第4話 神話
【神話】~誕生の章~
無限に広がる漆黒の闇。
何も存在しない無の世界。
その闇はやがて意志を持つようになり、命をも持つこととなった。
そしてそれが瞼を押し上げ目を開くとその瞬間、世界に光が満ちた。
―――――至高神ホロの誕生である。
無限の漆黒の闇の中に、自らが光を放つことで、世界に光を生じさせたのである。
そして、至高神ホロは自らの躰から世界を作り出すこととしたのである。
まず、世界のもととなる5つの力を生じさせた。爪から“木”を生じ、吐息から“火”を生じ、血液から“土”を生じ、髪から“金”を生じ、涙から“水”を生じさせたのである。
次に、それらの5つの力をかき混ぜることで、互いに関係性を持たせた。
そして最後に、闇と光の力を注ぎ世界を創造したのである。
―――――至高神ホロが造りし世界、リリーネルシアの誕生である。
―――忘却の名―――
…闇と光。
それゆえ至高神ホロは、光に包まれた姿をしているが、漆黒の闇から意識を持ち命を持ったためその身は闇の色をしている。
したがって至高神ホロには、2つの異名がある。
“白光の神”と“漆黒の神”
対極にあるような2つ。
だから、人はあたかも“光=正”“闇=悪”と誤認した。
その根本は同じだと言うのに。
そしていつしか人の記憶から“漆黒の神”という名は忘れ去られていった。
今では、至高神ホロに仕える神官のみぞしる事実である―――