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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第3章 妖精達の冒険ストラテジスト
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第十六話 妖精騎士アイギスさんとヴェスタの街の金貸し元締め(6)



金貸しの元締めバルガスが金を得るしか見えない明るい未来にテンション上がっちゃてるよ。



「じゃあ答え合わせをしてやろう。ただ、その前にアイギスの嬢ちゃんの解答を聞きてぇな。その様子だと儂ら金貸しのやり方を理解してくれたみてぇだがな」


もう、絶対勝利の予感に笑みを堪えきれないって感じだよ、このおっちゃん。そりゃどう転んでも儲かるもの、種明かししても問題ないだろうよ。


「……つまり金貸しが家畜主を追い込んで盗賊ギルドの息が掛かった闇金ヤミきんが金を貸すんだね家畜主に。そして闇金ヤミきんの元手が……」

「正解だぜ嬢ちゃん。その先は言わずもがなだろう」


このアイギスさん、本当に迂闊だったわ。なんですぐに思い付かなかったのか。そうだ、金貸しって、皆必ずしも"自分の資金かねで"お金を貸してる訳じゃないの。


今、ここに居る場所は金融ギルドなんだよ。

ギルドは寡占事業で他の奴らは認可がないとできない。銀行業務もここの組合員じゃないとやれないの。金融業はギルドの独占だもの。

だって銀行もお金貸すよね。そして銀行の資金は銀行のものじゃない、預けた人のお金だよね。


「銀行と同じでもぐりの闇金ヤミきんって言っても全員自分の資金かねじゃないのね。でも、直接は金融ギルドの組合員が融資したらご法度。でもあいだに誰か噛ませれば……」


「まぁ、そいつは言わぬが華だぜ。厳密に言えばそれでも横紙破りだからな。だが、儂らの金にはなるな。何もうちら金貸しが仕組んだ話じゃねえ」

「仕組んでなくても手組んでるじゃん」



認可を受けた金貸しが、あいだ挟んでも認可以上の利子とか付けたらそりゃルール違反だよ。

こんなのバレたら普通は罰を受けるんじゃないの。


「そこは盗賊ギルドが良い仕事してくれるのさ。やるのは闇金の奴らかも知れないがな。こっちに迷惑が掛からないよう、金がない連中にはうちらにその話を持って行くようそれとなく勧める、そういう寸法よ。こっちも良い迷惑なんだぜい?」


「笑顔で言うんじゃないよ、おっちゃん……でもまだ解らない事があるよ。"あいだ"に誰か挟むって言ってもそれって貴族とかじゃないの。あいつらが金貸しの資金源だったりするよね」


あいだと言っても闇金ヤミきん連中じゃないよね。何かあったら裏で糸引いてるのもろバレだし、でも貴族相手なら簡単には手を出されない。それで連中好き放題してやがるからな。



「でも、貴族の奴らに金貸して商売になるの? あいつらだって馬鹿じゃない。金貸しが絡んでる事ぐらい承知でしょ。大枚借りて、はたいて不渡りになるんだよ。余裕で踏み倒されそうだけど」


「なに、別に何も知らない下々しもじもの者を騙そうって訳じゃないんだぜ。こっちはうちらの道理を良く理解してる客を相手にしてる。まさかそんな事も知らない貴族さまが居るとも思えねぇな」

「んな建前を聞いてないって。生命いのち掛けになるんじゃないのかって事」


このおっちゃんはギルドの金貸しを取り仕切るだけだから、狙いにならなくて安心かも知れないけど。


……実際に動く金貸しがヤバくない?


