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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第2章 暗躍錯綜のフェアリーテイルズ
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幕間その5 妖精騎士アイギスさんの報復戦艦による核戦争危機一髪!



メラディシア大陸中西部より――撃ち込まれた核弾頭は、即座に早期警戒衛星網に捕捉されていた。



古代魔法文明時代の終末戦争での苦い教訓は、世界条約における大陸間弾道弾の使用禁止も条約に含まれる事で形となって実を結んでいたのだ。


何処からか弾道軌道で撃ち込めば即座に情報は共有され、世界条約締結各国に警報がだされるシステムが構築されていた……







聖魔帝国首都バビロンシティ、バビロンタワー内、聖魔帝国軍、軍統合作戦司令部内――



私はその日、いつものように執務を執り行うため自らの居城たるバビロンタワーに赴いた直後に、その知らせを受ける。


受けた瞬間に大筋で状況を理解したのはこの世界でも魔女王たる私くらいであったろう。ちなみアスタロッテからは何も聞かされてはいなかった。

そう、何も聞かされていなかったのだ。


「ま、大体の状況は読めるな。で、現状は?」

私の質問に応えたのは、軍統合作戦司令部の責任者、司令長官、魔神将アークデーモンエッセルリングだった。


「現在、あと10分で発射されたミサイル、砲弾群が大気圏外に到達予定です。魔神王軍第三艦隊が迎撃待機しておりますが……」


「不要だ。そのまま本土衛星軌道上で待機。本国防衛に当たらせておけ。それよりも核弾頭群の他国の迎撃状況と軌道予測」

「現状は各国ともに静観状況です。軌道予測からアヴァロニア大陸東部、森陽王しんようおうの妖精国、極東帝国方面なのは確実です」




私はその報告だけ聞き及び、状況を把握整理した。時間がないので出来る限り素早く、要点を。


迎撃がされてないのはまだ、迎撃できる準備が間に合ってないのと、迎撃可能だがあえて見過ごしてるのが半々だな。


特に聖ロクス教国は位地関係から迎撃可能にも関わらず、見事にスルーだ。弾道軌道の方向が自国を狙ったものではないと見切っての高みの見物か。


そして準備が整ったのにも関わらず、ロクス教国に追随するように各国もまるで動く気配を見せていなかった。


"人類守護の最後の砦"魔法都市国家ロルムンドが世界平和と安全保障のため、旧文明の遺物を活用して早期警戒システムを構築しているのに、肝心の世界条約を締結している各国がこのていたらくではな。


条約に迎撃義務が盛り込まれてないので何処の国も我関せずだ。

ま、新参の我が聖魔帝国も同じことをしているので他人ひとのことを言えないが……



「陛下。ロルムンドから迎撃の正式要請が来ておりますが……」

「放っておけ。森陽王しんようおうの出して来た報復戦艦の仕業だと通告はしたのだろう? 肝心の森陽王からの要請でもあるまい。連中が頭を下げて頼むのが筋だ」


「では、極東帝国から要請が来た場合はいかが致しましょう?」

「それが悩みどころだな」



核兵器群の弾道軌道では、極東帝国を攻撃可能な軌道にどう考えても入ってしまっている。

狙いは森陽王の妖精国本国だと解りきっているが、その東隣に極東帝国があるので、現状では着弾直前まで狙いがどっちか確定できないのだ。

ちなみに核兵器は惑星の自転方向に沿って撃ち込まれてるので東から西に飛んでくる。



「……やはり極東帝国から要請が来たら迎撃するしかあるまい。連合艦隊にふねを派遣して貰ってる立場もある。森陽王はどうでも良いぞ。どうせ要請など来ない」


この状況で要請が来たらむしろ驚きだな。どのつら下げて、などという体面の問題があるからだ。


逆に聖魔帝国が余計な手出しもしにくい。


恩の押し売りなどやっては余計な反発を食らいかねないからだ。下手をすればこちらの自作自演さえ疑われるからな。しかもあの森陽王からだ。応じてもどういったイチャモンを付けられるか解った物ではない。要請が来ても無視するのが正解だ。


