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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第1章 星幽界の彼方から求めて
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第一話 妖精騎士アイギスさんの村人救出作戦(1)

良い感じに出来たので1話分を投稿。



白一色に染まった雪原。

この地方で繰り返される季節の節目、冬の訪れは平地の場所より一足早く訪れる。


わたしアイギスはこの異世界で訪れた何度目かの光景を目にして、"あぁ…もう冬だなぁ…"と独り言を口にしていた。


足早に雪原を踏みしめながら、旅路を急ぐ。

わたしは転移魔法という便利な魔法も使えるのだが、視認できない未踏破の場所には転移できない。

帰りは楽だが、行きは徒歩である。


薄い雪化粧によって景色が白銀に輝き、朝日の陽光が小川に反射、自然が輝いて見える。ただ、見慣れてしまうと、それは通り過ぎいくただの風景だった。


…刹那的な生き方をしてると徐々に感性が死んでくる。

冒険者稼業は毎日が切った張ったで自然を尊ぶ余裕も無い。エルフと呼ばれる妖精族に有るまじき心の荒みっぷりだった。


「しかも行く先が、もう手遅れ感出てる…」


遥か彼方の、山の麓にある村。

わたしアイギスの目的地だ。が…その辺りから立ち昇る幾つもの煙がわたしの心を暗く覆った。


コレが勘違いでご飯時なら杞憂というもの。

村人の人達がいつもの平和で平凡な日常を送ってたら、わたしの草臥儲くたびれもうけ、笑い話で済む。

しかし、日はまだ昇り始めたばかり。しかも、賊が付近で暴れてるから見て来い、というのが今回の仕事内容なのだ。何が起きてるかは想像に難くない。


村の上空は猛煙で黒く濁り始めていた。

わたしは剣と盾を手に取った。

どんなに遠くても視認できるなら転移魔法で飛べる距離。


残念ながら今日もまた、血なまぐさい冒険になりそうだった。




戦闘開始は出会い頭にまず一撃。

取り敢えず、村にいた賊っぽい奴の頭上を、飛びかかって剣で叩き割る。


スイカみたいに簡単に割れる。…まぁ普通は年端の行かない女の子が剣を振るっても割れない。


何せわたしの見た目と来たら、童顔に低身長なので鎧を外してランドセルを背負ったら、義務教育中のお子様が出来上がる。見た目的には子供だ。


けど、ゲームの世界ではレベルMaxだった。この世界の一般人程度なら脳髄を破裂させるなど容易い。

わたしは所謂いわゆる転生者でゲームの世界のキャラクターそのままの姿と強さでこの世界に来ている。強いのは当たり前でこの異世界では無双状態だ。


けれど、この世界はゲームの世界と違いヤバいくらい流血が飛び散る。ゴア表現ってレベルじゃ済まないぞ。血の気の引く奴を目の当たりにする。


が、戦闘中に特に気にしてられないので手当たり次第に賊共を薙ぎ倒していく。

殺しは慣れです。(経験者は語る)


剣で切る。盾でブッ叩く。攻撃手段は二つのみ。

魔法も使えたり、必殺技とかも有るんだけど、まず使わない。理由は二つ。

雑魚には必要がない。他の手段は、"遅い"。

わたし、アイギスの戦い方は速さこそが信条なのだ。


相手の攻撃が当たらなければどうという事はないし、逆にこちらの攻撃を一撃当てれば雑魚は死ぬ。

結果、大仰な魔法や必殺技は必要ないのだ。


そして、わたしは村の中で動く者を手当たり次第に肉塊に変えた。


剣やら斧やら村の中で武器持ってうろついて、家屋に火をつけて、ご満悦そうに恍惚の笑み浮かべた連中。

そんな奴らが村人だったら、斬り殺しても何も問題はない。そんなホラーヴィレッジなら滅ぼしてしまって問題ない。むしろ滅ぼすべきである。


が、残念ながらそんなバイオハザードが起こってそうな村ではなく単純なジェノサイド案件であった。


「…生命反応なし…クリア。じゃなくて…本当に生き残り居ないなコレ…」


わたしの技能スキルの一つ、精神探知が周囲に生存者無しと伝えてくる。村の範囲は十二分に索敵圏内だ。能力や魔法で相手が隠蔽していない限り反応に間違いはない。

勿論、万が一ということも有るが…


村は現在進行系で焼け落ち中。

猛々と火の手が上がり、煙でコレ以上は村の中に居ては危険な状態だ。

というより一酸化炭素中毒で死ぬ。


わたしは早々に村の探索は諦めた。

万が一より、より確率の高い可能性を早く確認しなければならないからだ。

村の外に逃げたという可能性を。

その可能性も時間との戦いで刻一刻と生存確率は下がり続けている。


わたしは冷静に冷徹に計算する。


「この村が襲われたのはおそらく昨日。その間に逃げ出したとして……まる1日から半日……救出できるかは結構ギリギリかぁ」


この辺境の山岳地帯はアフリカのサバンナでちゅ~るを全身に塗りたくってコレ見よがしに歩くより危険なのだ。あそこにいる猛獣猫科だからね。


ワンチャンス、猫科動物ならちゅ~る舐めまくってご満足して頂けるかも知れないが、この地に住む魔物で猫科は居ない。フレンドリーな連中に出会ったこともない。どいつもこいつも弱肉強食の掟に従い躊躇なく襲ってくる。


しかも今の時節はそろそろ食料が厳しくなる冬。もっとも、魔物達が殺伐とした時期…

急がなければ肉片すら奴らは残してくれないのだった。

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