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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第2章 暗躍錯綜のフェアリーテイルズ
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第十話 妖精騎士アイギスさんの妖精の里巡りと姫君修行(5)



翌日。ルーメン氏族との交渉が終わった後。

わたし達、アイギス組はマンドラゴラの族長の元に再び訪れていた。


『ひゃー神祖の妖精王さまだ〜』

『わー王さまだ〜』


と、小さい玉ねぎ見たいなマンドラゴラ達がやって来る。一匹、二匹現れたと思ったら次々と森のいたるところから出てくるの。


『王さまじゃなくて妖精騎士って言ったよ』

『王さまじゃないの』

『跡目継ぐから王さまでもあるの』

『じゃあやっぱり神祖の妖精王さまだ〜』


……ジェラルダインが神祖の妖精王って名乗って良いって言った理由が良く解ったよ。妖精族ってみんな人間くらい頭良いって訳じゃないんだよね。

いくら細かい説明しても最初に巻き戻るの。


と言ってもアイギスさんも良く解る。

難しい話し聞いたら、細けえことは良いんだよ。って思うもの。この子達見てたら親近感さえ湧くよ。

わたしの子孫かもしれん。


そしてわたし達は可愛いマンドラゴラ達に歓迎されながら、族長の所へ辿りついた。


ただ、族長クラスになると可愛いの範囲から逸脱してしまうけど。

まずデカい。人間を三、四倍したようにデカい球根。

マンドラゴラ達と違って、つぶらな瞳を過去に置いて来たのか、酸いも甘いも噛み分けて来たような長老見たいな雰囲気出してるの。


『お戻りになられたか……神祖の妖精王を継ぐ者よ』

『族長。取り敢えずは話しつけて来たけど細かい事はルーメンの連中と話し合ってね』

『……あの者達が、聞く耳を持ったか?』

『無理矢理、持たせた』



あの後、――聖魔帝国が聞いてた以上の過剰戦力出して来て大変だったよ。


駆逐艦と飛空艇で制空権まで取る必要ないだろ。ビビらせ過ぎて相手がパニックなったらどうするかって、こっちが焦るよ。夜中にサーチライトとかか当ててさ。


しかも、里から逃げた子どもや老人、その護衛を包囲して確保するし。


連絡聞いてわたし達が現場に向かったら、エルフ達が青い顔して、恐怖におののいてるの。


悪鬼デーモン兵や悪霊の集合体見たいな奴らに囲まれてた。護衛隊長のエルフの女の人が決死の覚悟の面構えしてたわ。そりゃ捕まったら何されるか分かんないものね。こっちも必死で説得したわ。


『早まるんじゃない! この私こそ神祖の妖精王を継ぐ者。妖精騎士アイギスが無体な真似はさせぬ! 自決とかやめろ!』

『う、嘘をつけっ! 悪魔と手を組んだかこのハイエルフめっ! わ、わたし達は誇り高きルーメンが祖の末。それ以上近づくな!』


とか、なんとか遣り取りして。

結局、時間掛かったけどなんとかしたわ。エルフの子どもとか泣き出すし大変だよ。



……後はその人達も人質にして、力づくって感じで話しつける事に。自分の氏族を説得しに言ったエルフの隊長から嫌味言われたけど。


そっちも話し聞いたら族長が渋って説得が難航してたんだからお相子じゃん。



『……力を見せつけておいたから無作法な真似はして来ないと思うよ。族長』

『力だけでは心までは従えぬ』

『だろうね。けど力ないと奪われるだけだからね』


族長が殺されたマンドラゴラの子達を思い出したのか、怒気を露わにする。なんか悪口言われて族長の息子がカッとなって殺ったらしいよ。


……そのマンドラゴラの子たちが神祖の妖精王が帰って来たって調子乗ったのも原因らしいけど。元からマンドラゴラ達もその族長の息子と取り巻き快く思ってなかったみたいだし。


ただ、殺った現場がマンドラゴラ側の縄張りだから言い訳できねぇよ。



『あの者たちはもはや獣に過ぎぬ。我らが王より与えられた使命を忘れた愚か者どもよ』


族長の怒りを孕んだ言葉とともに森の木々がざわめき、まるで森全体が振動するよう揺れ動く。


……族長は最初会った時、怒りのあまり炎の魔神イフリートとか上位精霊呼び出して来た。球根妖精マンドラゴラだからって森ごと焼き尽くす構え。


その族長がお怒りなの。ヤバいよね。ただ、小さなマンドラゴラたちは『族長がお怒りだ〜』とか呑気な様子なんで怖くもないんだけど。最悪は地面に隠れてやり過ごす気だな、お前ら。



