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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
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第二十三話 妖精騎士アイギスさんと地下帝国遺跡とアレスタの街(2)



さて、いきなり最序盤にアクシデントに遭遇したわたし達。


軽く逆襲する形で地下遺跡に巣食う襲撃者レイダー達のアジトを占拠したは良いものの、さらに面倒事に巻き込まれたの。

アジトで女の子が居たのよね。鎖に繋がれる形で。


女性攫って連れ込むとか外道じゃん……

もちろん生きては返さねぇぞぉ。

幸いここには悪魔使いどころか悪霊という存在の頂点が居るのよ。

何をするか、されるかはお察しだよね?


壁を隔てて、とある部屋は地獄の饗宴の真っ最中になったの。これで襲撃者レイダーたちは永遠にお楽しみできる、やったね。


魂すら蹂躙されるとか人権的にも中々お目にかかれない体験だよ。是非、お前らには永遠の苦痛にのたうち回って欲しい、慈悲はねぇぞ。



「さて……クズどもの始末はこれで済んだな。……アスタロッテ様々さまさまだよぉ。悪魔的芸術の意味が今ならちょっと理解できるよ」

「フフフ。恐縮ですわアイギスさま、悪霊達の存在意義をご理解くださいまして」

「人間にはできない事を容易くやってくれるのが良いよね。やっぱり悪党の末路はああでなくちゃ」


わたしのブチ切れた怒りもあのざまを見ればにっこり笑顔になるってものだよぉ。人間の想像力の限界くらい酷いことになってるからね。


吐き気を催すエグい行為も因果応報なら許されるものだよ。悪霊という存在の価値がわたしの中でうなぎ登りよ。


そして二人して悪党たちの末路に悦に浸ってると攫われた女性たちのアフターケアをしてくれてたアリーシャちゃんやシャルさんが戻って来る。


この拠点アジトに運びこんだ冒険者たちを看てくれたセレスティナさんやアイリ。

拠点アジトに罠とか隠し部屋がないか調べてくれてたティアエルさんも合流して一旦状況の整理を改めてすることにした。



「えーと、それじゃ冒険者ギルドに裏切り者が居る、って言うのは確定なのかな?」


説明を受けたティアエルさんが小首を傾げて腑に落ちない顔。わたしもその可能性を真っ先に思い付いたけど"普通"は有り得ないことだと思うよね。


「小金欲しさに馬鹿が出てくる、ってのは良くある事だし最初にそれを疑ったんだけどね。でも襲撃者レイダーとかいう賊がみんな知ってるっておかしくない?」

「う〜ん。それがボクには解らないんだよね。普通は隠さないかな、そういうこと。だって希少な情報源でしょ?」


「冒険者としてプロ中のプロのティアエルさんならやっぱり気づくよね。なら、答えは二つに一つ、バレた所でどうとでもなる。あるいは……」

「バレるのが目的かな?」

「厄介事以外の何物でもない感じだと思うでしょ。で、この状況をどうするかをみんなと相談したい所。今回の冒険の目的には絡まないから余計にね」



わたし達の目的はこの地下帝国時代の遺跡、その最下層の調査なの。


途中の第六層最深部の強敵を倒すまでがアリーシャちゃんから与えられた必須のミッションだよ。

最下層の調査事態はわたし達でなくても出来るけど、門番ゲートキーパーになってるモンスターがかなり強くて倒して欲しいんだって。

最下層への調査は可能ならってことで。


幼女が自信有りげに頷いた。


「まずは冒険者ギルドに裏切り者が居るか調べるのだ。時間が掛かりそうならダンジョン攻略も並行して進めれば良い」

「アリーシャちゃん、本当にコレが最善って提案してきたな……」

「フフフ。このアリーシャちゃんには解る。アイギスちゃんがこの事件を見逃すはずがないと。でもお時間掛けるのも問題」

「だから、両方に手を付ける……悪くない」


もちろん落とし前付けるよぉ。この妖精騎士アイギスさんが見逃すはずないでしょ。


わたしね、この世で一番嫌いな事が女の子が乱暴されることなの。でも、冒険者やってたらそりゃ女の子でも死ぬ事あるから全部が全部って訳じゃない。

でも、強姦だけは許せないんだぁ。

絶対殺すわ。もちろんその原因になった奴もな。



「で、他の人の意見は? セレスティナさんとか」

「アイギスさんが殺意マシマシですから犯人探しは必須じゃないですか。漏れてますからもうちょっと落ち着いてくださいよぉ」

と、戦神司祭のセレスティナさんが涙目で語るの。


「ごめーん。頭に血が全部登ってる感じで。でも犯人が誰か解んないから抑えが効いてるかな。この怒りを誰にぶつければ良いのか」


怒りの矛先に困るわたしを見てアスタロッテが微笑むの。ん? 何か心辺りがある?


「冒険者ギルドの内部争い、と考えるのが辻褄が合いそうですね。場合によっては背景バックにこの国の有力者が、と言った辺りでは?」

「さすがアスタロッテ。その推測は有り得そう。大きなギルドだと権力争いとかあるって聞くし……」


冒険者ギルドが利権に絡むとそういう話を良く聞くよ。この遺跡を管轄してる冒険者ギルドは羽振りが良さそうだから尚更かな。



「じゃあ、調べるにしても冒険者ギルドですね」

「ティアエルさんとかわたしを探してたから調査とか得意?」

「そういう陰謀系はボクはあんまり自信ないかなぁアイギスさんの時は人探しだったから。アイギスさんの方こそ得意じゃない?」


「わたしも当たりを付けて手当たり次第だよ。……アスタロッテくらいしか適任居なくない?」

「フフフ、アイギスさま。そこは経験なのでご一緒にどうです? これは親密度を深め合うデートチャンスですね」


「行かないとは言わないけどアイリも一緒に来たがるからデートにならないでしょ。それに戦力過剰な気もするしな。……場合に依ってはパーティーを分ける必要も有るから必ず二人で行動ってのもどうかと思うし」


このパーティの最強戦力ってわたしとアスタロッテでしょ。アリーシャちゃんの強さがイマイチ解らないけど……

あの暗黒騎士ジェラルダインの相棒らしいからわたし並みの強さかも知れないけどね。



「ジェラルダインさまが後で合流しますから、時間が掛かりそうなら探索は残りの方々でやって貰いましょう。入れ替えてもよろしいですし。マスティマも来たがってるので遅れは取らないでしょう」


「盗賊としては最強クラスだからねマスティマ。……でも、その陰謀調査班にマスティマ入れた方が良くない? そっち系の仕事の人でしょ」

「それだとバカンスにならないと駄々こねますね」

「仕事では来ないんだ……まぁそんな子だろうけど……じゃあ方針としてはそんな感じで良いかな、みんな」


そして皆の意見がまとまり地下遺跡の探索と一緒に現地の冒険者ギルドの面倒事も勝手に解決することになったの。


当初はここの冒険者ギルドには内緒で仕事する予定だったんだけどね。国だとか利権だとか絡むと面倒事に成りそうだからって。



……結局面倒ごとに巻き込まれるの。

まぁ、こっちから突っ込んで行くんけど。

冒険者ギルドが冒険者を犠牲にするとか許せないでしょ。この裏切りを許しておくほどわたしは甘くないな。


そしてわたし達はこの遺跡の近くの街アレスタに被害者たち一行を伴って一旦撤退。


事情を素知らぬ振りして冒険者ギルドに探りを入れることにした。



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