表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第2章 暗躍錯綜のフェアリーテイルズ
77/210

第九話 妖精騎士アイギスさんの妖精達の事情と暗躍する者たち(5)



――アイギスさんの昼食後。



「で、お昼ご飯頂いてまた集まったは良いけど……みんな何か思いついた?」


わたし達は居間の奥の部屋。ベビーベッドを置いてある部屋に場所を変えて集まっていた。ちなみに赤ん坊とアル君は幼女が別の部屋連れてった。


けど、わたしがみんなの顔色を伺うとジェラルダイン以外はみんな顔色優れないの。

うん。妖精族の揉め事解決する上手いアイデア出せと言っても簡単には思い付かないよね。


しかも、話せば話すほどダメ出しされるし。



わたしが直接行って話し着けて来ようか、と言ったら神祖の妖精王本人とバレそうだからと却下され。


セレスティナさんが知り合いの森司祭ドルイド伝手つてで協力を頼む話しも、部外者だからとこれもダメ。他国の諜報員が紛れ込む可能性があるって。


シャルさんも個別にはある程度は対処できるけど、抜本的な問題の解決ができないと収拾つけるの難しいって。わたしが神祖の妖精王だと隠すなら、地道に対処するしか手がないって言うしさ。


ちなみにシルフィちゃんはわたしが顔見た瞬間、固まっちゃった。うん、ちょっと前まで村娘してた子がお話しついて行けないの解る。

そもそも当時者のわたしが付いて行けてないぞ。



「で、結局どうすれば良いの。ジェラルダイン。一人だけ涼しい顔色してるけど」

「それを考えてもらいたいのだがな」

「ジェラルダインが全部、ダメ出しするじゃん。アイデア出してるんだから少しは褒めてよ。話し拾って良いアイデアに繋げてよ」


「元のアイデアが凡人でも思い付くような物ではな。聖魔帝国も人材がまったく居ないと言う訳じゃない、大概の手は思い付いてる。正直、私の仕事は今の時点で半分はもう片づいてるからな」


わたしは眉根を寄せてこの闇妖精ダークエルフをインチキ臭いと言う目で見つめる。詐欺に合ってる気がするぞ。


「どういう事よ?」

「私は最初に言ったぞ。お前を探す為に妖精族が探しに来るのと、神祖の妖精王がこの世界に戻って来て騒動が起きてるのが問題だとな」

「だから、それを何とかしようって話しじゃない。アイデアもうあるの?」


「まず……お前を探しに来る点はシャル森祭司殿のおかげで交渉ルートをある程度確保できたな」

「で、交渉して収まるん?」

「それは交渉次第。聖魔帝国の外交官どもが頭の中身を絞るさ」

「人任せかよぉ」

「だから半分は終わってるだろ?」

「でも、シャルさんが渡り繋げれるのこの大陸くらいでしょ。他の大陸から来る連中どうするのさ」


アーパ・アーバ爺さんの遺言、この大陸の外まで届いてるんだよね。植物系の妖精族に。


「妖精族が大陸を渡ってまでお前を探しに来るのに、この大陸の連中に接触しないとは考え辛い。つまりこの大陸の聖樹派関連の連中を押さえれば、探しに来る連中は大体押さえれる」


「むぅ。ほぼ完璧な理論に思える……で、終わってない残り半分は?」

「連中を抑えるアイデア」

「それ外交官が考えるとか言ってなかったっけ?」

他所よその国は知らんが聖魔帝国では基本方針を外交官任せにはせん。可能な限り相手に魅力的な話しをプレゼンするのが我が国の外交官の役割でな。元の内容が悪ければ纏まる交渉も纏まらん」



「ん〜。つまり妖精族の人達が納得して、落ち着いてくれるような話しを考えなきゃならないって事ね」

「気楽に考えてももらって構わんぞ。肩ひじ張った所で良いアイデアが出る訳ではないしな」

「……ちょっと、一から考えるの難しいからどんなアイデアがあるのか教えてくんない? 逆に考えよう。ジェラルダインはその出てるアイデアに満足してないんだよね」


「成る程。中々鋭いな」

「褒めるより。はよ」


と、ジェラルダインから教えられた聖魔帝国の策定プランは大前提一つに、そこから分けて三つ。


まず前提として、わたしが神祖の妖精王本人である事は否定する。神祖の妖精王の血縁の設定で行くらしい。もう、これはその方針で他の国と外交交渉を行ってるので今更代えがたいんだって。