『お鎮まりください。古き株のペトロシアよりずれしお方。森の木々たちが怯えております』


と、森祭司ハイ・ドルイドのシャルさんが、枝が何重にも絡んだ杖を掲げて、族長の怒気を和らげる。


言葉に魔法の鎮静の作用があるのか族長の怒りが収まり、森が静けさを取り戻していた。


『で、族長落ち着いた?』

『我が怒りは球心に染みておる』

『詫び入れるように言っといたから、連中の話し聞いてからどうするか決めてね』

『……王の御言葉なれば従うより他になし』


なんかいつの間にか王さまと認められた。


わたしがシャルさんと一緒に来たら『ふむ、そうか』とか言って素直に聞くから呆気ないくらいなんだけど。

やはり、こいつらわたしの子孫かもしれん。細かいことは感覚フィーリングで決めて来る。


『念押しするけど、殺るのは良いけどちゃんと話し聞いてからにしなさいね。多分、怒った辺りでビビると思うから。後、最悪でも炎の魔神イフリートは使うな。他に迷惑が掛かり過ぎる』

『承知した……我らが王よ』


『……でも、本当に素直だな。ちなみにわたしが王さまと認めてくれた訳とか聞いて良い? なんか話しポンポン進み過ぎ』

『アーパ・アーバおうより言伝ことづてられておる』

『…………話し聞いてんのかよぉ』


わたしはシャルさんに問うように顔を向けるとシャルさんは聞いてないって感じで顔を左右に振った。


『お聞きしたいのですが、ペトロシアよりずれしお方。アーパ・アーバさまより頂いた御言みことをお聞かせ願えないでしょうか』


おうより神祖と名乗る者あらば良しなに。……もりの四族の末を尋ねるが良いとも』

『四族?』

『我を含め、ペトロシア、パルーセア、ガト、ザランバル』

『聖樹神さまに仕えたもり四聖と呼ばれる者たちです。パルーセアは……』

と、シャルさんが補足して説明してくれる。



ペトロシアは球根妖精マンドラゴラの始祖。即ち球根王。

パルーセアは菌糸妖精マイニコドの始祖。即ち菌糸王。

ガトは砂漠や荒野に生えるサボテン姿の妖精、緑棘妖精カクタスマンの始祖。即ち緑棘王。

ザランバルは緑色の胴体に触手を生やした緑触妖精オチュッグの始祖。即ち緑触王。



『え、なに、その癖つよそうな連中……』

『王をそれぞれ継ぎし者ら。きっと、神祖の妖精王の力になろう』

『……植物系のお姉さん見たいな妖精居ないの? 樹花妖精アルラウネとか樹妖精人ドライアドとか……』

と、切なる希望を述べると隣にいたセレスティナさんがジト目でわたしが気づくぐらいの眼力放ってた。


「アイギスさん……」

「ち、違うよ! 会ったことない人達だからだよ!」

『居るには居る。しかし居所が知れぬ……草花妖精アルルーナなら或いは……』

「いえ、族長さま。アイギスさんはお忙しいのでまた今度で。――シルフィさんにどう話すんです、アイギスさん。……ちょっと私もその人たち、どう愛して良いか迷いどころに」

「セレスティナさん……連れて来る前提とかやめて」

「通うのはそれこそ駄目ですよ!」


てか、セレスティナさん。わたしが恋人増やしたらその恋人も愛するの前提なんだよね。戦神の教義にそんなのあるのかな?

そっちの方面の人が多いとは聞くけど。


「なるほど、やはり……」

と、ふと気づくとルインがわたしとセレスティナさんのやりとりを納得顔して頷くの。なんか含み有りそうだな。


「やはりとかじゃないの。別に女の子なら誰でも良いって訳じゃないぞ」

「無論、承知しております。しかし、縁戚えんせきを持つにはやはり有効かと……」

と、ルインが笑顔。


そう言う意味に捕らえてるかい。政略結婚とか聞くけどさぁ。……それに、これ以上恋人とか増えると後が怖いよ。とても手出せないって。

恋人二人、二人でもうてんてこ舞いなんだよ?


