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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第1章 星幽界の彼方から求めて
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第三話 妖精騎士アイギスさんと神祖の妖精王の探索(2)

フィリクス「必殺の百合カウンターを食らえ!」

(おまえなに言ってるんだ、というつっこみ待ち)



わたし、妖精騎士のアイギスとシルフィちゃん。

そして、暗黒騎士のジェラルダインは、宿場町という感じの村にやっと到着。


「この村は他の村に行く中継地としても便利な村だから、みんな中継地の村って呼んでるよ」

「この村のことはわたしも知ってました。来るのは2回目です」

「そうか。で、気になったのだが、この村の名前は?」

「…………」


暗黒騎士のジェラルダインの問いにわたしとシルフィちゃんはお互いに顔を見合わせた。可愛いなぁ、シルフィちゃん本当、村娘って感じで。

「あ、あのわたしも中継地の村としか知らなくて……」

「アイギス?」

「ん? わたしも中継地の村としか知らないけど。村なんていっぱいあるんだから、イチイチ覚えてない」

「まぁ、確かにどうでも良いな。その認識で不都合がないなら尚更な」

そうそう、細けえこたぁ良いんだよって話し。


「じゃ、わたしたちは話してた宿取ってくるから。後は好きにしてよねジェラルダイン」

「いや、待て」

待たない。わたしはシルフィちゃんの手を取って歩き出していた。宿が待ってる、もちろんしけ込むよ。おうちじゃ、赤ん坊とアル君いるから、できないんだし。何を、って言わせんな恥ずかしい。



ただ、一瞬足元に違和感を感じてわたしは即座にそれが魔法攻撃だと悟った。わたしの魔法抵抗力で対抗レジストして打ち消したけど。わたしはその場で盾を構えて全周囲警戒。


「待て。と、言ったろう?」

「やっぱりジェラルダインか。人に魔法使うなんて喧嘩売ってんの?」

「それは人の話しを聞いてから言う言葉だな」

「ジェラルダイン。あのね、女の子には色々あるの色々。自分で配慮するって言ってたよね。ね?」

「…………」


ジェラルダインの目深に被った黒フードの口元の端が一瞬引きる。良し、この人おそらく恋愛関係には弱いな。女の人だけど仕事一筋って感じだし。

わたし、アイギス。ただ、イチャイチャしていた訳じゃない。きっちりこの暗黒騎士を観察してたの。勿論もちろん、弱点がないかを。


そして、わたしは頬を赤らめてしおらしくする。乙女って感じで。もじもじ。

「あのね。ジェラルダイン聞いてね。今わたしたち一番盛り上がってる大切な時期なの。エルフだったら判るよね?」

更にジェラルダインの口元が引き攣る。隣のシルフィちゃんが「え、え?」って感じで理解が追い付いてないけどここは押し通す。ちなみにエルフに発情期があるかは、わたし知らない。でも、ありそうだよね。


そしてわたしは恋する乙女の眼をしてうつむき……

「だからね、あのね。本当に申し訳ないんだけど、邪魔しないで貰いたく……ないの」

そしてわたしの全力の上目遣い。


自分で言うのもなんだけど、わたしはエルフで美少女で可憐な妖精騎士だよ。そんな子が恋に落ちて、思春期真っ盛りな感じなんだから、男でも女でもそりゃ遠慮するのが筋ってもんでしょ。


