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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第1章 星幽界の彼方から求めて
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第二話 妖精騎士アイギスさんと闇妖精の暗黒騎士(2)



わたしは夢を見ない。この世界に来た時から一度も見た事がない。そもそも睡眠を取るのも意識的に行わないと眠たくならないのだ。


ただ、寝る時は結構寝る。前に一月くらい寝なかった時が有るんだけど、やはり心に悪影響が有るのか自分でもビックリするくらい殺伐としてた。

まぁ、やらかして殺し屋に狙われてた時何だけど。


それから寝れる時はきっちり寝るようにしている。

やはりエルフと言っても心の整理は必要なんだよね。って話し。で、今日もゆっくり家に帰ってご就寝中だったんだけど……


トントン、トントンって音が響いて来るんだよね、台所から。正直、起きるには早いんだけど寝てても悪いから、結局起きてしまうのだ。


そしてわたしは身なりと心の準備を整えて、2階の自分の部屋から台所のある居間への階段を降りる。


そして、見えるエプロン姿のシルフィちゃん14歳の後ろ姿。彼女は健気に頑張り、毎日朝ごはんを作ってくれるのだ。


この状況を家で毎朝みるわたしの心境を選択せよ。


1.「やったぜお嫁さんゲットだぜ!」

2.「わぁ〜い。毎朝ごはんが何もしなくても出て来るよ」

3.「そんな事よりイチャイチャしたい」

4.「やったね。家族が増えたよアイギスちゃん」


碌な選択肢がねぇ! これわたしの男の子部分だな! 九州男児的な気質どこいった!


えぇい男共には任せておけん。わたしの女の子部分で選択肢来い。


1.「お母さんが出来て嬉しい。毎日楽できそう」

2.「ねぇどんな気持ち? 女子力で完全敗北してるけど? ねぇ、今どんな気持ち?」

3.「もう、恋愛対象、女の子でも良くない? 丁度落とせそうな子いるよ」

4.「扶養家族が増えたから、お仕事頑張ろうか? お父さん」


ちょ、女子の方も碌なの無くない? てか3の奴は本当にわたしの女子部分の声か? わたし女子部分でそっちの気あんの? てか4お前もか?


駄目だ。わたしの女の子部分も駄目だ。やっぱりわたしの人格は両者を統合してできてるっぽい。わかつと碌な事を言い出さない。これ統合して大丈夫か?

で――そんなわたしの本当の今の気持は……


顔を赤らめて、なんとも言えない気持ちになってるんだよね。お嫁さん貰ったら本当にこんな感じになるんだよなぁ、って。


けど、わたし女の子だから台所立つのわたしじゃね? と思わなくもない訳。

まぁ女が台所立つって古い考え方かも知れないけど。でも、そういうのにも憧れ見たいなのある。現実の家事能力が絶望的な点を除けば。


結果、わたしは体温高くなるの自覚して、毎回動悸を抑える為に深呼吸してる。

正直、女の子に免疫なさ過ぎるのが問題って頭で理解してるんだけど心の部分も問題で、何故か男の子の部分と女の子の部分が整合性取れずにバグっちゃうの。


そして、問題はこれだけじゃないって言う。

わたしが台所覗いてるのに気づいたシルフィちゃんが気づいて、

「おはようございます。アイギスさん。ごはんすぐ出来ますから、待ってて下さいね」

って満面の笑みで言うの。

わたし毎回これに耐えなきゃならないんだよ地獄じゃない? 性欲とかあったら多分押し倒してるよ。

ないから、わたしのハートが代わりにめちゃくちゃ鼓動打つんだけど。え、これ恋なの恋なの?


そう、わたし、アイギス自分の心が迷子なの。思春期か? 今わたし思春期来てるのか? 下手に知識が有るので逆に良くわからんっていう。


くそう。前世の個人記憶がないから全く判断できん〜っ。わたしの前世、童貞とかじゃないだろうな。若しくはそっちの気があった子とか。

あ〜わからん! わからん!


と、わたしが心の中で悶えて顔が赤面してそこでフリーズしてると赤ん坊が泣き出した。

シルフィちゃんが慌てて赤ん坊の方に駆け出して、ベビーベッドから赤ん坊取り出してあやし始めるの。


「はい〜よしよしっお姉さんですよ~お腹空いたのかなぁ。まっててね〜」


シルフィちゃん14歳だよ? なんであんな母性出せんの? 自分の子供じゃないんだよ?


正直、その若すぎるお母さんという状況に更にわたしの情緒がクラッシュするの。

助けて一緒に街まで帰るまでは、宿の部屋とか別にして子供の面倒見るの大変なのに頑張るね〜、くらいにしか思ってなかったんだけど一緒に暮らすと実生活でこの場面ずっと見るようになってシルフィちゃん聖母かっ! って感情が芽生え始めたの。

正直、ただでさえ情緒不安定なわたしの心を揺さぶって来る訳よ。


シルフィちゃんはわたしの母になってくれる人かも知れない。と、わたしの中の赤い彗星が囁くのよ。

わたしも赤基調の盾や鎧だしね。

って無駄知識よ去れ!


そして、赤ん坊が泣きやんでベッドに戻すとシルフィちゃんが申し訳なさそうに謝るの。

「す、すみません。ご飯すぐに用意しますから」

と、大体いつもこの調子。居候だから肩身せまそうにしてるの。

「だ、大丈夫だから。気にしなくて良いから!」

わたしも気の利いた事言えれば良いんだけど、はっきり言ってこの状態なのでこの返事で一杯一杯よ。


結局、その後、いつものように、ぎこちなく朝食を頂いて、わたしは家を出た。ご飯もしっかり頂くんだけと美味しかったかどうか、わからんくらい錯乱してるっての。


そして、ここ最近逃げるように冒険者ギルドへ行って、仕事なければ、ぶらぶら街うろつくか、仕事先に行くかの二者択一の生活。

まぁ仕事しててもシルフィちゃん気になるから夜には家帰るんだけど転移魔法もあるしね。


でもこの状況じゃ駄目だと思うんだよね。なんとかしないと。わたしが暴走してるおかげでシルフィちゃんとの関係も微妙だし。

しかし、その方法が全く思いつかなくて懊悩おうのうしてるっていう……相談できる相手が入れば良かったんだけど……悲しいかな。わたしは見事なまでに友人がいないぼっち体質であった。


どうすれば良いんだ!


神祖の妖精王が初恋?に身悶えしてる頃。

ルイン「駄目です陛下。現状、諜報網に掛かりません。更にロルムンドが動いたとの情報が」

魔女王「止むを得ん。ロルムンドの連中には妨害工作を仕掛けろ。こちらが妖精王に気づいてる事を知られても構わん。情報の整理を急げ。完了次第こちらも現地に切り札を出す。これ以上ないという奴をな」

(熾烈な諜報戦が行われてる舞台裏)

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