動いてる金貸しが大物な訳ないよね。こんな大手を振るってはやれないシノギ、金貸しの連中どうやってそれで儲けるの。貴族連中っていざとなればなんでもして来るよ。



「ああ、そうか。ブッ殺して借金踏み倒そうって不届き者が居ないのかって事か。まさか、アイギスの嬢ちゃんにうちらの心配されるとは思わなくてな」

「逆恨みされるのはいつもの事だろうけど貴族が借金まみれになる理屈が解らないよ」


「ああ、成る程な。なに、金貸しが殺られても借用書がある、写しもあるしな。殺られた金貸しの無念は勿論もちろん、儂らが引き継ぐぜぇ。奴らの借金は一度したら返すまではなくならんのよ。それが表看板掲げて儂らが金貸しやれる理由だぜぇ」


「……納得だわ。だから金融ギルドね。暴力じゃどうにもならないようになってるのか。それだとむしろ貴族とかの方がやりやすいよね……」


貴族は逃げられない。土地だとかそれなりに固定資産も持ってるだろうから。そして借金漬けになって悪事に手を染めるのがパターンの一つなのか。

居たからな、生命乞いで借金が、とかほざいた奴。

てめえのケジメだろと余裕でブッ殺したわ。


で、ブッ殺した貴族の家が潰れたのよ。当時は悪さはできないな、と思ったけど本人死んでも借金はチャラにならねぇんだろうな。なら、貴族は格好の標的――獲物か。借金付けにして生かさず殺さずすれば永遠に不労所得を稼いでくれる。

連中があくどい訳だ、でないと生き残れねぇ。



「それにうちらはそれなりの身分のお大臣の金も預かって仕事してるからな。殺るのは良いが後が怖いぜぇ。今、動いてる金貸しはそういう連中よ」

「金貸しっても逆に追い込まれるのね。でも、盗賊ギルドがそんな貴族ども使うのが解らない。ゴブリン村の利権に絡んで来ない?」


「ああ、そこまではアイギスの嬢ちゃんでも解らないのか。他の貴族を一枚噛ませると面倒ごとになる、嬢ちゃんはそう思ってるんだな?」

「盗賊ギルドがゴブリン村の揺すりに伯爵通すなら他の貴族連中邪魔でしょ。勝手に何かされるかも解らないし、貴族が伯爵に口出したりとか……」


「逆だぜ、嬢ちゃん。連中を一口噛ませる事によって伯爵は今回の件、動かざるを得なくなる。しかも奴らが勝手に自分の取り分を声高に主張し始める。金を出した分だけな。伯爵ならまず収められねぇ、それを取り仕切るのが盗賊ギルドよ」


しまった。今回の件。盗賊ギルドと伯爵だけで片を着けてゴブリン村から金を巻き上げるだけかと思ってたけど、貴族連中まで噛ませて伯爵のお役御免を果たそうって訳か。

伯爵が金ヅルのゴブリン村を狙って独占しようとしてくるその狙いを確実に潰そうって事だよね。ゴブリン村の利権を盗賊ギルドで確保する為に。


「でも、ゴブリン村の利権はわたしが出て来た事で潰される。村はもう盗賊ギルドと縁切れだよ。不義理したんだから当然だよね。手切れ金は奴らの血であがなわせる。盗賊ギルドはまだそれを知らないんだよ」

「ああ、それは実に良い話を聞いたぜ」


これには金貸しの元締めバルガスはめちゃくちゃ笑顔になった。このおっちゃん、自分が悪党の癖に、悪党が痛い目見る話大好きだからな。


貴族や闇金ヤミきん連中も自腹切るような奴は痛い目見るしね。金融ギルドのライバルだから死んでくれても問題ないくらいだし。


しかも、おっちゃんが取り仕切る金貸しがその闇金ヤミきんに出資した貴族連中に金を貸してる。

さらに金を巻き上げれるんだね。

最初から上手く行かない事が解れば、どれくらい貸せれるか見当つくもの。むしろ、喜んで貸すよ。

なにより金貸しは金を返されると儲けにならないから。


これ程、愉快な事はねぇんだな、おっちゃん。

わたしでもおっちゃんの立場なら満面の笑み浮かべるわ。


「食いっぱぐれはない、はそういう事……待って。あれ、それだとわたしの依頼主はどうなるの。あの家畜主の人は。あ……もしかして今頃……?」


貴族連中も一筋縄じゃいかないよ。盗賊ギルドも絡んでる。そんなせっせと悪巧みする奴らに巻き込まれてるなら。何より金融ギルドが一枚噛んでるのにここでそのネタをバラしたら……


