表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
150/207

第十九話 妖精騎士アイギスさんの家の恋愛模様と白雪妖精のお姫様(2)



そしてわたしは事情を打ち明けたよ。家族みんなに。

わたしを好き、って言ってくれる女の子が居て、ラブレター貰うなんて始めてだったのって。


しかもお姫様でしょ、興味持つよね。

ごめん……改めて考えると浮気野郎を卑下できない残念女子だったよ、わたし。

話しながら自分を見つめ直したよ。

心の何処かで嬉しかったのよ。こんなわたしを慕ってくれる人が居るって。


見てくれる人が居るんだって。


「それでね、悩んでたの……ごめんなさい。シルフィちゃん隠してて、本当に」

「いえ。……なんて言ったらいいのか、わたしも……解らないことじゃないんです」

「ううん。でも、シルフィちゃんの気持ち考えたら怒られるのも仕方ないから」

「……でも、アイギスさん。それだとヴィリアさんの事は……どうするんですか」

「…………」


簡単に、簡単に言えないよ。

そこまで考えて結論だしてなかったの。

取り敢えず、先延ばしにして考えようと思ってたの。決断迫られるの早すぎるよ。

わたしの人生いつもそう、早いって。何もかも。


「お母さんのこと、アイリは好きだよ」


何も言えなくなって沈んだわたしの顔を見てアイリが心配してくれる。優しい。


「うん。アイリ、ありがとう」

「お母さんもお母さんのこと好きだって言ってたから……」

「そう、バーギアンも……」


前の"私"はどうだったんだろう。

とてもアイリに聞けないけど。だって今のわたしと"私"は同一人物とは言えないんだから。記憶がまったく無い……当てにできないし、免罪符にはならないよ。


「でも、お母さんね後悔してたの。お母さんが他の人も好きだったこと認めてあげれなくて……アイリには何も言ってくれなかった……けど」

「けど?」


「解らないの。お母さんに会えたらごめんなさいって言って欲しいって言われたのアイリ思い出したの、この事じゃないのかな」

「バーギアン……なんとなく解った。昔の私も変わらなかったんだ。みんな好きだったんだ……」


変わらないんだ、わたし。そういう事しちゃうのは……

きっとバーギアンにも苦労掛けたんだろうね。心が締め付けられるように痛いんだけど。



「アイリ……お母さんのことを好きになっちゃいけないの?」

「違うよ。誰だって好きになって良いんだよ……でもそれが人を傷付けることになる事もあるの」

「……あるかも知れませんがわたしは違いますよ、アイギスさん」


「……でも、シルフィちゃん嫌じゃない?」

「……アイギスさん。今さらですよ、セレスティナさんにアスタロッテさんも連れて来て……。わたしがモヤモヤしてるのってどうしてわたしにそれ言ってくれないのか解らないことなんですから」


「ごめんなさい、わたしは嫌だったの。我がままかも知れないけど、わたし、他の知らない人にみんなを取られたくないの……他の子連れて来たらわたし嫉妬で狂いそうになる。そんな事しちゃいけないと思って」


