第二十二話 妖精騎士アイギスさんの妖精たちの困りごと解決(ドワーフの地下村編)(6)
やっと体調が戻ったので更新。2日に一回くらいの更新を目指したい。
(´・ω・`)〈 尚、ストックはない模様。
そして……
わたし達一行がドワーフ族の大ばばさまの所に戻って来ると、何故か居る幼女アリーシャちゃん。
まだ連絡してないのに大ばばさまとテーブルで向かい合ってお茶飲んでるの。
「おお、お帰りなすったかアイギスさま」
「ひゃあ、アイギスちゃん。……呼ばれた気がしたから来た」
「いや、まだ呼んでないぞぉ」
ちょっとパーマ当てた感じの金髪幼女が大ばばさまと一緒にめっちゃ笑顔で迎えてくれる。
……何このタイミングの良さ。
「……アリーシャちゃん。未来視の魔法とか能力使えるの? ちょっと怖いくらいなんだけど……わたしを監視とかしてる?」
「怖れることはない。このアリーシャちゃんの勘は良く当たるのだ。でも、今回は偶々」
「たまたま?」
「たまたま、偶然、嘘、偽りはない。ん〜、ミュータントさん村の地下遺跡繋がりで」
そして幼女アリーシャちゃんが舌足らずな言葉で説明してくれた。
その理由に依ると、例のミュータント村の地下には悪霊たちが居て、このドワーフ村近くの廃坑にも、その悪霊達の仲間が居る事が調査で判明したらしいの。
「で、アリーシャちゃんが来た、と」
「すべてこのアリーシャちゃんの掌の上よ……フフフ」
ん? 幼女が赤ん坊が時折見せる不敵な笑みと同じ顔をした。その笑い方が他の誰かに……
アスタロッテに似てたの。
「良い。アイギスちゃんは良く解ってる。ん〜、やはりあの悪霊さんを倒さなかったか」
「褒められてる? ……でもやっぱりあの悪霊を倒さないのが正解なんだ。聖魔帝国的に」
「ふむ……」
と、アリーシャちゃんはお茶を一口飲む。今度は真面目な顔しだしたの。
「……倒してしまっても良い。あの悪霊たちは人と出会えばもう傷つけることしかできぬ。でもアイギスちゃんは生かした。その優しさにこのアリーシャちゃんは価値を見出すのだ。アイギスちゃんのその優しさに」
「優しさ……かな?」
ちょっと戸惑いながら答えるよ。悪霊に優しさって言われてもしっくり来ないから。
「正直良く解らないから判断保留って感じにしたの。向こうも攻撃するか迷ってたようだし。挑んで来るようなら躊躇いなく倒したよ」
「良い騎士道を見た」
「ふむ……」
褒められて満更でもないのがこのわたしアイギスさんだ。騎士道とか大好きなの。
こう、男の子の憧れって感じがしない? そういうのわたし好きだから。
最近とくに血まみれだから希少なものに思えて来るよ。人間どもの薄汚い欲望より悪霊の方が余程マシだとかね。
ただわたしの横に居る戦神司祭さまが冷静なツッコミして来たけど。
「でも悪霊なんですよね……」
「セレスティナさん。そこは言いっ子無しにしてよ。ほら、優しさとか心の問題だし」
「いえ、解ってますよぉ。封印もしましたし、取り敢えずはドワーフ村に迷惑かけないようにはしましたから……ただ、あのまま放置して置いて良いものやら」
「そこはアリーシャちゃんが解決してくれるんじゃない? ね」
「やはりこのアリーシャちゃんの出番か」
わたしの相槌にアリーシャちゃんが満面の笑みを花ひらかせる。でなければ自信有りげな顔しないよね。ただ、大ばばさまは困ったような顔をした。
「あれ、大ばばさまは反対なの?」
「……あの廃坑の採掘ができるようになりますからな……それが果たして良い事かどうか」
「何か不安がある?」
「元が廃坑ですからな、いつまで採掘できるものやら。それにアンデッドを追い払えても、魔力の籠もった聖銀の鉱山となれば他の魔物どもが寄り付きそうで」
「しまった。それを考えて無かった」
聖銀だとか真金のような魔力が籠もった鉱石には魔物が引き寄せられる。
そんな魔力鉱山は傭兵だとか腕自慢の鉱夫とかを大量に雇って力付くで維持してる。昔、そんな連中でも手に負えない魔物退治した事あるから知ってたんだけど、うっかり忘れてたよ。
「……そうか。だから多少鉱石が残ってても採算が合わなかったんだ」
「それも有りまするが、何よりなまじ採掘できても眼の色変えて取り尽くせばまた元の木阿弥に戻りそうですじゃ」
「確かに長続きしなさそうだね……あの廃坑で採掘できれば、この村の問題をどうにかできるかなと漠然と考えてたんだけど」
「有り難いことですじゃ。しかし婆としては封印だけで充分と思いまする。欲張り過ぎても地に足がつかねば」
