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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
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第二十二話 妖精騎士アイギスさんの妖精たちの困りごと解決(ドワーフの地下村編)(4)

ストックがストックが無いのだ……

(´・ω・`)〈 つまりまた、明日更新ができんのだな。




廃鉱山の坑道での戦いは、至る所からやって来るアンデッドとの連戦になっていた。



坑道の中を縦横無尽に迫りくる不浄なる不屍者たち。


わたしは剣で労働屍鬼ワーカーゾンビを切り裂き。壁から飛び出して来た屍長蟲ゾンビウォームを盾でぶっ飛ばす。

アイリは大斧で屍巨大蛙ドゥーム・フロッグをぶった斬る。そしてセレスティナさんが戦鎚で骸骨鬼スケルトン骸骨蝙蝠スカル・バットを粉砕。

ティアエルさんは精霊の力を乗せた矢で貫通させて不浄霊ガスト亡霊ゴーストたちをまとめて吹き飛ばして倒したりと、大暴れ。



森祭司ハイドルイドのシャルさんは信仰系魔法で〈聖域サンクチュアリ〉の魔法結界を張ってドワーフたちを守りつつ、的確に〈聖なる蔦ホーリィアイビー〉を地から生えさせアンデッド達に絡みつかせる。


本来は足留めの魔法のようだけど聖気が強力なの。で、絡まった瞬間に霊体の亡霊が消滅して、肉体を持つ者は灰となるアンデッドたち。


だけど、わたし達が殲滅していく最中にもさらに廃坑の奥から続々にアンデッドたちがやって来ていた。


前後左右から実体をもった屍鬼ゾンビ系の敵や骸骨鬼スケルトン系、左右上下からは霊体の亡霊ゴースト系と種類豊富に間断なくわたし達に襲いかかるの。


けと、物理攻撃に無敵に近い耐性があっても魔法属性が乗る攻撃ならアンデッドは普通に死ぬ。


ちなみにアンデッドはもう死んでるんだから"死ぬ"のはおかしいって普通は思うよね?

でもアンデッドって一応生物なんだよ。

通常の生物が'正"とすれば"負'の生命力をもった存在がアンデッドなんだってさ。


似た奴らに思念が寄り集まった霊体の悪霊が居るけど、あいつらは完全に悪・混沌の存在で悪意をもった生命体なの、対してアンデッドは中立・混沌の存在。知性のないアンデッド達には悪意はない……