「そりゃ当然そうなるな。冒険者ギルドのあんちゃん動き過ぎだぜぇ。まぁ何も知らないだろうからな。アイギスの嬢ちゃん、おまえさんがまた出て行くと面倒事になる。盗賊ギルドの連中が、肝心要かんじんかなめのあの家畜主を確保しない訳がねぇよな」


「家畜の雪羊は……言わなくても確保済み……?」

「今頃は、翼人族の連中使って債権回収済みよ。悪いがそこまでが口裏合わせでな」


盗賊ギルドのシノギに協力する代わりに家畜主の資産を抑えても出る、借金の損失を引き受けないのは当然。貴族に借金させて利潤を得て、家畜主への損失分はその借金を元に補填させる。


当然、家畜主には借金とは言えビタ一文も渡す気はねぇな。貴族に金が要るのはその家畜主の借金の肩代わりだもの。

コレが金融ギルドと盗賊ギルドの悪巧みのタネ明かしか。貸し付けた金くらい利子で回収してるだろうになんとあくどい。


でも、でないと動きがバレてバルガスのおっちゃんに横槍入れられかねないんだろうな。金の話だ。気付かない筈がないんでしょ。



「今頃は、不良債権になった事を知らない闇金連中に家畜主が追い込み掛けまくられてるぜぇ。良かったなぁ、借金は返せそうで。ただ一瞬で人生飛ぶ利息付きの借用書にサインを求められてるだろうがな。トイチ、トゴは当たり前、ヒサン、アスイチとやりたい放題できるなぁ」


まるで金貸し冥利に尽きるとでも言うように楽しげなおっちゃん。尚トイチは10日で1割の利息。

トゴは5日で、ヒサンは3日。アスイチは次の日には借りた分の1割の利息払いを求められる。

アスイチだと不思議な事に十日で貸した元本戻って来るよ。


地獄の悪鬼さえさおなウルトラ借金地獄だぜ。


家畜主さんの今頃の光景が脳裡に浮かんじゃう。

真冬で雪積もってるからこの街までは3日掛かる距離なの。わざわざこの時期には追い込まれない。冬のあいだはまだ時間あると、かろうじて命脈をたもつ家畜主のおじさんの前に不吉ふきつな黒い翼の翼人族バードマン鴉人レイヴン達が降り立つの。


そして雪羊その他を正規の借用書を手に取り押さえられる。全ての財産を。


もはや人生のどん底に堕ちた家畜主に闇金どもがさらに押し寄せ、無理矢理サインを迫られるのよ。

法外な利息が掛かれた借用書にね。

正規のものじゃないと言っても個人間の信義で成り立つ貴族の金よ。その金で一瞬だけ雪羊が戻って来る。でも、次の瞬間には闇金どもの手に渡るの。おまえこの利息払えるの? ってね。


そして更に借金漬けにする為に何処か遠くに連れて行かれちゃうのよ。



「ちょ。あの家畜主のおじさんが絶え間ない絶望と悲憤に涙してこの世を怨んで世を去る、そんな光景が目に浮かんだよ。てか、どう考えても無理筋でしょ。いくら債権膨らませてもゴブリン村が無限に支払える訳ないじゃない。奴らは捕らぬタヌキの皮算用って言葉知らないの?」


そもそも請求出来ても盗まれて戻って来ない損害分の保証と詫び金くらいじゃん。それを無理矢理膨らませて、払えとか……貴族ども、マジ頭狂った難癖つけて来るからやりかねないのは解るけど。


「なに、必要なのは名目だぜ。実際の利益の配分は金を出した連中の出資額次第になってるだろうよ」

「それでも、盗賊ギルドの取り分無くなりそうじゃない。あいつら何考えてるの。伯爵も金にならなければ動かないでしょ」


いくら奴らが儲けを夢見てゴブリン村が裕福と言っても無尽蔵に金持ってる訳でも奴隷のようにこき使える訳でもない。


しかも、人間と違って妖精のゴブリンなんだから住処すみか変えられる可能性はあるでしょ。争いになるなら払っても良いやって、金額のギリギリに抑えて金巻き上げるのが定石だろ。脅しや恫喝するにしても。


