矛盾
矛盾
私が、人類を滅ぼすガスの元を発明したのはなんでもない。
うつ病の息子の抗欝剤を作るためだった。
遺伝子の欠陥を補うもので、これまでのものとは発想が違う
研究は順調に進み、いよいよ投与というところまできた。
「はあ、死にたい」
「ため息ばかりつかないでこれを飲みなさい」
20分後、効果が表れ始めた「なんていい気分だ」息子が言った。
良かった成功したのだ。だが息子は死んだ。
なぜだ? 遺伝子はちゃんと治っている。
私は様々な仮説を考え、こういう結論に達した。
息子はもともと死ぬべき存在だったのだ。
だけれども、うつ病という症状でそれをごまかしていたのだ。
そのあと研究成果は助手に盗まれどこへいったか知らない。