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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
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第二十一話 妖精騎士アイギスさんとシル・ヴェスター公国での冒険者稼業(3)



そして兵員輸送も可能な戦闘飛空艇ガンシップで冒険者ギルドと揉め事が起こってる村のすぐ外に着陸したの。


途中でこの村を領地にしてる貴族も回収済み。

村も何事かと慌ただしくお出迎えしてくれたよ。



念の為、妖精たちも引き連れて来たからね。

あと専門家の森祭司ハイドルイドのシャルさんと戦神司祭のセレスティナさんも付いて来てもらったよ。


着陸してから丸太で村の周りを囲んだ砦みたいな村の包囲を妖精たちで済ませる。これで準備は完了だ。

もちろん、平和的な話し合いの準備が。


『よーし、お前たちは完全に包囲されている。村の代表出てこい。冒険者ギルドに喧嘩売っておいてタダで済ませるほど甘くはないぞ』


拡声器の魔法具を使って当事者を呼び出すよ。


どうしてこんな物々しい事するのかって言うと相手がただの村人じゃなくて林業を営む村だからなの。


この世界、魔物が居ない森なんてのはほぼ無い。

なのに木材切り出すんだったら応戦する戦力は必須。しかも村の守りがもう砦でしょ。

角鹿大熊アングルベアードに襲われて囲いの一部が粉砕されてるけど、戦える村人が居るの。


話拗れたら暴力的手段で解決しようとして来るのは解ってんだから。そしてこういった村の連中は大体、気性が荒いって常識なんだよ。


まず、まともに話し合いのテーブルに着かせようと思ったら大上段に構えるのが有効なの。暴力では問題解決しないってな。


「じゃあ後は村の代表来るまでここで待ってるから。……わたしも暇じゃないんだ解ってるな?」


無理矢理な感じで連れてきた貴族の男爵と一行が村へと赴く……さてどう話し付けるのやら。


もう、先に調査して村の周りの森に狂熊マッドベアは生息してない事は確認したの。

昔は居たらしいけど狩ったんだろうね。

そして飛空艇に乗ってる時に上空から村の周りをみたら森がやたら採伐されてるの。木株が大量に点在する様子が見て取れる。


植林? そんなの関係ねぇなとか言わんばかりに採伐しまくってるの。


そう、もう答えは一つだね。

伐採が、角鹿大熊アングルベアードの縄張りに踏み込んでるんだよ。


なら、今回の件。

解っててやったと考えるのが妥当だよ。なのに冒険者ギルドに狂熊退治だとか嘘ついて依頼だしたの。言い訳が楽しみだよね。

タダで済ませる訳がないよ。領主の男爵も大して調べもせずに冒険者ギルドに慰謝料要求して来るし。暴力関係のお仕事は舐められたら終わりだよぉ。冒険者ギルドも例に漏れないぞ。