シルフィちゃんとセレスティナさんが顔を見合わせたよ。今さらなに言ってるのとか思われそう。でも、本当に嫌なの。だから、しちゃいけないと思うもの。


「シルフィ……原因解りましたね」

「アイギスさん……わからなくはないですけど」

「嫌われるの怖いよ。情けないでしょ……ごめんアイリ。わたし辛い」


アイリがわたしの元にやって来て抱き着いてくれる。もう、わたしの心持ちそうにない。

自分でも解るんだけどメンタル弱いのよ、わたし。

多分、情緒方面が弱点。

わたしのハートはダイヤモンドだよ、特定方向には脆いの。物理的には鉄壁だげどコレばかりは内面の問題だからね。


「シルフィ、ここは引きましょう。アイギスさんが限界っぽいですから」

「う〜ん。……わかりました。でも、ヴィリアさんとはちゃんとお付き合いしてから決めてください。わたしに遠慮せずに」


「……でも、本当に嫌じゃないのシルフィちゃん? 我慢しなくてもいいのに……」

「…………でもアイギスさん……わたしが嫌だと思う人は選ばないと思うんです」

「……それはそうなんだけど……」

「わたしも複雑ではあるんですけど……」


シルフィちゃんがセレスティナさんがまた見つめ合う…………その二人の間に恋愛感情みたいなのがあるの。

それはそれでわたしの心境複雑だよ。

どうして二人してくっついてるの。

二人ともわたしの事、愛してくれるしわたしも仲間外れじゃないから許せるんだけど……


「シルフィ。後はヴィリアさんが私たちの試練に打ち勝てるかですね」

「……わたしも嫌じゃ……ないんですけど。アイギスさんが……」

「……そ、そういうことなんだ」


つまり……わたしが好きになっても二人を好きになれるかという試練があるの。どうしてそうなってるのかは、わたしに聞かれても解らない。

一緒にテーブルの席に着いて聞いてた幼女アリーシャちゃんが不敵な笑みを浮かべる。


「フフフ。愛の試練か……彼女が増えれば増えるほど難易度が高まる」

「アリーシャちゃんそれって一体……」

「真の百合ハーレム計画を完成させるたった一つの道。すべてが良い感じになるのだ」

「…………なっ、なんてハーレム計画」



完全に忘れてた。わたしの家族の恋愛事情を。

何故かそんなルールが採用されてるの。

結局、わたしが誰か好きになっても家族になれるかは他の恋人次第。アスタロッテなんてまずシルフィちゃん籠絡に掛かってるもの。


「セレスティナさん、一つ聞いて良い。アスタロッテとは……」

「? ああ。え〜っと」

目を泳がせるセレスティナさん。

シルフィちゃん、何とも言えない表情しないで、言ってるのと同然じゃない、それ。


「フフフ。既にアスタロッテは動いてる。ヴィリアちゃんにもレクチャー済み。恐れることはない、アイギスちゃん。思う存分、恋してみるのだ」

「その恋成立しても……あっ」

「これが真の百合ハーレムなのだ。天使王の愛の試練受け取るが良い」


な、なんて試練なの。わたしが好きになってもわたしの恋人たちが全員が好きに成らないと成立しないの。でも、これって。


「浮気は許されない……?」

「アイギスちゃんの気性にピッタリ。これこそがこの計画の真髄なのだ。思う存分がんばるが良い」

「…………」


枷になるけど同時にわたしを守る盾にもなるんだ。

女の子連れ込まれてもわたし含めて家族みんなが好きに成らないとダメなんだから。

逆にわたしが連れ込んでもみんなに好かれないとダメなんでしょう。

浮気性のわたしを止めるには丁度良いのかも。

それなら最悪わたしも我慢できるし。



「シルフィちゃん。わかった真剣にお付き合いしてみる。でも、どうなるかはみんな次第なんだよね」

「……わたしも好きになれるかは解りませんけど……アリーシャちゃんが良い、って言う人なら悪くないと思うんです」

「アリーシャちゃん、だいじょうぶなの」

「シルフィちゃんもきっと好きになる」


笑顔で頷くアリーシャちゃん。そこまで調査済みなのかな。赤子天使キューピットが最強のキューピットって言ってたのは知ってるけど。本当か?


「セレスティナさんはどう? 第一印象」

「アイギスさんが好きになれる人なら、私も愛せますね。天使王さまの教えに従いラブラブにしてみせます。アリーシャちゃんに抜かり有りませんよね?」

「このアリーシャちゃんに抜かりはない。安心するが良い」


アリーシャちゃんへの信頼感みんな高い。

あれ、わたしが幼児退行起こすような事件やらかした黒幕じゃなかったっけ。

みんな忘れてない?

アリーシャちゃん善意120%で何かやらかしそうな気がするぞ。でも、それでもみんなが好印象って言うなら良いのかな。


そしてわたしはまだわたしを抱き締めて守ろうとしてくれるアイリに聞くの。


「アイリは、アイリはお母さんが他の人、好きになっても良いの?」

「アイリ嫌いにならない?」

「ならないよ。誰かを好きになっても代わりに誰かを嫌いにはならないの、わたしはね」


「ならアイリ、だいじょうぶ。でもお母さん取られたくないの一緒に居たい」

「わたしも一緒に居たいから大丈夫だよ、アイリ」


最近はわたしと離れて行動したりしてくれるけど、まだわたしが居ないとアイリはダメみたいなの。

親離れは遠そう……

でも、無理にはできないよ。

メンタルわたし並みだと仮定してるの。とてもそんな真似できない……わたしだったら不安で死ぬもの。


そして、今までずっと黙って様子を伺ってたシャルさん。男の子だから気不味いよね。でも、わたしの家族だもの一応聞いておかないと。


「シャルさんもそういう事だから……何か気に入らないとかあったらちゃんと言ってね」

「い、いえ。わたしは大丈夫です……アイギスさまのお気に召す方となら……」

「でも、シャルさんも気に入らない人とか気になる子とか居ないの」


「そんな滅相もありません、わたしは特には……」

「じゃあ、誰か好きになった人とかできたら言ってよ。その人は別にわたしたちが好きならなくても良いんだし」

「…………はい」


シャルさんが俯きながらか細く肯定するんだけど、恥ずかしいのかな。

最近、アイリの面倒見てくれてるから、アイリを好きになったでも全然良いんだけど……まぁ、アイリまだ子供だからそれはないかな。


ただ、そのシャルさんをアリーシャちゃんが真剣な表情で見て呟いてた。


「ふむ。……シャルちゃんは……いや、良い。まだ時が必要か」

「なに、アリーシャちゃん?」

「良い。…………ヴィリアちゃんも落ち着いた頃合いに違いないアイギスちゃん」

「……結構、時間掛かっちゃったね。じゃあお話ししましょうか」



そしてアスタロッテがヴィリア姫を連れて居間に来る。

改めて挨拶してから、まずはお付き合いから始めることにしたの。

本当にわたしの事好きらしい。

わたしの話なんでも知ってたもの。


でも、実際のわたしを見てどう思うかは別でしょ。

わたしもヴィリアさんがわたしの事、好きだってわかったけど、好きになるかはまだ解らない。


お互い解らない所からの恋愛……

どうなるかは解らないけど始めてみることにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