー族の祖に当たる種族の人だね。


時間がないらしく説明を要約してくれたけど……


戦艦に核兵器満載。馬鹿が核発射ボタン握ってるからおそらく刻限に全弾撃ち込んで来る。


核兵器くらいではこの城塞は落ちないけど、ジャングルと水源地帯が狙われて全滅、この大陸の河川が汚染&地形が変わってヤバい。


フリュドラさんが百人くらい戦艦に人質捕られてる。

しかも核兵器撃ち込んだ後に艦隊やって来て、核兵器撃ち込んだのを花園城塞のフリュドラたちのせいにするんだって。外道以外の何者でもねぇな。


尚、この城塞は外部からの攻撃は鉄壁の代わりに対人以外の攻撃手段は殆どないから、核兵器を撃ち落とすことは出来ないんだって。



でもそれ、内部に侵入されて核兵器持ち込まれてもヤバくない? 多分、わたしの技能スキルの〈幻想妖精〉だったらこの城の魔法障壁通り抜けれるんだけど。


と言う、わたしの素朴な疑問にも答えてくれたけど、要塞内部には純粋な化学反応を妨害する結界張られてるから、内部で起爆は出来ないんだって。

この城塞だと火薬も爆発しないとか。


ただ、要塞侵入の可能性はゼロではないとか。

接近されると魔法障壁を通り抜けられる可能性はあるってさ。強襲揚陸艦とかそれ専用の艦種とか飛空艇とかあるらしい。



「それで他に質問はありますか? できれば重要な質問のみに絞ってくださいね。もう、1時間切りましたよ」

「んじゃ、本題行ってみようか。で、あいつらどうやってブチ殺せば良いの?」


って、わたしが発言したら、白フード被ってまさに白魔導師って感じのベル・ベラさんが、ジト目と口端を引きつる表情したんだけど。


「アイギス神さま……。いえ、貴方さまならやれないことはないかも知れませんが、その場合。人質のフリュドラ救出と核攻撃は二者択一ですよ」

「わたしが、突っ込んで形勢悪くなったら撃って来るってか」

「その通りです。しかも戦艦を一撃で落とせるならともかく、しくじると核弾頭を一斉発射して来ます」


軽く説明聞いたけど、あの戦艦、昔の魔法文明の時代に、"絶対"に報復攻撃できるように作られた戦艦だとか。



電磁投射砲レールガンが大小合わせて18門。ミサイル発射管24基。同時に40発の核弾頭の発射が可能な筈です。そこまで核兵器を搭載してるかは不明ですが……」


そして忍者のル・フェインが補足。

「発射される弾頭は、中にさらに核弾頭が積まれた多弾頭弾の可能性が高いでござる。核攻撃の着弾数はさらに増えるでござるよ……」


「なるほど……大陸間弾道ミサイルとかの」

「そのタイプに良く使われたのは確かですね。あの艦種にも積まれてる筈です。ただ、今の時代は自由落下に任せずに散弾のようにばら撒いて来ますが」


核兵器を散弾にして撃ち込んで来るのぉ、ショットガンかよ。まともに食らって、散弾ではなぁ。ってドヤ顔決めたくなったわ。核兵器ノーダメージらしいからね、わたし。


ん〜、でも、それでも守りきれないぞ。別々の方向に発射されるし。ということは困ったぞ。ただ、困るだけでわたしの答えは決まってるんだけど。

ただ、他に妙策があるかも知れないから聞いてみよう。


「で、わたし達に求めてる事はなに? 当然、用事があったから案内して説明してくれたんだよね?」


「先程も言いましたが二者択一です。ル・フェインに聞いたと思いますが、戦艦に乗ってる馬鹿はほぼ確実に刻限で核攻撃して来ます。可能であれば戦艦に内部突入して、馬鹿が発射を躊躇ためらってるあいだに、艦橋を制圧するなりして核発射を防ぐのがベストでしょうが……」


