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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第1章 星幽界の彼方から求めて
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外伝その一 妖精騎士アイギスさんと暗黒騎士の残党討伐

尺が長くなるので組み込めなかった、第三話でやろうと思ってた話の短縮版を外伝でお届け。



わたし、妖精騎士アイギスと、暗黒騎士ジェラルダインは賊の残党の廃砦アジトがある山の場所近くに来ていた。


そしてジェラルダインが隠蔽能力を持った妖魔や悪霊を召喚、廃砦に送り込み内部偵察を完了。


「さて、敵の配置は説明した通りだ。人質は後回しにする。手早く片付ければ問題あるまい」

「オッケー。シルフィちゃんも村で待たせてるしね。最速でやろう。であとは――」


木の近くに縄で縛られた賊2人。

たまたまわたし達が賊の残党の情報を求めて村に寄った際、悪さをしてる所を見咎められた馬鹿な連中だ。

とっ捕まえてみれば都合よく賊の残党だと判明。そのままアジトの位置を案内させる為に連行してきたのだ。


「じゃ、ジェラルダインこいつらはもう要らないよね。始末しよっか」


わたしは剣を鞘から引き抜きながら極自然な台詞セリフを述べる。どうしようもないクズでありながら、さらに強盗、殺人、拉致監禁、強姦までやってのける連中を生かしておく道理はこの世にある? 絶対にある訳ないよね。

なら殺らなきゃ(使命感)。


「まぁ待て。アイギス」

「ん? もう吐くもの吐かせたのにまだ用あるの」

「いや、ただ……お前は簡単に殺し過ぎるからな。少しは生命いのちと云うものの有益さを理解させたくてな……。賊といえど同じ人間だろう? なら少しは慈悲を掛けてやれ」

「…………」


わたしは絶句した。

まさか悪霊だとか悪魔を使役するジェラルダインからそんなお人好な台詞セリフが出てくるとは。想像の蚊帳の外すぎる。本当にお前、暗黒騎士か?


「え、待ってジェラルダイン。じゃあ衛兵に突き出すの。面倒だよ? そんな手間暇掛けるの?」

「ああ、そうするつもりだ。カザス村の件もある。伯爵に恩を売るのも良いだろう。それに捕らえた賊どもは村に突き出しておけば手間も省ける。少しはギルドマスターの顔を立ててやれ」

「……まさかジェラルダインがそんなに人の事考えてるとは思わなかった……」


わたしの抱いていた暗黒騎士イメージが瓦解する。一切の情け容赦のない冷酷無比、悪逆無道な奴だと思ってたのに……そんな現実的な大人の打算で動くなんて……そんなの、暗黒面ダークサイドじゃない。わたしの男の子部分が意気消沈してるぞ。

暗黒騎士って利用価値がなくなった悪党はすぐ始末する。そんなわたしのダークヒーロー的な暗黒騎士イメージが崩れ去った。



「別に大した事ではないだろう。少しは見習えという話しだな。さて――話しは聞いていたな?」

魅了チャーム〉の魔法で操ってた賊二人に、掛けた魔法を解除する暗黒騎士。


「た、助けてくれるのか」

「ああ、もちろんだ。公平な法の裁きというものを受けさせてやろう」

「待ってくれ。おれは死にたくねぇ。裁かれても死刑になるんじゃどっちみち死ぬじゃねぇか」

「なに、お前たちは情報の提供者という事にしてやろう。死刑は免れるのではないかな」

「そ、そいつはありがてぇ」


うわぁ。そこまでお人好しなんだぁ。とわたしはジェラルダインの評価を改める必要があるかなと考えた。必要があれば何でもやりそうだけど、そうでなければ以外に慈悲深い。

そういうふところの大きさがある人なんだなぁ、まあコレはコレで有りか? わたしならそんなに、甘くしないけど。

と思いそうなその時。


ジェラルダインが急に悪魔を召喚しだした。

もう一目みて悪魔悪霊のたぐいのやつだと判るやつらを。


全身包帯ぐるぐる巻きで拷問器具を持った悪魔。拷問の悪霊トーチャー・デビル。(治癒魔法も使える)

拷問器具で有名な、処女を象った両開き棺桶(中身は棘びっしり)の悪魔。鉄処女の悪霊アイアンメイデン・デビル。(治癒魔法も使える)