そして、ジェラルダインの褐色肌の口元を見ると、引き攣らせはしてなかったけど端が固まってた。

よし、大分、精神にダメージを与えたな。

神祖の妖精王は精神攻撃大得意だかんね。


そして、わたしは闇妖精ダークエルフの暗黒騎士に背を向け、俯き気味にシルフィちゃんの手を取って歩きだそうとする。よしっ! このまま宿に突入だ。


が、

「待て」

と、わたしの肩にジェラルダインの装甲篭手ガントレットが乗る。そして、わたしの耳元で囁いてきた。聞いた事ないような優しい声音で。


「いいか、アイギス。お前の言う事も解らないではない」

吐息がわたしのエルフ耳に掛かる距離。

囁くような声音、それでいて蕩けるような力強くもある声。普段感情が籠もってない口調だから落差が凄い。あ、これヤバい。

ファション誌のモデルできるくらいの美人さんがジェラルダインなんだよ。そんな人がわたしの耳元で囁いてくるの。


「恋とは燃え上がる情熱なような物だと聞いている」


まるで美女が男役してるように男口調なんだけど、声音が凄く優しい。そして演劇のような台詞セリフ

「愛しあいたいんだな?」

と、まるでわたしが抱かれるの? と幻想抱きそうな言葉。

あ、わたしの胸が高鳴った。

え、なにこれどうなってんの。

そして、ジェラルダインがわたしの前に回り込み目深に被ったフードを取る。

うっ、わたしの目の前に現れるのは、黒髪に褐色肌の美目麗しい闇妖精ダークエルフの女の人。


「私に恋の経験はないが理解もできる。だが、今の私にはアイギス、お前が必要なんだ」


わたしの胸がどっくんどっくん波打つ。あ、ヤバい。わたしの視界が歪む。必要なんだ、って言葉が脳裏に反芻はんすうする。

「え、それどういうこと……」

「今、お前に居なくなられると困る」


わたしの胸がドキュン! ってめっちゃ音なった。撃ち抜かれた! あ、だめ。恋に恋する乙女になっちゃう。はっきり言っちゃう。ジェラルダインってわたしのドストライクな顔してるの。

だって、イケメン美女なんだよ、この人。しかも、大人と少女の中間って感じのわたしのめちゃ好みの容姿だし。

てか、この人でわたし、自分が女の子が好きだってわかったんじゃん。そ、そんな人に、迫られたら。


「アイギス。私を手伝って欲しい」


あ、やめて。理性ではこれ駄目なやつって解ってるの。でも、わたしの女の子部分が。


"もう良い、あなたの好きにして"

"なんでもします。やらせて下さい。一生ついていきます"

"推しにみつがずしてなにが乙女か。危険な所がめっちゃ良い"

"もう、わたしのことめちゃくちゃにして! 大好き!"


陥落してる!

男の子部分も、暗黒騎士、暗黒面ダークサイドサイコー! とか阿呆なこと言ってる!

辛うじて2割の男の子理性で持たせてるけど、もう、わたし。


「どうかな? アイギス。危険に巻き込んで済まないとは思ってるが、これも私の仕事だ。君に任せたいことがあるが……」


あ、やめて。返答待ってる。駄目、今のわたしの理性じゃ抑えきれない。普通の女の子がテレビ出てる推しの人気アイドルに声掛けられて手伝って欲しいとか言われてみて。断れる?

それ、今のわたしの状況だから。


「あ、あ、わ、分かったよ。我慢する。手伝う……」


あぁ、しかもわたし、しどろもどろになってんじゃん! もっと気の効いた言い方あるだろぉ! 2割理性だから、制御効かない。8割持ってかれてる!


「そうか、それは良かった。感謝するぞ、アイギス」


あぁ、やばいわたしの脳蕩ける。あの鉄面皮のジェラルダインが微笑んでる。反則過ぎるだろ、お前!

ああ、でも、もうやばい……わたし意識飛んじゃう。


そしてジェラルダインが黒フードを被り直す。わたしはもう放心状態。


「では、アイギス。宿の方は私が取ろう。悪いが夕方まで情報収集して於いてくれ。酒場で合流するから、それ以外の場所だな。何か変わった出来事がないかつぶさにな」


そして、宿の方に向かう闇妖精ダークエルフの暗黒騎士ジェラルダイン。



わたしはその後ろ姿を呆然と見送って、はっと我に帰って……

「あ、あ、あぁああぁああああぁあぁあ!」

と、声に成らない声を上げる。

わたしの理性が戻って来て何言われたか理解したからだ。あいつ、ただ単にわたしに情報収集頼む為に……!


やられた、やられた! あいつ、わたしの乙女心をもてあそびやがった! 絶対あんなの詐欺じゃん。あれ、わたしが仕掛けたから、絶対、報復してるよ。わたしが女の子好きだから、それ利用されたんだ! 許すまじジェラルダイン!


「あ、あのアイギスさん……? 大丈夫……ですか?」

わたしはシルフィちゃんに抱きつく。

「ごめん、ごめんなさいシルフィちゃん」

もう、わたしは半泣きだった。

これは罰なんだ。シルフィちゃん以外に目移りしちゃった。

これ程悔しい事はない。もうわたしは浮気しない、シルフィちゃん一筋に生きるんだ。

そして、わたしアイギスは心の中で固く決意を固めるのだった……


ジェラルダイン「我が儘を言う子供のあやし方だったがなんとかなったな。……やはりあいつ子供か?」


まったく自覚がないジェラルダインさん。

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