ただ、"正"の生命力を持つ生物を見ると衝動的に自分たちの仲間にしようと襲いかかってくるんだよ。

余計なお世話をする連中だよね。そろそろ、まともに相手するのも面倒になってきた頃合いだな。



「もう、柔軟運動ウォーミングアップは充分、シャルさん!」


わたしの掛け声と共に、白フードを被った子供の体躯のシャルさんが聖印を掲げる。


「不浄なるものたちよ、聖樹神アルガトラスの生命の導きに帰りなさい! 〈不屍回帰ターンアンデッド〉」


さらにわたし達の四方八方から迫ってくるアンデッドの群勢。そのアンデッド達の群れが聖印からのまばゆい光に呑まれる。


次の瞬間、霊体系のアンデッドたちは跡形もなく一瞬で消滅。肉体を持っていた者は不屍の呪いを解かれ灰となる。


周囲から猛威を振るって押しかけてきたアンデッドたちの不浄な気配が一切消え、代わりに地の中とも思えないような清浄な空気が辺り一面に漂う。


「……並の司祭の〈不屍回帰ターンアンデッド〉だと数が多いと何匹かは取り逃がして退散させるだけって聞いたけど……シャルさんなら何匹居ても一撃だね、さっすが」


「ええ、ですがここのアンデッドたちはおかしいです。私たちを怖がりもせずに襲って来ました……」

「……そうか、シャルさんが居るのにこんなにやたらに向かって来るのは確かに」


召喚魔法を使う際のような魔法的な制約はアンデッド達の魂には施されてなかったのは確認済み。

わたしの妖精の眼は魂の状態ステータスさえ視認できるからね。


そして森祭司ハイドルイドのシャルさんは常に神聖な気配を見に纏う救世主一歩手前の聖人級のエルフなんだよ。並みのアンデッドにすれば恐怖以外の何物でもない。

でも襲って来た奴らは並のアンデッドなの。良く考えたら逃げ出してもおかしくないのに……


同じ疑問を持ったのかセレスティナさんが身を屈めて灰となったアンデッドの遺体を調べ始めた。



「そんな灰で何か解るの? セレスティナさん」

「一応、〈鑑定〉の魔法で調べればある程度は、ですけどね。……このアンデッド達は暗黒系魔法か類似した現象で呼び出されたものが混じってるようですが……」

「そんなことが解るんだ」


「ええ。鑑定魔法も何を分析したいか明確であれば、判断できる事もあるんです。なのでこのアンデッド達の召喚に触媒が使われたかどうか調べてみたら……」

「当たりだった?」


「絶対に、とは言い難いんですよ。でも、暗黒属性の魔素に依る変化が有りますね……」

「ふむ。暗黒魔法か現象か……魔法ならただ単に召喚した奴が居るって事だけど……現象? "異境"で発生するような?」


この世界には"異境"と呼ばれる他の世界に繋がってる場所がある。森の奥地に妖精界や、アンデッドが大量に居て黄泉の世界と繋がる土地だとか。それらをまとめて異境って冒険者は呼んでるんだよ。


「悪魔たちが巣食うような異境ではアンデッドは自然には発生しないそうですから……召喚された可能性が高いかも知れません。この廃坑が黄泉と繋がってる可能性も捨てきれないんですが」

「……両方当たりじゃないの、セレスティナさん。でないと説明付かないと思うのよね」


「予断はできませんよぉ。未知の現象かも知れませんし。……でも、考えられるならその方が説明はつきやすいですね……でもそれだと……」

「ボスっぽい奴が居そうな予感がするよね」

「アイギスさん、表情を緩ませないでくださいよぉ……」


おっと愉しくなって笑みを浮かべちゃったよ。

ボスだよ、ボス。ますます、冒険っぽいじゃん。


かつて冒険者パーティーを率いてボスっぽい魔物を倒した事がこのアイギスさんにあったろうか。

無い。そもそもパーティーを組んで冒険ってのが無かったんだよ。わたしの強さに付いて来れるヤツが居ないのが悪いよね。

尚、リーダーに連れられて倒した事はある。



「……アイギスさん。想定がアンデッド使役能力のある暗黒魔法の使い手ですよ、しかもこの廃坑がその存在の縄張りになってるかも」

「上等じゃん。そいつ倒してこの廃坑ブン取るのが正解に思えて来た、楽しそう」


「でもですね。相手が不屍魔術師リッチャーみたいな知的生命体だと不味いのでは……」

「アンデッド使役できて暗黒魔法の使い手……確かにリッチャーっぽいな。相手に取って不足はない」


「いえ、妖精連盟が結んだ条約の話しですよ、アイギスさん」

「? ……おっとそうだった。一瞬解らなかったけどそうだね」


そういえば、妖精連盟を立ち上げるときアンデッドを含むあらゆる知的生命体の人権認める条約に署名してたのうっかり忘れてたよ。

問答無用で倒したら不味いの。アンデッドと言っても知性があるなら扱いが人間と同じだから。


「まさか司祭のセレスティナさんにそのことを指摘されるちゃうなんて」

「いえ、神殿としては不味い気はしますが、私個人としては相手も同じく人権を認めてくれるならアンデッドだろうと有りだと思いますよ?」


「だよね。リッチャーの国の不屍帝国とも妖精保護の条約結んだから守らないとダメだろうし……これは相手次第かな」

「ですです。必ず相手と平和的に交渉できるか解りませんが、最初から戦闘有りきは止めておいて方が無難ですね。倒すかどうかは様子みてしましょう」

「オーケー。話し合いできるヤツだといんだけどね」


何が出てくるかは解らないけどね。


……その後も廃坑に巣食うアンデッドたちを排除しながらわたしたちは聖銀ミスリルが採取できそうな鉱石を探し回ったの。


結界の触媒に必要な分は集め終わったよ。


用が済んだので、ドワーフたちは護衛の黒帽子妖精ブラックキャップをつけて廃坑の入口に一旦戻した。

そして念の為、わたし達はアンデッドが襲い掛かってくる原因を探り出す事にしたの。

どんどん強いアンデッドをけしかけて来るからこっちも良い加減、正体を見極めたくなったし。



一体何が出てくるんだろう、と若干楽しみながら先に進み、遂にその存在と出会う事になったのだった。



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