表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第1章 星幽界の彼方から求めて
50/210

第六話 妖精騎士アイギスさんの恋愛事情と幼女アリーシャちゃんの恋愛指南(2)



コトコトコト、とクリームシチューが煮込まれ、なべふたが蒸気で煽られる音がする……


そんな台所の隣のリビングルーム。


その居間の食卓テーブルの席にわたしアイギスとセレスティナさんとシルフィちゃんが座ってる。



セレスティナさんに抱きついてた場面をシルフィちゃんが目撃。シルフィちゃんが動揺してるのを見て、わたしが二人とも連れ出して席に座ってるのが今の状態。まだ二人とも困惑って顔して現状を理解してないの。


もちろん、今からどういう事情か話さなければいけないんだけど……。勇気が持てない……。


多分ね。シルフィちゃん怒らないと思うんだ。

シルフィちゃん怒った顔見たことなくて……

でも、怒られなかったらわたしが辛い。

逆に怒ってくれた方が良いよ!

でも、どっちにしても絶対シルフィちゃん悲しむ……。



でもさ、じゃあシルフィちゃんをわたし好きで、セレスティナさんに実はあの告白はそう言う意味じゃないよとか言える?


ここでわたしに裏切られたって知ったらもう、絶対セレスティナさん死出の旅路に向かうよ。本人自分の感情解らないんだからどっかで限界来て死ぬよ。

そ、そんな事になったらわたし……


こんな状況になるから隠したかったのに。針のむしろのがまだマシだよ!


でも追いつめられて……八方塞がり。

胃が、胃が痛い。

二人ともずっとわたしを見てる。

シルフィちゃん不安な顔してる。

セレスティナさんも何が起こってるの解らない顔してる。けど、不味い雰囲気って感じてるよね。


上手い言い方が女子力全開にしても見つからない……。誰もたよりにならない……

だ、誰か、わたしを助ける奴居ないの。


「あ、あのアイギスさん……わたし大丈夫ですから」

「あ、あのアイギスさん……えっと。やっぱり私……」


もうタイムリミットが来てしまった。

そしてわたしが観念して喋り出そうとすると……

玄関の扉が開く音がした。


見覚えのある奴が男の子を連れて家に入りこんでくる。わたしは奇跡を頼ったけどコイツじゃないよと思った。


「このハーケルマイン。ただいまアル君を連れて戻りましたぞ。はっはっはっ」



現れたのは全身蒼黒い鎧に身を包んだ奴。

特撮の悪役ライバルキャラのような凝った仮面で顔を覆って素顔が見えない。


正体は聖魔帝国の魔神将アーク・デーモンとかいう奴。空に浮かべた戦艦からわたしを監視してる部隊の司令官。……なんでコイツがわたしの家くるの。アル君連れて。


「あ、ハーケルマインさん。お帰りなさい」

と、シルフィちゃんがテーブルの席から立ち上がって出迎えるの。え、え?どゆこと。


「雪国の散策もなかなか良いものですな。本国も北国ですが雪は降りませんから。おっと、こちらが頼まれてた買い出しの品ですぞ」


と、紙袋をシルフィちゃんにかがんで渡す長身の魔神将アーク・デーモン。お前その全身鎧の格好で店にアル君連れて買い物行ってたんかい! ご近所でどんな噂立つか解らないからやめてよ!


「ありがとうございます。ハーケルマインさん」

「なんのこれしき。姫君の思慕の方の御為おんためなれば」


と、言われてシルフィちゃんの顔がちょっと恥ずかしいって顔になる。

なっ、コイツわたしのシルフィちゃんに!?


「ちょ、お前! シルフィちゃんに色目使うんじゃない。この間男、間デーモン! てかなんでコイツが居るの!」

「はっはっは。何をおっしゃいます。殿下のご家族はこのハーケルマインめが生命いのちに変えてもお守りいたすと申しあげたでしょう」

「聞いてるけど、なんで家に上がりこんでるのかってこと!」


「姫君が家を空けるとならばと、ご主君の代わりにお留守を預かったまで。これでも騎士ですからな。配下の者も控えておりますれば。どうぞご安心を」


「そう言う事じゃないの!」

「あ、あのアイギスさん。すみません。わたしが勝手にお買い物頼んだんです」

「いや、そうじゃなくて」

「おや、丁度、昼食の時間ですな」


魔神将のやろう人の話し聞いてない。

てか、アル君が仮面野郎になんか懐いてる。そりゃ男の子だったら格好良いって思う、仮面だけどさぁ。わたしも若干男の子部分が刺激されるけど。



「おじさん。お腹空いたぁ」

「な〜に。もう少しまてば昼食が出来上がりましょう。足りない食材を買って来ましたからな。さっ、あちらでお着替えですぞ」


と、アル君連れて奥の部屋に消える魔神将。

なにあいつ子供の扱い手馴れ過ぎてない。

そして魔神将が一人で戻ってきた。


「一人でお着替えできるそうですな。あの年頃にしては良くできたお子さまで」

「なに、お前。本当に魔神将アーク・デーモンか?」


ゲームの世界じゃ魔神王に次ぐ強さなのが魔神将アーク・デーモン太古エンシェントの真竜に匹敵する強さの筈だけど、気位きぐらいが冒険者の騎士並みに安いぞ。本当に魔神将アーク・デーモンか?