実際の所、自作自演にかなり近いので何も言えん。

真実を知られると、私の預かり知らぬことと強弁する言い訳も通用せんしな。そもそも奴の落とし前だ、止める気が私には一切ない。



「……天使王は何処にいる? アイツが一番反発しそうだが……」

「聖下は現在、渦中の花園城塞周辺で核攻撃を受けた住人の救助活動中との事です」

「よしっ。そのまま人命救護に当たらせておけ」


一番余計な手出しをしまくる奴が手空きで無いのは僥倖ぎょうこう。悪さができるというものだ。


せっかくアイギスとアスタロッテが最大限に機転を利かせて森陽王の悪辣な謀略を真っ向から粉砕しようとしてる見せ場なのに、それを空気読まずにないがしろにしかねん。


あのアリーシャが罪のない人間の人死にを容認する筈がないからな。私の悪行も聖魔帝国の理想の為に必要悪として許容してるだけ。この事態は流石にあいつの許容範囲を超える。

例え可能性だけであってもな。



「極東帝国各地から迎撃ミサイルが多数発射。同時に臨戦態勢に移行している模様です。艦艇多数が発進準備中。地下ミサイルサイロ施設の稼働を確認」


オペレーターの女淫魔サキュバスからの報告に私と魔神将エッセルリングは顔を見合わせる。

言わずもがな確実に核戦争危機だ。


「状況を把握できてなければ奴らが狙われてると思うのも当然か。今回の件、最大の被害者だ」


特に神祖の妖精王騒動でもまったく関与してなかったのが極東帝国だ。森陽王の国の敵国その一なのだが、国際政治やら諜報工作に関しては苦手なのかあまり関わって来ないからな。



君主の紫龍帝しりゅうていが政治というものに興味を抱いてないのがその最大の理由なのだが……


「だが、政治の実権を握る連中――四駿ししゅんは武闘派揃いとか聞いたな。あの国はやる気か?」

「陛下。極東帝国の現状下では核兵器を使う可能性は捨てきれません。の国で核攻撃を受ければ被害が壊滅的になるのは避けられませんから」


「国土が広く、防衛態勢が盤石ばんじゃくとは言い難い、とは聞いている」

「魔法障壁を展開して核攻撃を防げる都市や軍事拠点が数えるほどしか有りません。まともに核戦争をするなら先制攻撃か報復先制するかの二択を迫られます」


旧来の核抑止戦略を実行するか選択を迫られる。窮地に陥る可能性がある訳だ。今すぐ撃たなければ撃つ余力が無くなると。


「……マズい状況だな。ここで迎撃要請が来ても困る。仕方ない、紫龍帝しりゅうていと天使王には友誼がある。ホットラインを繋いで核弾頭の狙いが森陽王だと教えてやれ。私の名を出せば無下には扱われまい」



私の命を受けて魔神将エッセルリングが即座にオペレーターに司令を発する。聖魔帝国四軍の監督指揮を任せているのがこのエッセルリングだ。


軍統合作戦司令部と言っても、実際には各軍の連絡係と作戦行動の把握調整がおもな役割で、現地人から編成した国防軍の指揮権は与えられているが……それ以外の三軍、魔女王軍、魔神王軍、天使王軍に指揮権はない。この三軍は勝手をやるのでその調整だけでも一苦労だからな。


当然、その任務に当たるのはそれなりの能力――各国情勢に通じてるのは無論、各軍に対しての人脈と根回しする配慮とことこまやかさが必要だ。


エッセルリングは聖魔帝国一の苦労人と言っても過言ではない。今回もわざわざ天使王をおもんばかり極東帝国への配慮の必要性をそれとなく私に伝えてきた。微に入り細を穿つ、軍統合作戦司令部の司令長官はこれくらいできねば務まらん大役だ。



