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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
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第二十六話 妖精騎士アイギスさんと続・悪党退治の強襲大作戦(2)



バルコニーに降り立ったのは結論から言うと大金星。やはり王族のプライベートエリアらしくって王妃さまがお付きの人と一緒に居たの。



『……手柄だな。王妃さえ抑えてしまえば後はなんとでなる。後は宮殿そのものと、王都に居る貴族連中に話を付ければ形式は整えれるからな』

『王様じゃなくて良いの? ジェラルダイン。最低でも王族の一人は取っ捕まえろとは聞いてたけど』


『ベルナータ王妃はこの国の正統な王権を持っている。王の方は入婿だ。実際に実権を振るっていたのは王の方だが君主制である以上、権威の方が重要だからな』

『なるほど……』


通信機で別動隊を率いてるジェラルダインに早速連絡を取ると褒められた。目的の一つを早々に達成したんだから、そうなるよね。


ただ、当の本人、王妃は状況を良く解ってない様子で押し込みに来たわたし達の方が戸惑うくらいなのだけど。


ベルナータ王妃は初老のおばちゃんでニコニコ歓待してくれるの。王妃の私室でテーブルにお茶とか用意してくれてんのよ。

ちょっと早目のボケ来てるのかな、と思ったけど侍女に詰め寄って聞くとそうでもないみたいで……


「……じゃあ、いつもあんな調子なんだ」

「……はい。ベルナータ陛下はその、私どもから申しあげるにははばかりますが……」

「いや、その先は言わなくて良いよ。なんとなく解る。でも、これ夫の王さま取っ捕まえに来たとか言ったらマズイよな……」



私室のテーブルで戦神神官のセレスティナさんと森祭司のシャルさんがその王妃とお茶して歓待受けてるの。

シャルさんが伝説に語られるような有名人で名乗ったらベルナータ王妃から引き留められるんだもの。


「まぁ、ではやはりハイデリアンの森の。お父さまからは良く聞かされていましたわ」

「そうなのですか。私も森を封印する際バハルターク家の方々には当時お世話になりました。その末裔の方が王家になっているとは知らず……」


「あの麗しのシャーレアンの妖精にお会いできるなんて夢のよう……あら、誰かお茶のおかわりを持って来て……それに今晩の御夕食はどうしましょう。エルフのお客様に満足できるものをお出しできるかしら……」


仮にも宮殿で戦闘中なのに初老の王妃のこの朗らかさ。見た目と違ってまだ少女のような心持ちなのかな。微かに遠く聞こえる喧騒とかまるで気にしない様子なの。


「仕方ない。王妃にはこのまま何も知らずに居てもらうわ。メイドさん。この部屋と周囲は護衛に守らせるから、このままの状態を維持して」

「……は、はい。ですが御夕食は……」


出せる状況かな? 侍女の方も相当テンパってる状況だもの。焦る気持ちは解るけど、心配する所が違う気がする。


「……調理場と料理人を確保したら運ばせるよ。それまでお菓子とかで我慢させて」


ご飯がなければお菓子を食べれば良いじゃない。実際そういうご身分なんだし。

そして、わたしは王妃の元へ向かい挨拶。



「では、シャルさん。王妃の事、よろしくお願いね」

シャルさんが気に入られたみたいなので護衛も兼ねて居てもらう事にしたよ。

「は、はい。解りました。アイギスさまもお気をつけて」

「あら、ご一緒できればよろしいのに……」

「いえ、務めが有りますのでベルナータ王妃。セレスティナさんは……」


そそくさと席を立ちペコリと頭を下げる戦神司祭のセレスティナさん。珍しいエルフ司祭だからか最初に質問攻めにされ、王妃の興味がシャルさんに移ったからそのまま逃げ出す気だな。


「王妃のお相手をそのまま務めてくれても良いのよ」

「いえ、戦神バーラウに仕える者としていくさに赴くのが務めですので……ではベルナータさま。ご機嫌麗しゅう」

「あら、ですが仕方ありませんわ。神々への奉仕がお務めですし……またお話しを聞かせて下さいませ」

「えぇ喜んで……では、参りましょう」

と、わたしの背を押すようにセレスティナさんが王妃の部屋を後にするの。


「え? そんなにあの王妃さま苦手だった?」

「いえ、人柄は良さそうな方なんですが質問攻めにされそうで……それに、戦鎚を振るうのが私のお仕事です」

「振るうの良いんだけど、頭吹っ飛ばしたら取り返し付かないのよね……」


逆に言えば致命傷さえ与えなければなんとかなるものなのだけど。万が一が怖い。

今回、戦争って訳じゃなくて査察――ガサ入れって名目だから。王城の兵が全員が全員、悪党って訳じゃないでしょ。


「加減はしますって。それより状況はどうなってますかね?」

「三十分ちょい経つけど状況、大して変わんないよ。制圧できたのはまだ王城の2割くらい。他の王族は見つからず、この辺りのフロアはティアエルさんとレティアさんが見回って……って帰ってきた」