いつもの調子で因縁あやつけて来たのがお前らの運の尽き。もう冒険者ギルドの立場は貴族より上だと教えねばならん。


そしてわたし、神祖の妖精王アイギスさんは村の外で、陣立てまでして不埒者どもを待ち望んだのだった。



だが、奴らは来なかった。


「……アイギスさま。もう3時間経ちますが……」

「シャルさん解ってる。これはわたしの想定を上回ったな。そろそろかなセレスティナさん」


戦神司祭のセレスティナさんが漂う微かな空気を読んで表情を引き締める。

森祭司のシャルさんは戦士って訳じゃないから解らなくても仕方ないよ。戦場の雰囲気ってヤツを。


「これは一戦する気ですね。ちょっと正気とも思えないんですが」

「わたしは解るよ。この村って元々が追放された罪人の村らしいからね。そういう村って独特の雰囲気があるんだよ。つまり後先考えない。……そうか、説得に失敗したな男爵」


孤立村って言うべきか嫌われ者の村って言うべきか。予め冒険者ギルドがどういう村か情報集めてたの受け取ったんだけど、とにかく評判悪いの。

一言で言うなら身勝手な村って感じかな。


森を採伐しすぎるのもそうだし、隣村とその伐採で揉め事さえ起こしてるの。

盗賊ギルドに連絡付けたら案のじょう、材木を抜け荷させて取り引きしてるし。脱税はどうでも良いんだけど……追い込まれ過ぎて何しでかすか解ったものじゃないのが、ね。

最悪は考えてたけど悪い予感が当たったよ。


「やっと出てきたよけど……男爵のお付きの騎士じゃないな」

「どうするんです? アイギスさん、人質取られてますよね?」

「まずは言い分聞くよ。ただ、戦闘開始の用意だけしといてね」

「殲滅ですね……戦神バーラウよ。戦いを知らぬものに慈悲をお与えください……」


セレスティナさんが、仕える戦神に祈り始まる。

実際に戦うわたし達じゃなくて非戦闘員向けに祈祷するのがセレスティナさんらしいよ。


そしてやって来る。村人……森で働くマタギか何かな、引き締まった身体の若い男だった。



「男爵と村の衆が話し合いたいと村の中でお待ちです。付いて来てくだせぇ」

「わたしが誰か知ってたら、そんな間抜けな要求はしないよ。で、男爵はまだ生きてるか? 半刻(一時間)後に攻撃を開始すると伝えろ。それがお前らの生命いのちのタイムリミット。好きに使え」

「……!」


いきなり嘘を見破られて最後通牒まで突きつけられ男の顔が動揺する。

こっちは百戦錬磨の冒険者だよ?


村の見張り台の上に立ってる弓構えたヤツだとか、大穴開けられた所から見える武器もった村人やらの動きで大体解るんだって。そいつらの表情に深刻さが増してるもの。何かあったと言ってるようなものよ。


「どうした通告は済ませたぞ。ちなみに人質交渉はしない。男爵の不手際だ。生きていたらおまえの責任だと伝えろ」

「ま、待ってくだせぇ! 貴族の旦那方がこっちに居るんですぜ」

「待たないよ。もうこっちはる気なの。そっちもだろ。使者に手つけて戦いにならない筈が無いからな。それは宣戦布告してるのと同じなの。戦場いくさばの常識も知らないのか?」


と、同意を求めるようにわたしの戦神司祭さまの顔を伺うよ。


「はい、そうですよ。戦神バーラウの戦場いくさばの教えでも使者に対する作法として身の安全の保証を要求しますから、それが果たされない場合は戦いの合図となります」

「良かったな。戦神司祭が居る戦場に立てて。バーラウ神が戦いを見守って下さるぞ。……言い訳したければ男爵を五体満足で御付きと一緒にここに持って来い」


と、言ってわたしは無下もなく若い男を追い払う。

言い分聞くとか言ってなかったって?

もう聞いたよ。

人騙そうとして来るの聞いだけで充分だよぉ。まともに交渉する気もないのに付き合うほどこのアイギスさんは大人じゃない。



それに突入までは考えてなかったから作戦会議を今から始める。このアイギスさんにも手抜かりはある。まさか、完全に包囲してる状況で抵抗して来るとか思わないじゃん。


まず、魔法で姿隠せる斥候を村に侵入させて男爵が生きてるか確認したり、慌ただしく状況に対応。


……そして一時間後。

また、性懲りもなく使者が来たのでさっさと追い返す。我、無条件降伏以外は認めぬ。

斥候の黒帽子妖精ブラックキャップから、男爵が死んでたって連絡来たの。


あいつら分水嶺を越えやがった。バカな連中だと思ってたけど大分キレてるよ。


奴らはこの時点で完全に犯罪者と化した。放置したら村を襲う賊になる未来しか見えないの。領主殺してタダで済む訳ないでしょ。


反乱か何かかな?