「ゴブリン共に逃げられたら食いっぱぐれる。盗賊ギルドがそこまで考えてないとか、絶対おかしいでしょ」


「確かに、ちと無茶なやり方だな。ただ、アイギスの嬢ちゃんの騒ぎに巻き込まれて、ここの盗賊ギルドを仕切ってたガンダスが殺られてな」

「それは知ってるけど」

「……コイツは儂の想像なんだが、元々計画されていて本来はゴブリン村との取引を有利に進める為の策だと思うぜぇ。ゴブリンどもが他とも取引しようって動きとかなかったか?」


「おっちゃん鋭いな。考えてたらしいよ。……そうか動きが盗賊ギルドにバレててゴブ村との取引の独占が狙いなんだ。恐喝の利益は二の次なのか」


「だが、それは死んだガンダスの仕掛けと思うぜ。今回は利益も狙ってるらしいからな。ギルドの連中もたがが外れちまってるのかもな。後釜狙ってシノギの削り合いだ。今回もそのシノギって奴よ。あちらも足の引っ張り合いにと忙しいが、今回の件。仕組んだやつは後に引けなくなってるんだろうな。コイツは儂の想像だが」


クソっ。そういう事か、のこのこ盗賊ギルドからゴブリン村脅しに来た奴も謀られたとか言ってたな。


ギルド内でやりあって、その結果がこの状況なんだ。悪たれゴブリンをわたしが殺ったら引いた癖に、今回は計画を進めやがる。失敗した時のリスクを考えてねぇ。それくらいやらないと後釜狙えないんだろうな。

際どい無茶もやらざるを得ないって状況になってんのか。



「あちらさんも大変だなぁ。でも、まぁ良かったじゃねぇか。勝手に潰し会ってくれるぜ。なんなら奴らに口聞いて嬢ちゃんの取り分、確保してやっても良いぞぉ。手数料は頂くがな」

「そんなきたねえ金要らないよ。でも、結局、わたしが原因かよ」

「ガンダスは悪くなかったんだがなぁ。手下が馬鹿で乗り切れなかったようだからな」


その盗賊ギルドの顔役殺られたの、絶対わたしが原因だからね。わたしの情報得る為に深入りし過ぎて聖魔帝国の防諜部隊に殺られたんだ。

もちろん、見せしめの為に。

なのにわたしが絡む仕事にケチ付けるとか良くやるよ、盗賊ギルドの後釜狙いども。


「やろう……許せねぇ。小賢しくもゴブリン村に手出してしかもわたしの顔に泥まで塗り付けるだとぉ……」


沸々(ふつふつ)とわたしに怒りが湧いて来る……

あくどい陰謀企てた挙げ句、あまつさえわたしの依頼人をおとしいれる。赦せねぇな。わたしの仕事にケチを付ける話だろ、コレ。奴らはわたしの冒険者の"領分"に土足で踏み入ってるぜ。


コイツを赦しちゃなんねぇとわたしの冒険者人生が囁くんだよ、怒りと共によ。



「おいおい、アイギスの嬢ちゃん。まさかあの家畜主の為にやり合おうってか。筋道は通ってるんだぜ」

「通るか! こんな筋。あいつらわたしの依頼人に手出してるんだぞ。金の回収はまだだ。知らなかったなんて言わせないぞ! 家畜主はどうでも良いんだよ。ただ、わたしの仕事が終ってないだろ。クソどもっ!」


「面白い、面白いぜぇ嬢ちゃん。家畜主の為でもない所が良い。冒険者の流儀か、……そこで啖呵切れる奴は中々居ねえ。仕事人だぜ」


家畜主? 良くある話だよ。人の不幸はさ。

借金とか危険犯してるんだから不幸な事故って言えなくもないよ。借金してるなら覚悟くらいしてるでしょ。リスクを取ってるんだから、その結果自体はわたしの同情は買えないよ。


他人ひとの金で商売してたら、相手の都合で生かすも殺すもされるって。魔物も都合で殺ってんだから。このアイギスさん、その辺りは人間社会の宿業と見切ってるよ。


もちろん、何もしてないのに悪党共に使い潰されるとか許せる話じゃないけど、わたしに関わり合いじゃなかったら遠くの話だもの。こんな不幸この世の中に転がりすぎてるよ全部は手に負えないって。


これが知り合いとかだったらもう少し身を入れて考えるんだけど、ただの依頼人だからね。


だが、冒険者の面子メンツは別だぜ!


