新たな精霊3
普段やらない戦闘の練習にへとへとになりながら黒姫は新技の模索をしていた。
どうやら防御の技を体得したがっている様子だが今持っている技の応用では難しそうであった。
今想定している敵は機銃を使う手数も威力もあるもので衝撃ですぐ爆発してしまう光の球とは相性は良くない。それを理解している黒姫は凄く焦っていた。
「やっぱり攻撃は最大の防御理論じゃないとダメなのでしょうか…」
息を荒くしながら色んな形の光の爆弾を作って見せる。
「姫やんは攻撃で防御役新しく引っ張ってくるべきなんかなぁ」
黒姫は首を横に強く振りそれは嫌だと表現する。
「私だって…その…」
「ウチなんかよりずっと強いやん?」
玉藻前の評価を聞いても納得していないようだった。
「パートナーとして頑張りたいです」
必死に訴える黒姫に神鳴が冷たい一言を言う。
「翔は遠近両用でバランス型だし、それと属性的な意味合いだと黒鴉の方が相性いいのよね」
あまりの衝撃発言にヘロヘロとなって地面に崩れ落ちる。
「そ、そんな…私…私にも新兵器を!」
玉藻前も神鳴も難しいと言いたげな渋い顔をする。
「まぁ今すぐ無理に新技を開発しなくても大丈夫だろ」
翔が必死な黒姫にフォローを入れて無理やり納得させる。
「取り敢えず今日は帰って休みたい…自分の課題は燃費の調整だな…」
神鳴が頷き帰るための穴を空ける準備をする。
「うぅ、私も晴さんみたいにバリアでサポートしたいです」
「なんでコンビネーションに拘るのかしら」
黒姫のぼやきを神鳴がジト目で疑問視する。
「二人で華麗に素早く敵を倒す…凄く良いと思いませんか?なんと言うか…映えるというか」
「できんこと望んでもしゃあないやろ…」
グスンと半泣きになる黒姫を翔が気遣いながら帰るための穴に入っていく。
訓練を終えた面々をまだテレビを見ていたダンが出迎える。
「早かったであるなー、大分お疲れな様子であるな、コーラ飲んで糖分補給するといいのである」
「あんたのはダイエットコーラで砂糖入ってないわよ」
神鳴が呆れながらテレビを見にダンを押してドカッとソファーに座る。
晩御飯を作る為に黒姫が冷蔵庫を漁る。
「あ、食材足りませんね…買いに行かないと」
翔が行こうとするが足取りがフラついているのを玉藻前が見て自分が行くと言いトコトコ走って買い物に出掛けていった。
「こりゃ全力に近い出力は下手に使えないな…」
「ワタシの力は余裕あるのに…あ!」
何か思い付いたように黒姫は翔の手を取り精霊の治療の応用をしてみる。
疲労感のあった翔が少し元気になる。
「お?おお、倦怠感は減った…気がする」
「プラシーボであるか?」
ダンがテレビか何かで付けた知識で聞いてくる。
「いやいや、疲れ取れたって」
翔が軽く手足を動かして笑顔を黒姫に向ける。
「良かった、私もお役に立てましたね」
嬉しそうにあざとい仕草をする。その話を聞いて神鳴が提案をする。
「二人で電撃放てば二倍程の出力が出るのかしらね?」
「成る程!いいですね!」
黒姫が嬉しそうに乗っかろうとする。しかし翔が否定する。
「そんなに威力要らないだろ、普通に二回使った方が良さそうだろ」
「どちらにしても私のサポートは必要になるのですね?」
自分の役目が出来たことに喜び跳び跳ねる黒姫のやり取りを聞いてダンが毒を吐く。
「いい感じに糖分補給できて良かったであるな」