「金目のものが採れても、浮ついたら何処で足元掬われるか解らないのね。……良くありがちか」
物々交換くらいしかしてないようだし、経済感覚とか身に付いて無いだろうからなぁ、ここのドワーフたち。急に豊かになるのもダメそうだよね。
文明社会と接触した原住民とかと同じ結果になりそうだよ。地球の歴史に酒呑まされて不利な契約を結ばされた民族が居たとかいう話もあるし。
この世界じゃ、ドワーフが酒で身を滅ぼす童話とかあるくらいだからね。
「むむむ。それだと困ったぞ。村の存続は何とかなりそうでも経済力が無いとまた未来で同じことになる予感」
と、わたしが困ってるとアリーシャちゃんが小首を傾げて不思議そうにわたしを見つめるの。
「ふむ……でもアイギスちゃんなら余裕で何とかできない? 作物栽培で」
「作物栽培? え、でもアリーシャちゃん、ここ地下だよ」
「ここのドワーフさん達が何を食べてるのか思い出すのだ」
「……そういえば。地下で作物を育ててるって言ってたな」
「地下でのみ育つ作物もある。お金になるのもあったはず」
「そうなの?」
と、わたしは隣に居た森祭司のシャルさんに顔を向ける。そんな作物をわたしは知らないから、知ってそうなシャルさん頼みだ。
「お金になるかは解りませんが……霊薬や薬草の類になるものは幾つかは知ってますが」
「栽培方法も杜妖精達なら解る?」
「はい。……菌糸妖精たちが得意としております、アイギスさま」
「…………菌糸類か」
この世界のマイニコドと言えばキノコ姿の妖精……なるほど、菌類なら地下でも栽培できるよね。
「なら、なんとかできそうかな。ドワーフたちの生活水準を引き上げたい。ご飯くらいはまともに食べさせてあげたいもの」
「おお、有り難いことですじゃ。これならあの頭でっかちの長もイヤとは言えますまい。食い扶持も満足に満たせぬ有様ですからの」
ドワーフたちの見た目も痩せた感じだし、やっぱり色々限界そうなのが解るの。食い扶持困るって貧村と同じ状況だもの。
やっぱり食い物ないと元気もでないのよね。
腹一杯食わせて元気に働いて貰わないと。
そしてドワーフ村の未来に光明が見えたわたし達はまた改めて準備してからドワーフ村を訪れることにした。
実際に作物が育てられるのかとかはマイニコド達に協力を仰いで見ないと解らないから、村の顔役たちの説得とかは後だよ。
その間に大ばばさまがわたしが持って来た賄賂代わりの酒を振る舞い根回しして置くの。
でも、やっぱり酒に眼がないんだよねドワーフって。
頭でっかちで石頭らしい族長も、他の村の顔役たちが酒に呑まれて結局わたし達の提案を呑まざるを得なくなったんだから。
地下での作物栽培も自給自作できて村が食いつなぐくらいは何とかなりそうになったし、わたしも久々に後腐れなく良い仕事した。
まぁ、ちょっと冒険してる感が物足りないけど……
「そういえばアリーシャちゃん。あの廃坑の悪霊はそのまま封印ってことで良いの? 浄化するとか使役するとかできるのにしないの?」
「あの者は役に立ってるからそのままで良い。既にお友達になっておいた。このアリーシャちゃんに抜かりはない」
「いつの間に……。でも結局、倒さないのかぁ」
「……フフフ。どうやら冒険を求めているようだ。このアリーシャちゃんには解る」
そうだよ。このアイギスさんは今、冒険を求めていた。だってやっとパーティーの面子が揃った感じなんだよ。ちょっとドキドキの冒険活劇したいじゃん。
「フフフ。任せるがよい、このアリーシャちゃんがアイギスちゃんが望む冒険の世界へと招待しよう」
「ふむ……期待できる……?」
自信満々な幼女。
このアリーシャちゃんなら何かをやらかす。そんな期待がこのわたしに確信めいたものを抱かせる。
一抹の不安も有る。
けれどそれ以上にこの幼女の破天荒さはこのアイギスさんに生半可ではない冒険を予感させるの。
何よりわたし……
冒険したいの。こう、人間の争いに巻き込まれるような奴じゃなくて純粋に。せっかくパーティー組めたのに楽しめないのは損じゃない。
頼むぞぉ、アリーシャちゃん。
そして後日、幼女は冒険の話を持って来た。
ダンジョン攻略? なにそのわたしの心をときめかせるような素敵な依頼。
「……どうやらお気に召してくれたようだ」
「さすがアリーシャちゃんだ解ってるぅ」
そしてわたし達は次の冒険の舞台へ。
魔法文明最後の時代に遺されたという地下帝国の首都遺跡に招かれる。
するぞぉ冒険を。