「連絡は行いましたが、紫龍帝しりゅうてい陛下は午睡中とのこと。……ですが責任者には伝えて頂けるようです」

「のんきなものだな。奴にとってはこの程度、些末なことか。もう夜だが……いや時差の関係か。起きて来るまでには事が終わってるだろう。――そろそろだな」


私は司令部内の大型スクリーンに仮想的に状況をシュミレートして写し出された核弾頭群と迎撃ミサイル群が大気圏外上で交差するのを見守った。



核弾頭群は40発。対して迎撃ミサイル群は120発以上。ただ単に飛んでくるだけならこの世界の技術水準ならほぼ正確に着弾するが、魔法障壁や位地情報を撹乱させる為の幻術魔法などもある。


迎撃目標に対して飽和攻撃できる量を撃ち込むのは定石だ。そして、通常この量の迎撃弾を浴びせれば確実に壊滅させることができるのだが……


ただ、その結果に女淫魔サキュバスのオペレーターが驚いていた。


「核弾頭群と迎撃ミサイル群、接触します。………………か、核弾道群に被害なしのようです」

「だろうな。あのアイギスとアスタロッテがその程度の仕込みをする筈がない」

「そろそろ妖精人エルフどもが騒ぎ出す頃合いでしょうか」

「核弾頭の自爆信号も効かないだろうからな」


そして案の定、妖精国から慌てて撃ち込まれる迎撃ミサイルに電磁投射砲からの迎撃弾。今までは、極東帝国を刺激しない為に撃つのをためらっていたようだな。


が、座して見守れば撃ち込まれるのが目に見えている。しかも、極東帝国の迎撃がまったく通用しなかった相手だ。焦りようがその行動で解るというもの。


「大気圏外から再突入して着弾するのに一分くらいだったか」

「はい。現状では弾頭を分離する様子が有りません。そのまま最終フェイズに移行し、妖精国上空で散弾方式で弾頭をバラ撒くかと」

「アイギスと、核兵器開発の技術進化で最悪の状況だな」



ミサイルや弾頭も魔法障壁を展開するのでただ単に当てれば堕ちるというものでもないのだ。


もちろん、対抗技術も発達していてその魔法障壁を打ち破る対魔法破壊弾頭マジックディストラクションや魔導砲などが開発されていたり、幻術による位置情報撹乱を見破る看破魔法などの技術もある訳だが。


使われた弾頭は魔法障壁による対迎撃弾防御カウンタープロテクション方式。大気圏外で子弾頭を分離させて多数目標を狙うより、直前まで一緒に運んで再発射する散弾タイプ。


そしてアイギスはこの世界では最高峰の防御魔法の使い手だ。核兵器に一つずつ防御魔法を付与するなど朝飯前だろう。


瞬間的にも戦艦並みの防御力を持つ核弾頭の出来上がりだ。使われた核兵器と相性が良すぎる。悪夢以外でも何物でもない。落とせない事はないだろうがそれが40発、全て撃墜するのは困難。聖魔帝国なら、切り札の天使王の居城・聖天要塞を出すしか手がないな。


「核弾頭群、大気圏再突入。迎撃弾頭群とエンゲージします」


オペレーターの声に気づいて、私は大型スクリーンで結果を確認した。

極東帝国の迎撃結果と寸分違わず、核弾頭群はまるで無敵の精鋭部隊のように迎撃砲火を蹴散らして森陽王の国に迫る。



「さて、あとは結果を御覧じろか。妖精国の防衛状況は? ついでに大体の被害予測」

「現状、我々の予測を超える行動は確認できて居ません。このまま着弾までに迎撃できず、魔法障壁を展開できない人口密集地帯を優先して目標を設定していたと仮定して……犠牲は約百万人ほどです」