「はっはっは、御冗談を。拙者は一介の騎士ですとも。はるばる姫君の為に馳せ参じたというのに魔神将アーク・デーモン呼ばわりとは」


と、言いながら目の前の魔神将が念話で話しかけてくる。


"と、言う設定でお頼み申しますぞ姫"

"姫ってなんだ"

"そういう設定でございますとも。神祖の妖精王の血縁……つまり姫君でありましょう? 魔女王陛下からそのようにご身分をお隠しになるとうけたまわっております。


"……1つ聞きたいんだけど魔女王にはそれ以上聞いてない?"

"無論、陛下が神祖の妖精王であることは重々承知"


クソっ。完全にバレてやがる。さすがに血縁設定で誤魔化せる相手じゃなかった。


"なに、このハーケルマインには魔女王陛下から細心の注意を払い非礼なきよう忠節を尽くせとの勅命が下っておりますれば。どうぞご安心を"



"今の状況が安心できない――"と念話で語りかけてたら魔神将がセレスティナさんに向きなおる。人の話し聞かねえ。


「おや、してこの可憐なお嬢さんは……」

「……あ、はい」


それまで成り行きを見守ってたセレスティナさんが席を立ってお辞儀する。神官の正式な礼みたいなの。わざわざそんな奴にしなくて良いのに。


わたくし、武神にして錬鉄のあるじ、炎を司る戦神バーラウに仕える司祭セレスティナと申します」

「これはご丁寧に。拙者は故あって姫君アイギス殿下に仕える一介の騎士。サーなど付けずにハーケルマインとお呼びくだされ」


「ご挨拶ありがとうございます。ハーケルマインさん。で、えっと……アイギスさんは高貴なご身分の方なのですか?」

「無論ですとも。姫君はさる尊きお方の血を受け継ぐお方。王族いえ、皇族と言っても過言ではありますまいな」



そしてセレスティナさんとシルフィちゃんがわたしを見る。本当なんですか? と好奇な目で。

これ答えなきゃならないのぉ。物凄く恥ずかしいんだけど。


「…………そうだよ」


昔居た神さまで神祖の妖精王って言うんだ。同じ種族だから血縁じゃないかな。なんてとても言えない。第一、元はゲームの設定。キャラクターの種族じゃん。


しかも自分はお姫様設定はちょっと……実際にやられると恥ずかしいよ。チヤホヤされるのは悪くないけど。褒められるのは大好きです。


でも、なぜか話しを聞いたシルフィちゃんが焦った顔してるの。

「そ、そうなんですか。す、すいません。アイギスさま。今まで馴れ馴れしくて。ごめんなさい」


あ、身分差とか結構ある世界だったの忘れてた!

貴族とかだったら酷いことして来るやつ多いもんね。怖がるのわかるよ。


「シルフィちゃん待って! 貴族なんかと一緒にしないで。わたしがシルフィちゃん好きになったのは身分なんて関係ない! 」

「左様ですとも。愛に身分の差など関係ありせんぞ。それに姫君はまことの王君。愛しき君にどうして非礼を咎めましょうや」

「そ、そうなんですか……」


シルフィちゃん俯いちゃった。やめてよぉ、状況をこれ以上わけ解らない方向にもって行かないでよぉ。

わたしが心の中で涙目になってると、今度はセレスティナさんがシルフィちゃんの所へ近よっちゃう。

え? 何を。



「そ、そうですよね。妖精人エルフの王族の方が身分を気にする訳ないですよね。人間族の方とはそもそも慣習が違いますし……あ、アイギスさんがシルフィさんを……あ、愛してるのは本当だと思います」


セレスティナさんシルフィちゃんにフォロー入れてるのは解るけど、自分の動揺を隠しきれてないよ。


てか、セレスティナさんがわたしがシルフィちゃんを好きなのに気付いちゃったじゃん。どうしよ、どうしよ、と、わたしが困惑してると全身鎧の魔神将が陽気に笑い始める。


「はっはっは。しかし姫君も隅に置けませんなぁ。両手に華とはまさにこのこと。いつの間に戦神の司祭どのの心をお射止めに? 拙者がここに着任する前ですかな」


シルフィちゃんがうつむいた顔をあげて、「あ……」って理解に及んだ顔してる。

シ、シルフィちゃんにも気付かれちゃった!