このアイギス足るを知る者。これ以上のハーレム展開は望まぬ。シルフィちゃんに悪いって本当に。


『ふむ。人魚妖精マーメイドなら所在を知る者がる……』

「いや、族長。そっち方面で気使わなくて良いから。てか、人間語解るんかい」

『言の葉は学べよう。……女猫妖精フリュドラならば或いは……?』

「アイギスさん! 行きましょう! もう行きましょう!」

と、セレスティナさんが慌てふためいてわたしの背中押すの。まぁ、わたしももう族長と話し終わったから良いけどさ。

そしてわたし達は族長との話しを終えて帰り出すんだけど。その帰り道。



「てか女猫妖精フリュドラって妖精は聞いたことないけど」

女猫妖精フリュドラ族は女性しか居ない亜妖精です。見目美しい種族の方々ですね」

「わっー! ルインさんやめて下さい!」

と、セレスティナさんがなぜか話しさえぎるの。

「猫人族とは違う人たちなの?」

「ええ。猫人族は人間族の一種で男ともつがえますが、女猫妖精フリュドラは女性同士でしか子をなせません」

「なるほど、実に興味深い……」


女の子同士で? このアイギス心惹かれる物がある。どうやって子ども作るの? とか興味津々だよ。いや、女の子同士だと子どもできないからさ。もしかしたら、出来る方法あるかと思うじゃん。


勿論もちろん、その女猫妖精フリュドラって種族の女の子にも興味があります。猫耳とかアイギスさん大好きよ?



「アイギスさん。絶対手を出したら駄目ですからね」

「…………」

「アイギスさんなんで黙って行っちゃうんですか」

「セレスティナさん。取り敢えず次の揉め事起こってる所行こうか。シャルさん、次はどこがヤバそうなんだっけ」


緑棘妖精カクタスマンたちが砂漠の水を独占して砂漠の民が困っています。水は生命の根源……有角妖精フォモール族の者たちと一瞬即発の状況です……」

「早速、癖つよと面会……しかも揉めてる相手、有角妖精フォモール族って」


フォモール族って武勇に鳴らした人たちでめちゃくちゃ喧嘩っぱやいで有名じゃん。傭兵や冒険者とかにも一杯いるよ。ゴロツキ落ちはまずしない人らだけどその分腕っぷし強いんだよ。



「今度は力押しとか絶対無理そうだよね」

「神話の次の、英雄の時代に大活躍した人達の末裔ですからねえ。誇り高い人たちです。戦神の信者の方とか居ますから、私も少しはお役に立つかもしれません」

と、戦神司祭のセレスティナさん。


森祭司ハイドルイドのシャルさんも。

緑棘妖精カクタスマン達なら私の言うことを聞いてくれます。ですが、……」

「王さまがやらかしてるパターンなのね」


「はい。神祖の妖精王さまのご帰還に備えて仲間たちを増やそうと……あの者達も悪気はないのです。みな、アイギスさまの事を慕っておられます」

「……あいつら変わんねえな」



と、"私"がぽつりと呟いた言葉にセレスティナさんとシャルさんがちょっと驚く。わたしもなんでそんなこと言ったのか……わかるよ。

思い出した訳じゃないけど、懐かしいって思ったから。


「じゃあ、早速行こうか。シャルさん転移魔法お願い。じゃあ手繋いで」


そしてわたし達は次の妖精族の揉め事へ。もう今年一杯は駆けずり回りそうだね。


……でもこれ組旗揚げって言ってるけど、みかじめ料や揉め事解決の謝礼とかは……?

その辺りどうするかも多分考えないと駄目なんだろうね。出ないとただ働きじゃん。


この妖精騎士さんが人助けただでする訳ないよ。

金銭で無くても何らかの報酬あっても良いじゃん。

ボランティアで世の中回らないよ。アイギスさんのご家庭がまず回らないって。


そして転移魔法で辿り着いたのは熱沙の砂漠。

目の前には砂漠にこつ然と現れたような大きなオアシス。湖の周りには緑色の動くサボテンが一杯。



では、つべこべ言わずに妖精騎士アイギスさんの次のお仕事です。姫君感出して行きたいと思います。


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