「アスタロッテならおそらくその最悪をやるか……やるならな。さて……」



祈るか。ここまでの状況なら私でも読めた。問題は結果までは予測できないことだ。

厄介なのは我が娘、アスタロッテをまるで信用できない所だな。


このまま核兵器を起爆すれば天使王の本気マジ切れレッドラインをブっちギるのは明らか。

遂にアスタロッテが独り立ちを決意した可能性も捨てがたい。決意表明としては最高のやり口だ。


アスタロッテが好みそうなやり方なので尚更だな。


だが、今回はアイギスも関わってるからな。まさか、アイツまで本気でやる手合いだとは思いたくないのだが……


「そうか。結局、アイギス次第か。あいつが本気だったらアスタロッテが仕込んでも天使王アリーシャは手出ししにくい。元々は森陽王の不始末だからな。アスタロッテもさすがにアイギスの了解を得ないとそこまではやれないか」


天使王のマジギレに神祖の妖精王もマジギレしてくるのは私が知る限り最悪の状況だからな。私も庇いきれん。アスタロッテが野に降って逃亡生活を甘受する気がないなら、やらないか。



そして今回のデュヌーの騒動の件、事の次第を知ったアイギスが森陽王にブチ切れしてる可能性は充分にある。なら天使王もブチキレの矛先を発端の森陽王に向ける可能性が高いな。

アイギスが核攻撃しても、やられたからやり返すという単純な報復の論理が成立する。アリーシャもそれを主張されては、アイギスにブチキレる訳にはいかなくなるからだ。


多分、天使王の幼女友達の紫龍帝もブチキレるな。

あいつら仲良いのと紫龍帝が森陽王を嫌ってるらしいからな。


おっと、私が考えていたよりやられると最悪な状況になりそうだな。


核兵器が爆発すると、どいつもこいつもブチキレして来る。冷静なのは悪党だけか。しかも最悪なのは、各国も巻き込んで核戦争になりかねん。祈るつもりが、最悪の展開を想像できてしまったぞ。



「迎撃効果、核弾頭の約六割撃墜。核弾頭分離しました。推定軌道予測が確定しました」

「……予想通り最悪の優先目標だな」

「森陽王側もこちらが予測した防衛能力以上のものを出して来ません」


「出し惜しみしてる可能性もあるぞ。現状なら被害予測は30万人くらいか。しかも、どうでも良いような地方都市や里だ。奴なら余裕で切り捨てる」


各国にしても今回の状況を静観して、森陽王の妖精国の防衛状況をつぶさに確かめているのだろう。だが、予測以上のモノを出して来なかったので落胆してるな。聖魔帝国もその例に洩れないが。


と考えてる間に女淫魔サキュバスのオペレーターから結果の報告が来た。


「……残存弾頭着弾を確認。……………………核兵器の爆発確認できません」


「……そうか。しかし……これで森陽王の威信にヒビが入った。まさか、神祖の妖精王が撃ち返してくるとは流石にやつでも思うまい」



核兵器満載の報復艦まで出して、今回の騒動の件と長老の裏切りに対処しようとしたが、最悪な方法で仕返しにあったな。


最悪核兵器を撃ち返されるくらいは考慮に入ってたろうが……迎撃できていればまだしもだが、不発といえど実際に本国に核兵器を撃ち込まれていては話しにならない。


森陽王が名君足り得てるのはその実績に拠る所が大きい。エルフどもも自分達が地獄に落ちる一歩手前だったとすれば森陽王の失態を笑って許す心の余裕も持てないだろうからな。


冷や汗かいた極東帝国も黙ってはいない。

そしてもちろん聖魔帝国も、だ。



「エッセルリング。こちらも臨戦態勢だ。魔神王軍の第2艦隊を派遣準備。本国防衛に天使王軍も動員しておけ」

「極東帝国と共に一戦行いますか?」


「いや、その逆だ。やる気だけ出しておいて事を収める。吸血鬼どもも巻き込んで、3カ国包囲網だ。森陽王のしくじりを最大限利用する。迂闊に敵視外交すればそのまま戦争にするがな」