「おや、もしや……まさか今日が初顔合わせですかな姫」

「…………」

「これは失礼を。まさかそのような日にお邪魔してしまうとは……」



こ、こいつ殺したい。

人の気も知らないで話し勝手に進める。その様子だとテメェは状況解らないんだろうけどよ。


"さ、姫君。フォローは入れておきましたぞ"

"お前っ! お前知ってたの!"

"配下から女子を連れて家に戻ったと報告を受けましてな。これはもしやと思い……ギリギリのタイミングで間に合いましたな"

"間にあっても状況が、想像通りに悪化してるよね! お前が来た意味あるか、言ってみろ!"


"何をおっしゃっる。姫君が高貴なお方というだけでご納得頂けるというものですぞ。王族なら妻が複数人居て当然の話しではありませぬか"


"それ女の子同士でも適用される話しなの。なにか間違ってる気がする……だいたいそれ女の子の気持ち考えてないよね"

"むしろ、この手で行くしかありますまい。この場は一旦切り抜けることが肝要……姫、破局は免れたい。そうでありましょう?"

"うっ……"


これは助け船なの……。でもシルフィちゃんとセレスティナさんの気持ちないがしろにするんじゃ……


「おや、所でご昼食の用意はよろしいのですかなシルフィ嬢」

「あ、あ。そうでした。すいません」

と、ハーケルマインに促されシルフィちゃんが台所に戻っていく。

「さ、セレスティナ殿もどうぞお席へ。さて拙者はアル君と赤子のご様子を見て参りますとも」



と、念話の途中で話しを切り、奥の部屋に去りながらまた念話を繋げてくる魔神将。


"姫君に他に手立てがあったとなれば、お叱りはごもっとも。然し、そうでなければ、どのみち時間を掛けて解決していくしか手立ては有りませぬぞ。愛人同士の軋轢というのは良くある話しですからな"


ぐぬぬぬ。何も言い返せない。文句言うなら代案を持って来いという話なの、わたしでも解る。でも、癪だからテキトーにイチャモンつける。


"てか、なんでそんな話し魔神将が知ってるのさ"

"拙者、任務で人間の女性のお相手を複数人、務めたことがありましてな……はっきり言って大変でござった。アイギス殿下ご覚悟なされよ。このくらい序の口ですぞ……"

"まさかの経験者かよぉ……"


幸先が思いやられてわたし泣きそうになる。実感こもり過ぎの口調やめてよ。念話で感情伝えてくんな。それ今のわたしには響きすぎる。

そんな不甲斐ないわたしを気遣ってか、セレスティナさんが心配気な顔向けて来ちゃった。


「あ、あのアイギスさん。私は大丈夫ですから、お気になさらずに」

「ごめん。本当にごめん。セレスティナさんに言い出せなくて」

「いえ……それに本当に王子さまなんですねぇ」



と、セレスティナさんがとろんとした目つきでわたしを見つめる。女の子が夢みる目だ。

え? セレスティナさんはこれで良いの?


「でも、わたしシルフィちゃんも好きでセレスティナさんも好きだし……」

「王族の方なら仕方ありませんよ……それに私も好きって言われて嬉しかったんです。だから私は大丈夫です。居なくなったりしません」

「うっ。セレスティナさん……」


なに、この抱擁力。本当に好きになりそう。いや、好きなのは確かなんだけど……駄目だ。わたしまだ恋愛とか解ってないのかも……。


「はい。クリームシチュー出来ましたよ〜」

と、シルフィちゃんが鍋をうんしょと持ってくる。


わたしは慌ててそれを手伝って、そのまま食事の用意のお手伝い。

その後は昼食になり、なし崩し的に話しが終わっちゃった。ちゃっかりハーケルマインもシルフィちゃん手作りのクリームシチューを頂いて帰るし。



……結局、その後、わたしは二人の気持ちを聞けなかった。まるで二人とも何もなかったように振舞って、わたしも怖くて話し出せなかったの。


……でも、本当にこれで良いのかな。と、わたしは不安に駆られる。何かいやな予感がするの。


そう、もっと予想の斜め上の出来事に合いそうな……そんな確信めいた予感が。




聖魔帝国の子供たちの為にヒーローショーイベントに駆り出される。魔神将。


魔神将ハーケルマイン

「とおっ! 掛かってこい。正義気取りの仮面戦隊!」

天使王

「やはりハーケルマインへの配役は完璧であった。大人気御礼。この幼女の目に狂いはなかった」

尚、女性人気も出てしまい。例の話しに繋がる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