そして、既に聖魔帝国の庇護下にある事を理由に面会を謝絶する。これは身元を防ぐ為に必要だとか。まあ、わたし、この大陸で有名らしくて即バレするからね。あの忌まわしき二つ名で。


そして聖魔帝国は神祖の妖精王の血縁者の代理人として交渉する。権威を背景にして問題を抑えるのが基本方針。

そしてその前提を元にしたプラン。



一、既に聖魔帝国に身を寄せてる事にして他国に対する偽装工作を兼ねる。妖精たちの里との交渉に対しては軍事力を派遣して対応。


「おい。ジェラルダイン。力任せにもほどがあるぞ」

「軍事力を背景にするのは聖魔帝国の基本外交姿勢。何処の国でも相手が弱小勢力ならやってる事だ。ただ、聖樹派や中立派には使えるが、大国の森陽王しんようおうの国と繋がりがある連中には使い辛いと言う難点があってな。外交問題になるからな」


「森陽王と繋がりないとこでも外交問題なるわ! 大国ムーブやめろ!」

「まあ、反発される可能性もあるからな、この方法が必ずしも有効とは言えん」



二、国内外の聖魔帝国との関係が良好な森龍族に協力を求め、仲介役として交渉してもらう。(軍事的威圧効果も有り有効と思われる)


「……ジェラルダイン。森龍って妖精族とは仲良いって聞くけど、附帯事項が一と変わらなくない?」


「森陽王と繋がりがある連中にも有効だがな。問題なのは奴らがまともに交渉できるかという難点があってな。一応やってはくれそうなんだが……違う問題が発生しそうでな。……だが言う事は聞いてくれそうだろ?」

「結局、力押しかよぉ」



三、一及び二が有効でない場合のプランとして特殊作戦群により危機工作を実施。具体的には里の近くに強力なモンスターなどを出現させ、騒乱状態の回避を狙う。(危機工作による混乱状況の収拾については状況に応じて対応)


「……もう外交とか交渉とか言えないよね」

「要は争いを回避すれば良いからな。聖樹派と他の派が手を取り合ってモンスターを撃退して仲違いを解消してくれたりを狙ったりな。まあ、概要書を見せた通り、どうにもならん時の最終プランだ」

「聖魔帝国にはまともな対応策考えれる人居ないの……」



「いや、むしろまともな案も検討したんだが、どれも成功率が低そうな事やデメリットが大きくてな。結局この一、二に駄目押しの三の組み合わせがプランとして最も有力候補になった。現状これが聖魔帝国の仮方針」

「何がなんでも問題を解決しようという意思は感じるけど……失敗した時のリスク考えてるのコレ」


「だから困って相談してるだろう。話し合いで解決できるなら連中だけでとっくにやってるだろうからな。調停だけなら事は簡単だが、こじれて無理な場合の三のプラン。他に手がないという場合に備えての話しだ」


……争うほどになった場合に備えてか。

でもジェラルダインの言う通り自分達で解決できるならわざわざ出ていくことないもんね。不安解消だけなら話し通せば良いだけだし。神祖の妖精王さまは降臨してません。血縁ですよってね。

これを上手いこと言って口先三寸で誤魔化せば良いんだし。


「で、他に良いアイデアがないというなら神祖の妖精王陛下にご認可頂きたい。責任はすべて聖魔帝国で受け持つが、了承だけは頂いて来いと上の方に言われてな」

「魔女王に?」

「いや、天使王。魔女王ならイチイチこんな事はせん。そもそも最初の予定ではこの騒動に関してはある程度放置して当事者たちでは収拾付けられなくなってから対応する予定だったからな」


「悪魔の女王らしいね。漁夫の利狙ってそう」

「それもあるが、森陽王しんようおうがどう対応するのか観察したいと言うのも狙いの一つ」

「そうだ。森陽王って人いるじゃん。妖精人エルフの王さまなんでしょ。その人には頼れないの」


「やつは今の時点では動けん。話しに聞くと神祖の妖精王が出現したかどうかで、国中騒ぎが広まってるらしいからな。別大陸の他所よその連中まで面倒見る余裕はあるまい。迂闊に動けば足元すくって来るやつがいるからな」

「魔女王?」

「その点に付いては否定できんし警戒されてる可能性がある。ただ、森陽王の国もハイエルフの長老連中が癖もの揃いらしくてな……当面、神祖の妖精王の騒動には国としては慎重を期して、動いて来ないのではないかと、聖魔帝国の諜報担当者から見解が出てるな」


「う〜ん。つまり他所よそさまは頼れないって事だね……それでわたしは動くなって」

「代わりに聖魔帝国ならある程度の融通利かせてくれるがな。神祖の妖精王に貸しを作りたいとな」

「既に縛りプレイを要求されてるから貸しとかないぞ。もう、わたしが出ていった方が手っ取り早い気がする」


結構、冒険者として妖精の揉め事の解決はやって来たからね。大概は人間の村と妖精との揉め事だけど。


そして、わたしはセレスティナさんとシャルさんの様子を伺う。何か良いアイデア思い浮かばない?