相手の魂を吸ったり、弄んだりする事に定評があるイカ頭の妖魔。魂魄吸いの魔導士ソウルフレアー。


他にも小物の悪魔数体。わたしには前世の知識やゲーム知識があるのでなんとなくこの後の展開が読めた。


そして悪魔たちが賊どもに群がり、悲鳴が上がり始める。「たすけて、たすけて」とか「痛い、痛い」とか言葉に出来てたのはほんの数分。すぐに悲鳴は言葉に成らない耳障りな絶叫の連続に変わった。



「つまり、こういう事だアイギス。――ああ、悲鳴が耳障りだな〈沈黙障壁サイレントシールド〉」

「…………」

「一応言って置くが嗜好や趣味でやっている訳ではない。悪魔を使役するにも贄が必要でな。あの悪魔どもの好物を与える必要がある。冒険者なら判るだろう?」


「いや、良くわからないんだけど……」

「狩人なら取った獲物は余すことなく利用する……それと同じことだ。汚泥の中で生きるような人間でも使いみち次第だ。――なんだソウルフレアー」


イカ頭の悪魔が恐る恐るといった感じで近づいて来た。

「ジェラルダイン様……あの者らの魂にちぎりを施しました。いずれ我らの者となりましょう……。されど、生かせとの要望ですが、どの程度でございましょうか」

「伯爵に引き渡すから半年程度は生存できるくらいだな。魂の使い途は好きにしろ」

「ははっ」


とイカ頭の悪魔がかしこまってお辞儀してから仲間の元に戻っていく。


「さて、邪魔が入ったな。なに、自分の利益を最大化させる為に選択肢は一つでも多い方が良いと言うことだ。殺った方が手っ取り早いのは解るが状況次第だぞ」

「何を言いたいか、何となく解った」

「そうか。冒険者稼業を続けていくならこの考え方は役に立つ。覚えておいて損はあるまい」


そして、何事もないように賊どものアジトの廃砦に歩を進める暗黒騎士。


取り敢えずわたしの信じた暗黒騎士は戻ってきた。わたしの想像の斜め上方向にぶっ飛んだ感じで。


これが少し悪ぶってとか、罪悪感を引き攣って、とかなら人間味あるんだげど、ないんだよこの人。

あんな事やってるのに感情の揺らぎとか全くない。

わたしの初期印象ファーストインプレッションは間違ってない。むしろ、もっと酷かった。


ジェラルダインと比べると自分が結構まともな人間に思えるぞ。わたしの悪行は悪行ではなかった。魂取らない分むしろ善行のたぐいであったな。


「――どうしたアイギス。早くいくぞ」


呼ばれたので小走りにわたしは付いて行く。ただ一つ、どうしても気になる事があったので聞いて見た。


「ジェラルダイン。さっき賊に慈悲を与えるとか言ってたけどあれはどういう意味で?」

「狩人の話と同じだ。奴らは私の役に立った。奴らの人生に意味を与えてやったな。それが慈悲だ」


悪びれもせずに返答するジェラルダイン。

そうなのだ。この人全て自分本位なのだ。

全て己の為に生きる暗黒騎士なのだ。

他者の生命も命運も、究極の所は自分に関係あるかどうか。都合が悪ければ他者を踏みにじる事も辞さない……

そういう闇の世界の住人なのだ。


「さて、そろそろ賊の見張りに見つかる距離だな」


そして、賊のアジトに辿りつく。

この後、賊達がどうなったかは語りたくない。

わたしがジェラルダインの暗黒魔法が観たいと言ったら阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄絵図と化したので。

いや、ゲームの知識で知ってるけどこの世界では実際にどんな効果になるかは知らなかったんだよ。


取り敢えず、わたしアイギスは大切な事を学んだ。

人の生命いのちで遊ぶのはやめよう。


わたしアイギスと良い子のお友達の約束だよ。

人にはやっちゃいけない事があるんだ。


と、今日の冒険で妖精騎士アイギスは学んだのであった。



良いか?

次は第四話だが、既にストックは切れているのだ。

(´・ω・`)〈 調子乗って1日に2回とか更新するからだ。

取り敢えず第四話までは頑張るぞい。


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