今回の件、聖魔帝国の陰謀にされてはたまったものではないからな。きっちり戦争準備して攻め込む準備をする。極東帝国も迎撃ミサイルが無効化され体面を傷つけられてるから乗ってくるだろうしな。


下らんことをのたまうなら即時開戦のやる気を見せる。ここで弱気になると今後似たような事をやられかねん。核兵器満載戦艦で威嚇するなど常軌を逸してるからな。それ相応の報いをくれてやらんと二番煎じを狙う馬鹿が現れかねん。


それで戦争になったらなっただ。それは向こうの対応次第でこちらの責任ではないからな。天使王の手前、和平交渉のチャンスは整えるが手を取るかは向こう次第。取らないようなら一戦くらいはやるとも。


特に戦争する大義名分を向こうからくれたようなモノだ。それに厄介な吸血鬼の国、真人類帝国がいる。

隙あらば、森陽王をくだして、こちらの大陸進出を狙ってるからな。先に動いて機先を制する。



「しかし、陛下。極東帝国は兎も角、真人類帝国が簡単に我々と手を組みましょうか? 組むにしても、それなりの参戦の条件を出されると思いますが……」

「それが、狙い。連中が要らん欲を出したら、開戦までに時間ができるな」

「……なるほど。陛下に勝る邪智の持ち主はられますまい」



吸血鬼どもにしてみれば極東帝国なりが戦争の矢面にたって、漁夫の利を得たいと思うだろうからな。単独で戦争する気がないのが詐欺の仕掛けどころだ。


極東帝国には吸血鬼連中との参戦交渉が長引いてることを理由に開戦を引き延ばさせる。

包囲網を完成させるように見せかけておいて、事態の沈静化を図る寸法だな。


同盟を組むように動いておいて、その裏で森陽王と和睦して手打ちにする準備だ。


奴とて、戦争危機になれば神祖の妖精王の件による自国内の騒乱も収まるし、悪い話しではないはず。長老含め不穏分子も始末できたのだから、私にすれば引き時だと思うのだがな。


核戦争事態になること自体はどうでもいいが、それでは私の仕事が余計に増える。

天使王にもなんとかしろと駄々をこねられる。

平和の為に動くのだから、これで文句も言うまい。



「しかし森陽王とは、そろそろ世界平和について真剣に語り合いところだな……」


奴が平和を語る資格があるかは疑問だが。


古代魔法文明の終末戦争……

続いた闇の王の軍勢との世界大戦もだが、森陽王の妖精国だけが瓦礫の山に埋もれず生き抜いている。


これを奴の名君ぶりや運だけと思うのはお気楽過ぎる見方だろう。

そしてこの事実が、私が奴を最大限危険視する理由。


この世界の魔法技術の独占による平和秩序の体制――この世界の状況を築いたのが森陽王だと私は睨んでいる。

つまり、奴を終末戦争の糸を引いた黒幕フィクサーではないかと私は疑っている。証拠は特にないが。


ただ私の勘が正しいとすると、古代魔法文明を滅ぼして、自分たちの安寧を図った妖精族の王が、奴だ。


そして今、その状況の打破を聖魔帝国が目論んでいる。これが愉快な筈がないからな。



「…………奴が平和を望まないと言うのであればそのまま戦争しても構わん。この状況下でこちらと面と向かってやり合えると言うのであればな。奴が果たしてどこまで平和志向者なのか試し時だな」



平和などと口では唱えながら、誰しもが自己の都合を優先するからいつまで経っても万民が望む平和など実現しない。


そんな世界で訪れる平和とは、誰かに取っての都合の良い平和、"平穏"ということでしか私は知らないな。


さて、奴に取っての平和の定義は何なのか。

多少興味が湧くというものだった。



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