「出たとこ勝負だから上手くいくか分からないでしょ。戦艦の見取り図とかあるの?」

「有りますが、おそらく改修されてるので当てになるか解りません。それに元の設計図でも2箇所の副管制室があるので……」

「艦橋を制圧されても撃てるってか。なるほどね、だから報復戦艦アベンジャー・バトルシップね」


元の地球からの知識だけど、核抑止ってので、お互いに確実に核兵器で報復する用意をして、核戦争を防いでたらしいよ。まさにこの世界の、魔法文明時代のそれ専用の戦艦だ。


だから戦艦という最強の防御力を誇る軍艦に、大量に核兵器載せてる訳か。一見、最悪の兵器に思えるけど……


この世界、トンデモナイ化け物もいるから、そういうのも相手に想定されてたかも知れない。いや、真龍とか暴れて国滅ぼしたって昔ばなし多いからさ。

核兵器くらいはないと安全とは思えなかったんだろうね。って話し。


だからってそいつを人様に向けてブチ込む奴を一切許す気ないんだけど。村襲う賊ってレベルじゃねえぞ。段階通り越して皆殺しにしてもまだ足りない危険度でしょーが。


そして暴れたモンスターってのは常に倒されるもんだ。わたしの認識ではそうなる。


「……解った。やるのは良いけどわたしに選べってか。つまり妙案とかはそちらにはない?」

「残念ながら……私たちでは核を発射されるのを見守るしかありません。……必要な事でしたら答えますが、戦艦に乗り込むなら先手を打って早めに乗り込むのがおすすめです」


なるほど、と隣のアスタロッテが頷いた。


「勝手に私達が乗り込んで来た、と言う風に装うんですね。紅い鎧来たハイエルフと花園城塞の女猫妖精フリュドラたち、確かに関係有りませんね」


「ええ。ただ、城塞前の騒ぎで、あちらが気づいてる可能性も有りますし、その前に情報を得てるかも。……ですが、それくらいしか手立てがありませんから」



ただ、アスタロッテがベル・ベラさんの発言に眉根を寄せるの、納得いかないって顔して。


「それはおかしいですね。……では、この城で封印してる"もの"を引き渡す選択肢はないんですか? フリュドラ達の生活の場に人質、それに大陸の水源地。それを引き換えにするほどの"もの"。そう貴方あなたおっしゃる? 水源地は特にどれほど影響が出るのか解りませんよ」


「それを引き渡して取り引きに応じる保証……存在すると思います? 相手まったく信用ならない馬鹿なんですけど」

「……ありませんね。"核兵器を撃つ事の方が"、主目的でしたら引渡しが終わったら、核兵器の廃棄場にされますね」


「ええ、あの馬鹿がそういう命令受けてる可能性を考慮すると応じられません。と言うより受けてるでしょ、あの態度では」

「そうですね。……どうやら派手に花火を打ち上げたいようですから、森陽王さまは」

「…………」


わたしはそんな話聞いても驚かないよ?


クズの親父がクズでもよ。実体験としてそんな貴族やらのクズどもと殺りあって来たから良くある話し過ぎる。


「じゃ、時間ないから詳しく聞かないけど、この城のお宝狙いは次いでってこと?」

「アイギス神さま。馬鹿王子さまはそう思ってないでしょうけどね。自分が使い捨ての駒とはまったく気づいてませんから」

「了解。じゃ、そろそろ仕事しようか早めに動いた方が良いし」


残り三十分。良い頃合いだ。と、思ってからわたしはザランバルのクローン体。緑の触手をいきり立たせた奴を見る。


「ザランバル。女猫妖精フリュドラさん達の救出活動の状況」

『ほぼ完了しておりますぞ。聖魔帝国から来た天使を連れたエルフ者の手伝いで大分捗りましたぞ』

「よし、ザランバル……後は……解ってるな?」

『フハハハ。さすが聖下、我のことを熟知しておられる』


「じゃ、こっちの準備は済んでるからマイク貸して」

「マイク?」

と、ベル・ベラさんが怪訝そうな顔するの。まあ詳しく話してないから当然だよね。

けど、今からわたしのやる事話したら絶対反対されるから言わないんだけど。


「まずその馬鹿と話すの、まさに話しはそれからってね。時間ないから、はよ。どのみち、わたし任せなんだろ?」

「……解りました。神祖の妖精王聖下にお任せ致します」


と、ベル・ベラさんが渋々しぶしぶって感じで、司令室の制御盤コンソールからマイクを取り出して渡してくれた。


「まぁ、任せなって。わたし、そういう馬鹿な奴の相手得意だからさ。貴族とか王子とか? うんざりするくらい相手して来たから」



ただ、わたしの発言にセレスティナさんが、あっ! って気づいた顔してた。流石わたしの事をマニアな感じで知ってる恋人だね。そう、やるよ。


アスタロッテが刺繍レース付きの白手袋を付けた手を頬に当てて「フフフ」って微笑んでる。……何かの期待に満ちてるの解るんだけど。


シャルさんが祈るのような心持ちなのか手を合わせてた。解る、神頼みね。

そしてわたしがその神だ。任せてよ。


で、この冒険者風のポニーテールの金髪エルフのは、誰なんだろう? 目線を合わせたら、グッと拳を握り締めるポーズ。頑張れってことだね。

自己紹介もお互い省略したから誰か解らないけど。


じゃあ、皆さんの期待を背負って始めますか。楽勝だよ。

今回、しくじったら最大級のやらかしが待ってるけど。結局、戦艦の馬鹿どもブチ殺すと言う一点に付いては一切変わらないからよぉ。何があろうとな。



「あー、マイクてすテス。……聴こえてるか戦艦のクズども。わたしが妖精騎士アイギスさんこと神祖の妖精王だ。聴こえてたら返事しろ。それともビビって返事もできないか? おまえらの無様ぶざまぶりを考えたら当然か? 間抜け以外の何者でもないからな――」


――既にアイギスさんブチギれ完了済みだよぉ。喧嘩売る感じでいくよ。


この妖精騎士アイギスさんが、どれだけお上品なお貴族さま殺って来たと思ってるの? 食ったパンの枚数覚えてないくらいだよ。


つまり、こういう手合いの相手は慣れてる。

もう、相手がどういう反応して来るか解るもの。

じゃあ、行ってみようか。


格の違いを見せつけてやるぜ。


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