第十話 妖精騎士アイギスさんの妖精の里巡りと姫君修行(1)
何故こうなったの?
わたし、アイギス。今、とても困ってるの。
神祖の妖精王の血を引く者として妖精の里の皆様の争いを鎮める為になぜかお姫様らしさを求められてるの。
なんかお姫様って感じのお洋服着せられてさ。
言葉遣いも高貴な感じにって。
はっきり言って何か違くない?
「てか、なんでお姫様らしさ求められてるか分かんないんだけど」
「聖魔帝国の方針が大々的におまえを売り出すことにしたからだ。説明したろ」
「だからってなんでこんな格好……」
本当に白いドレス着てもう王族って感じの。
髪型もばっちりセットされてさ。ちょっと女の子の夢通り越してるんだよね。鏡見たらおまえだれ?
って感じになってるの。
「てか、ジェラルダイン。わたしの目つき鋭すぎない?」
「……もう少しなんとかできないか?」
「目つきなんてどうしろと」
自分でも可愛い。とか思わないこともないよ?
でも、今まで修羅場くぐって来たわたしの人生の重みが、わたしの目つきに集約されてるの。
もう、常にイチャモンつけて来たら殺すぞ。って感じに殺伐とした感じにさ。
そして、セレスティナさんがちょっと呆れと納得って顔の中間くらいの表情するの。
「……アイギスさんって人見知り、って訳じゃないんですけど……知らない人に会うと警戒しちゃいますから」
「え、そんなことないと思うんだけど」
「……確かに私と初めて会った時の顔つきだな」
すると、会話にルインって半妖精見たいに背丈が小さい人が割り込んで来る。
「なるほど、戦場に生きる者としての性のようですね」
このルインって人、顔つきとかはエルフ顔でやたらイケメンなんだよね。小人妖精の祖の妖精って聞いたけど。
「どうするルイン。このまま写真撮影するか?」
「いえ、今回は衣装合わせ程度ですので見送りましょう。次回はもっとリラックスできる環境を用意した方が良いようですから」
「……写真撮るとか聞いてないって。わたしの肖像権どうなってるの」
「え? 撮らないんですか」
と、シルフィちゃんが残念がる。シャルさんは無言でなぜか顔赤くしてた。けど、セレスティナさんが「ええっ!」って声上げてさ。
本当に恥ずいから永遠の物にしないで。心の中の記憶に留めてよ。
写真撮るなら責めて目つきどうにかしてさ。
「しかし、目つきはどうにか出来てもこの路線で行くのかルイン」
「親しみやすさを込めてと、思いましたがやはり騎士らしさを全面に出した方がよろしいかも知れません。イメージチェンジを図りたいと思いご用意させて頂きましたが」
「勝手に話し進めないで説明してよ。これと妖精の揉めごと収めるのに、何が関係してんの」
いきなりジェラルダインとこのルインって人と謎の幼女アリーシャちゃんとスタイリストっぽい黒い尻尾生えたお姉さんの四人でわたしの家押しかけて来るんだもん。
わたしも流されていつの間にかこんな状態なってたわ。おめかしが嫌いな女の子なんて居ないよ?
そしてジェラルダインが「?」と頭の上に疑問符浮かべた見たいに顔の表情止まるの。
「アイギス。メイクしてる時に説明した筈だが……」
「ごめん。姫様っぽくしろとしか覚えてない」
こんな事されるの初めてだから戸惑いとか好奇心とか出てくるでしょ。聞いてないって。
「……まあ詳しくは説明しようとは思ってたからな。では、記念に写真を一枚撮ってからにする――」
「撮らない!」
って言ったら周りから「え〜」とか言われたけど断固拒否した。
†
そして場とわたしの衣装を普段着に戻していつもの居間の食卓に皆で集まる。
スタイリストのお姉さんが関係なさそうだけど、手を腰の前で組んででニコニコしてる。
アリーシャちゃんはスタイリストの人を手伝ってたけど、今度は赤ん坊とアル君の相手してるの。
「では説明始めるか。その様子だと聞いてなかったと思うからルイン」
「はい。では、改めてご挨拶を。私は聖魔帝国よりアイギス殿下へのご助力の為に参上しましたルインと申しますどうぞお見知りおきを」
「それはご丁寧にどうも。わたしは妖精騎士アイギスね」
ただ、わたしの挨拶にルインとジェラルダインが顔を見合わせるの。
「なに、気に食わないこと言った?」
「今は別に構わんが今後のことを思うと幸先が思いやられてな」
「いえ、神祖の妖精王陛下であらせられるのでしたら、むしろ当然かと。陛下や聖下に並び立つ超越者。私ごときには差し支えはありません」
「何かの皮肉かな?」
「いえ、滅相もありません」
「このままだとまずい気もするが?」
「ジェラルダインさま。短所より長所を伸ばしてこそですとも」
とか、二人して会話進めて行くの。
「……説明入ってくんないかな? 私に文句あるなら後で聞くからさ」
と、言うとジェラルダインがいつもの片手上げるジェスチャーで応じて、エルフ顔のハイブラウニーの外交官さんは微笑浮かべてから説明に入っていった。