村の内部事情までは事細かく調査してないんだよね。このアイギスさんにも手抜かりはある。


領主の男爵が始末つけると思ってたんだよ。今回の件、男爵の監督不行き届きなんだから。だが、ヤツはしくじった。仕方ないのでわたしの出番が来る。


そして戦いが始まりを告げたのだった。





まず狙いを定めたのは、丸太組んだ外壁の上から周囲の様子を観察できる見張り台。


その場所が、開戦と同時に大量に飛んできた矢の集中攻撃を受けて針のむしろと表現できるように矢が突き刺さるの。もちろんその場に居た奴も同じ運命を辿る。


次いで木材で作られた村の門扉が〈火炎球ファイアーボール〉の魔法で吹き飛ぶ。


衝撃で煙が立ち込める中、姿を現したのは弓を持った吸血妖精バーヴァンシーのうら若き乙女たち。

但し、性格は殆どの子達が悪ガキと表現した方が的を得てるの。


綺麗な顔立ちの女の子なのにみんな口悪いよ。そして口も悪けりゃ手癖も悪い。勢いよく村の中へ突入と同時に殺戮を開始する。



武器を持った村人なら殺ってよし、と判断してこれでもかと矢を撃ち込むの。

一瞬で矢衾やぶすまの的にされた人間が矢を隙間なく撃ち込まれる。オーバーキルにもほどが有るよ。


でも吸血妖精バーヴァンシーの子達が悪妖精では一番マシなんだよね。

他の妖精たちは殺戮に歯止めが効かないんだもの。

後、言うこと聞いてくれるのは黒帽子妖精ブラックキャップくらいなんだけどヤツは一体しか居ないから。


そしてわたしとアイリとセレスティナさんがその吸血妖精たちを指揮して現場に突入してるの。


まず作戦目標は敵の戦闘意欲を削ぐことだよ。

というよりコレが戦闘の究極的な目的だよね。

十万の大軍だろうと戦闘意欲を奪ってしまえば烏合の衆と化す。


戦闘とか戦争では必ずしも敵を殲滅しなくてもいいの。むしろ非戦闘員の村人も居るんだから殲滅作戦は取れないって。


但し、うちの妖精たちは出会いがしらに敵を瞬殺するから降伏する時間与えないんだよね。

さて、そんな時、心優しいアイギスさんはどうするか。


苦しませないように殺れ。あの世に送れば戦闘意欲も無くなる。

と、身も蓋もない優しい命令を下すのであった。





そして村で武器もった殺気立つ男たちをすべてあの世に送り、男爵一行が遺体となった建物に最後に突入した。

集会所みたいな場所。ここで交渉してたけど何かの間違いが起きたみたい。


戦神司祭のセレスティナさんが早速、ナタを持った村人の頭を戦鎚せんついで吹き飛ばす。

容赦はない。


そしてズカズカと建物に入り込む。

そしてやっと男爵他騎士二名の遺体を発見。

他に村人の遺体もあったよ。大きなナタを持ってたからこの場所で争いになったようね。


「アイギスさん。この状態なら蘇生魔法で生き返らせるのも不可能じゃありませんが……」

「死を持って男爵の罪の清算とする。……この状況を放置してたんだから自業自業だよ。仲良くあの世に送ってあげよう」



事情の説明とかは聞きたいことはあるけど、もう良いよ。大体の予測はつくもの。


この際、当事者には死んでもらった方が都合が良くもあるの。


貴族家だったら一家断絶もの。村に関しては反乱罪で皆殺しとかだよ普通は。

それほどこの世界の法律は甘くないんだって。


情状酌量の余地があるからそこまでやるかは責任者の判断次第だけど、執行しても良い事にはなってるのよ。つまり奴らはどのみち死なねばならん。裁判する手間が省けるくらいだよ。



そして村での戦闘が終わったので、わたし達は後始末に入る。非戦闘員や武器を捨てて投降して来た男達を拘束。

完全に村を掌握して村長や、村の顔役達を集会所に集めたの。


そして崖から転落しに、ひた走るような村人達の暴走の顛末が語られるたのだった。



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