番外その一 妖精騎士アイギスさんとこの世界の妖精族について学ぼう
この世界にはさまざまな種族が居るが、そのほとんどが神々と共にやって来た者達である。
特に妖精族は10万年以上も昔に神祖の妖精王と共に世界の危機を救う為に召喚された種族。
今回はそんな妖精族の概要をご紹介。
この世界に住む妖精族、中でも知的種族は主に3つの種族に区分されている。
尚、本来妖精人は知的妖精全体を指す名称だったが、三神の仲違い以後、妖精神ヴィネージュを祖神とする者達の意味合いを含むようになったので下記の他の呼称が生まれたようである。
杜妖精……主に聖樹神アルガトラスを祖神とする妖精たち。植物系の妖精とも言われ、ベジエルフとも言われる。だが、中にはマグマに住む者や空を漂うクラゲ、果ては真菌姿などの種族も居るため植物系のみではない。当然、海中にも居る。
神祖の妖精王より世界の環境の改善や維持する事を使命に与えられた者達。生まれながらに使命を理解しているので全員が神祖への信仰心を持つ。
テラフォーミング担当。
妖精人……主に妖精神ヴィネージュを祖神とする者達。エルフと言えば一般にこの種族を指す。
人間に関わりが深い金髪緑眼の森妖精族のイメージが強いが、人魚妖精や地妖精、小鬼妖精、有翼妖精などもこの種族の区分に含まれる。
神祖の妖精王より森や海など杜妖精や精霊たちが改善した環境を整えることを使命に与えられた者達。
他の妖精たちとの仲介や他種族との折衝なども使命の内だったが、仲違いにより環境を整える以外の使命は果たせていない。神祖からの使命さえ時の流れで忘れかけられている。
亜妖精……主に亜精神バーギアンを祖神とする者達。身体の一部が動物的特徴を持つ。この事からデミエルフとも呼ばれるが、猫妖精のように見た目が完全に猫や、人魚妖精や有翼妖精がヴィネージュを祖神とするように仲違い以後広まった呼称である。
また、妖精人以上に人間と関わりが深い種族で、特に有角妖精族は純血の者が殆ど居ないほど。他にも人馬妖精や獣妖精族などが有名。
神祖の妖精王より与えられた使命は他種族との戦い、他の妖精族を守ること。即ち戦士としての役割である。種族的に強靭で戦闘力が高い。
だが、神々の戦いによって祖神を失ったことから各種族に別れ、時の流れで殆どの種族が使命を忘れ去っている。
(注:必ずしも杜妖精族以外の妖精族全てが神祖の妖精王からの使命を忘れている訳ではない事に注意。個人の信条などは人それぞれである。また個人の信条を批判、推奨する訳ではない)
そしてこの3種族の区分に含まれない人語を解し会話可能な妖精達も居る。主に小妖精と呼ばれる者達。妖精人ではあるが祖神がヴィネージュではない。
翅妖精……羽妖精や光羽妖精など手のひらサイズの無邪気な妖精達。神祖の妖精王を直接、祖神とする。特に使命などは与えられなかった。自由気ままな妖精たち。
小人妖精……タブタブ神を祖神とする者達らしいが、他の無邪気な小妖精と違い真面目。ただ、通常のブラウニーは知能が3歳児くらいしかない。
この他にも人語を話さない動物系の妖精族もこの世界に住んで居る。黒妖犬などの妖精犬や妖精象。水妖馬など。
さらにこの世界には居ない妖精族も。
神祖の妖精王のみがこの世界に呼び出せる者達。
伝説にのみ語られる、祝福された妖精とされざる妖精たち。
善妖精……性格属性が善方向に偏った妖精たち。自分たちを正義と信じてやまない羽騎妖精や、やたら世話焼きで愛が重い愛妖精など。
悪妖精……性格属性が悪方向に偏った妖精たち。悪戯の度が過ぎたダーク・ピクシーや、人を獲物に血を啜る吸血妖精など。
また神祖の妖精王は妖精族以外に幻獣種や精霊種などの祖神とされており、聖角幻馬などの幻獣種や精霊たちも妖精族とは馴染みが深い。
彼らは幻獣界や精霊界から時折やって来ていつの間にか気に入った環境に住みはじめる。
特に精霊は気象を操り生命体が住むのに適切な環境を維持している。精霊を操り、環境を整えるのは妖精族の使命の一つである。
よって、妖精族はこの世界とは切っても切り離せない種族なのだ。
精霊の使役が妖精族か妖精の血を受け継ぐ者達しかできない現状では、妖精族の果たす環境への役割は世界に取って欠くことができない必須の大事である。
そもそも有史の始まりが神祖の妖精王以後であり、妖精たちが綴る事で以後、この世界の歴史は記録される事になった。
つまり、神祖の妖精王が居なければこの世界の歴史は始まることさえなかったのだ。
以上、聖魔帝国の政府機関誌より。要、校正。
「これ読むと、わたし、物凄く偉い神さまじゃん。なんで忘れかけられてんの。セレスティナさん」
「歴史が人間族主体になりましたし、神祖の妖精王の事を語るのが妖精たちの間では禁忌視されていたのがその原因じゃないでしょうかね」
「なんで?」
「自分たちの祖神が裏切ったとか語りにくいじゃないですか。杜妖精の人は歴史を綴りませんし」
「都合の悪い事に蓋したのね……」
「でも、その神祖の妖精王さまのおかげでこの世界が助かって妖精族が居るのは事実ですよね。アイギスさんが偉い神さまなのは知れば誰でも解りますよ?」
「ん〜、でも褒める人が誰も居ないよね? 前の"私"多分、頑張った筈なんだけどなぁ」
「だから、褒めるように修正出したんですね……」
「まだ、褒め方が足りないよね」
「いえ、妖精族の紹介文なんですから、これぐらいで……あまりやり過ぎると記事の公平性が損なわれますってメモ挟まれてたじゃないですか」
「もっと私の偉業を褒め称えろ、と」
「絶対、困りますよぉ、もう」