ティアエルさんとレティアさんが全身黒甲冑で固めたゴブリン背丈の〈黒色邪鬼兵団ブラックグレムリンズ〉の兵士たちと一緒に戻ってくる。

二人にはレンジャーの能力を生かして各部屋に隠し部屋や通路がないか探って貰って居たんだよ。


「ダメですね、アイギスさん。それらしいのが見当たりません。構造的にもっと下の階に有るのかも」

「王族のプライベートエリアとかに有りそうな物だと思ったけど。……以外にそうでもないのね。まぁ良いやそっちは」


「下の階が騒がしいですね……戦闘がそっちで起こってるようですが……」

「上と下で挟み撃ちにしてる感じらしいよ。当然こっちが優勢、なんだけど……アイリ?」


と、わたしは傍で付き従う愛娘まなむすめに問いかける。

アイリは渡されたタブレットの液晶画面を操作して戦況をずっと確認中だったの。そのアイリがわたし達の為に王城の見取り図がコンピューターグラフィックス化された画面をタブレットに表示する。


「今の状況はこんな感じ」

「わたしの娘、余裕でタブレット操作できて偉い」

「えっと、この画面は……」


現代機器とか見たことなかったレティアさんが困惑して画面を見つめる。そりゃそうだよね、青い点が味方で、赤い点が敵で、緑色の点が非戦闘員とか、説明されなきゃ解んないって。


「戦術データリンク……らしいの。どうして解るのかアイリも解んない」

「戦艦やらのセンサーの情報やら戦況の報告を統合して表示してるんだよ。さっきから鬱陶うっとうしいくらい魔法で探り入れられてるよ」

「昔の技術って凄いんですね……」


技術力差が圧倒的だもの。情報戦の段階で王国側に勝ち目がない。こっちは正確に戦況を掴めてるのに向こうはいきなり不意打ち受けて目隠し状態よ。


「うわぁ。城の構造とかも丸わかりに……これ隠し部屋とかも解るんじゃ……」

「いや、問い合わせたけど魔法で隠蔽とかされたら絶対に、とかじゃないらしいのよ。亜空間とか異次元系は入口見つけないとお手上げらしいよ。幻術も物に依っては見破りにくいらしいし」


「ああ、高位の幻術は世界を騙すものだから遠隔透視とかだと見破りにくいって聞いたことあるや。異界への入口も幻術だとかで隠されてること多いし」

「経験あるじゃんティアエルさん。まぁ、油断大敵ってね……一個師団で攻め込まれてる王国に勝機が有るかは解んないけど……」


戦力差5対1とかそんな状況よ。更に倍の兵力を投入できる余力さえあんの。しかもこっちは人間じゃなくて吸血鬼と妖精と悪魔の部隊よ。

基礎的な能力が上なんだよね。一騎当千の強者で固めてもまず防衛とか無理筋だよ。


でも、セレスティナさんが首を傾げるの。


「あれ、でもその割には苦戦してる気がしますね。もう半分くらい王城を抑えてても可怪おかしくない気がしますが……?」

「手加減してるからじゃない? 実際こっちの犠牲なんてほぼ皆無かいむよ。強いてあげるなら吸血鬼と他の部隊で連携取れてるのかって有るけど」


「でも、お母さん。戦術データリンクの情報は吸血鬼の人たちにも伝わってるようだけど……」

「ん? だったら他の原因かな? エリアの制圧を優先するのと敵の制圧を重視する方針の違いとか……?」


打ち合わせもそこそこに突入してんのよね。

指揮系統が3つに別れてるから戦術データリンクで戦況を共有してるといっても現場での方針の違いだとかは出てくるだろうし。

それに所詮相手は文明レベルが中世時代の後進国。何とかなるだろ、と舐めてる感は否めないな。



「このタブレットで戦況を見てると王国側が城の中央階に集まってるようですね。まさか、防衛線を構築されてる……?」


わたしとセレスティナさんがお互いの顔を見合わせる。え、本当に? って感じで。強襲してまだ、1時間足らずで対応してくんのよ?


「え、この王国にそんな機転利くヤツ居るの? 聞いてた限り古臭い国でイマイチぱっとしないイメージだったけど」

「ま、まぁ。800年以上続く古い国らしいですから。臣下に優秀な人が居てもおかしくありせんし」


「でも、強国ってイメージがまるでないのよね」

「それは、そうですね……でも、対応してきてるなら先に撃破した方が良く有りませんか?」


一理いちりる。組織的に抵抗して来るならそれを粉砕した方が手っ取り早く片付く。

しかも守るって事は守られる対象が居るって事で。


「……これは出番かな。さっさと決着ケリ付けた方が良いだろうしね」

「腕が鳴りますねぇ」


戦闘狂の二人がやる気になってるって構図にティアエルさんがレティアさんと顔を見合わせるんだよね。

何かな? そのやる方無しだとかちょっと呆れた顔は。


「う〜ん。じゃあ、レティアはボクが守るよ。戦争とかは初めてでしょ?」

「ええ、そうなんです。ではお言葉に甘えさせても。……良いですかね?」

「遠慮なくどうぞ。後方から援護しててね。――邪鬼兵グレムリンズは半数付いて来い。残りはここの守備に当たれ」



後詰めも必要なので、連れて来た〈黒色邪鬼兵団ブラックグレムリンズ〉も後に続かせる。

そして方針が決まれば即行動よ。兵は拙速せっそくを尊ぶって言ってね速さが生命いのちなんよ。


攻撃側なんだからちんたらしてたら守り固めらた所に攻め込まなきゃ行けなくなる。

だからそれを防ぐ為にも一気に攻めるのだった。


……ただ、防げるかな、こちらの最強戦力を。

戦神司祭のセレスティナさんが戦鎚せんつい回してやる気だぜ。



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