意図を組んでセレスティナさんが手を挙げた。



「あのぉ。アイギスさんが動くのは神祖の妖精王やその血縁者設定がバレる可能性があるのが問題なんですよね」


「その通り。シャル殿に伺ったら、直接聞いたらお答え頂いた、とか話しにならんぞ」


「……ま、まあ、シャルさんは不意打ち過ぎましたから。でも、その問題がクリアできるならアイギスさんに動いてもらっても良いんですよ、ね?」

「話しを伺おう。司祭殿」

「今だけじゃなく、今後の話しにもなるんですが……アイギスさんが動かないと解決できない問題出てくると思うんです。なら、いっそ今から動いて名を売っておけば逆に偽装になりませんか?」


「成る程。一つのアイデアではあるな」

「つまり、……もう一つ身分を仕立て上げちゃうんです。……次期、神祖の妖精王に仕える妖精の騎士って事で」


「問題点が二つ、まずアイギス、以前の神祖の妖精王を知ってるやつが居ないとも限らんということ。もう一つは結局、アイギスに接触して来ようとして来るやつが増えるって事だな」

「でも、〈鮮血妖精ブラッディエルフ〉としてあれだけ有名だったのに気づく人居ませんでしたよ」


「この大陸ではな。世界は広い。……10万年以上生きてる黒龍王だとか、直接知ってそうなのが居ないとも限らんからな……」

と、ジェラルダインが流麗な闇妖精ダークエルフの顔の顎に手を当て、少し思案顔になる。美人だから本当に絵になるなこの人。


そして、ジェラルダインがシャルさんに美貌を向けた。あどけない顔した幻想的なエルフのシャルさんの二人見てると、ファンタジー感ある。


「さて、森祭司どのにお伺いしたいがアイギスが今の話しで出ていって、聖樹神につらなる者達の問題。解決できるかな?」

「…………争いを治めることはできるでしょうが……」

「やはり、家来が来た。くらいでは弱いか」


「はい。みな、聖樹神さまの御言葉通りに神祖の妖精王さまがお帰りになったか期待と不安に揺れてます。アーパ・アーバさまのお言葉は言祝ことほぎでしたが、信じられない者も多く……」


「やはり妖精人エルフ杜妖精ベジエルフではおうの言葉の受け取り方に差が出ているということかな。聖魔帝国でも似たような状況だった」

「……その通りです。森の妖精達でも妖精神に連なる者たちには畏れがあるようです」

「畏れ?」

と、わたしは疑問を口にした。なにを怖がってるの。


「アイギス。実際お前はおうを殺ってるので話しに真実味が出てしまってるな」

「いや、どういう意味か解ってないから」


「そうか。そうだな……何せ自分達の神さまの神さまがこの世界に帰ってきた。ただ、追放したのは自分達の祖神ヴィネージュだ。報復されるのではないかと恐れてるのさ」

「覚えてないし。親の罪こどもに擦りつけても意味ないじゃん」

「それを言ってやらんと分からん訳だが……ふむ。やはり最大の問題はそう言う事か」



そしてジェラルダインがまた思案に耽るの。

良いアイデア出してくれると良いんだけど。

てか、聖魔帝国の事言えないけど、結局わたしも力押しでなんとかならない? とか思っちゃうからね。わたしは力こそが正義という冒険者稼業で生きて来た。


「仕方ない方針を変更するか。アイギスがやる気があるならそれも良かろう」

「何か良いアイデア思いついた? ジェラルダイン」

「お前好みのやつな。ただ国の方針もかなり変更しなきゃならん。しかもコレで行けるかどうかはお前次第」

「任せろ。ジェラルダイン」


と、良く分からんけど。意気込むよ。アイギスさんやる気だけはある。

ただ、わたしの顔見てジェラルダインが鉄面皮の顔をやれやれって言った風に呆れた感じするの。普段表情固定してるやつが表情変えると腹立つな。


「なに、文句ある?」

「いや、なんでもない。では姫君にご登場頂くか」


そしてジェラルダインが語ったアイデアは最初にそれ、わたしが言ったやつじゃねぇか。というやつだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