「この妖精騎士のアイギスさんを舐めきりまくった話だよ。奴ら程度のクソどもにここで引けないよ!」

「……ふむ。だが、それだとどうする? その筋通すとなると、あの家畜主も助けなきゃならなくなるんじゃねぇか。最悪、仕込み入れた奴にケジメ取らせても面目は立つがよ」

「……生きてると思う? 家畜主のおじさん」


もう、そこまで段取りされてると死んでない?

必要なのは借用書くらいでしょ。後はその風船見たいに膨らませた債権をゴブ村と伯爵に見せて因縁つけるだけ。

元よりあやつけるだけの道具だよ。


もし万が一にでも家畜主が誰かの手に渡って無理矢理借金させられたなんて証明されたら、御破算になる話なんだよ。

喜ぶのは面倒事から解放される伯爵ぐらいじゃない? 厄介ごと起こした盗賊ギルドにそのまま話付けれるし。でも、ゴブリン村にそのまま手出しそうだからわたしは喜べないぞ。



「いや、伯爵を動かす為にはまだ必要だな。伯爵にも面子メンツがある。空手形では動きたくない筈だぜ。他の貴族が騒ぎ出してもその証拠が明らかに闇金の証文だけじゃな。最低でも渦中の本人の証明が必要だぜ。始末するのはその後だな」


「まだ、生きてるの。驚き。この国の法律や筋道の立て方どうなってるのよ……」

「本人がその法の庇護を仰がないとダメって事になってるな。ま、悪巧みした奴らはその前に道具立てを始末するぜ」

「仰いでも始末されるんでしょ。この渡世とせいは地獄過ぎるぜ。奴らも通せるなら"筋"を通さないと面子メンツに関わるからな」


盗賊ギルドや貴族に逆らったら痛い目見るってな。

法の庇護が民草守るほど強く無いんだよ、この国。前に居た帝国は更に酷かったけど。


奴らは怖がられてなんぼ、この国の貴族はぬるいが盗賊ギルドは舐められる訳にはいかないからね。ギルドは組織、仕事に差し障りがでかねない。一般人なら確実に殺しに来るよ。



「まったくアイギスの嬢ちゃんには頭上がらねえな。人間さまが道理通せぬこのざまではよ。……だからこそ期待してるぜぇ、神祖の妖精王さまによ。老い先短いおじちゃんに夢物語を見せてくれぇ」


ニタぁと相貌を崩して笑みを見せる肉付きの良い御老体。そりゃ、人の世の道理が通らぬさまを見て来て、更にその道に乗っかって来たおじちゃんは楽しいだろうよ。しかも、この状況になってるの知って、何処まで稼げるか計算してんでしょ。


このおっちゃん確実に悪党で数々の人間を老若男女問わずに不幸に陥れて来た奴なんだから。そして上前跳ねるとか悪以外の何者でもねぇ。

でも憎めないのよ。おっちゃんの昔は知らないけど、今は金貸しの筋を通してるからね。


「バルガスのおっちゃんには負けるぜ。……まあいい、見せてやるよ。このわたしの生きる道って奴をな。後生にわたしの正義を見せてやるよ。妖精騎士のおとぎ噺フェアリーテイルをなぁ」



と、おっちゃんに格好をつけて息巻いてその場を後にした。でも、家畜主助けるとかノープラン。

どうしよう、何処に居るかまったく解らないぞ。

話を聞いてたアイリとシャルさんが尊敬っぽい眼差しで見つめて来るけど……


わたしの冒険者の筋道の都合だからさかずき交わした魔女王連中には頼る訳行かないし……


仕方ないのでわたしは家に帰ったの。

もう、あのに頼るしかないと。

魔女王と天使王の娘のアスタロッテに。



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