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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
精神と鉄機を操る神々
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偽りの名4

地球のまともな食事に舌鼓を打つ神楽とシュメイラ、久しぶりの故郷の味に感涙するアキト、その様子を黒鴉が不思議そうに見つめる。

「そんなに向こうで食べた御飯悪くなかったと思うんだけど…違うのかしらねー」

自身の頼んだサラダをつつきながらそう呟く。

「そうですね、異世界人は変わってますね」

神華も黒鴉に話を合わせる。

「新顔さんは頼まないのか?」

アキトがチラッと神華を見て何も手をつけていないのを見て尋ねる。

(しまった頼むべきだったか)

冷や汗を流しながら黒鴉に気遣うふりをしながら安いものを適当に頼む。

「あら?遠慮しちゃダメよ食べれる時に食べないとー」

神楽がぐいぐいと話を差し込んでくる。

「あ、あのアタシは小食なので…」

「あら、そうなの?」

潔く引き下がる無遠慮な神楽に黒鴉が呆れる。

「人のお金だからって食べ過ぎて太らないようにしなさいね先生」

「食は長生きにとって数少ない楽しみの一つよ?いいじゃない無礼講」

「いい大人が生徒にたかるなー」

グリルチキンの空き皿とコーラの山を築いている玉藻前とダンが黒鴉を笑う。

「ええやん別にー、恩返しや」

「その通りであーる」

ダンがコーラのがぶ飲みによる大きなげっぷをする。

「同じのしか頼まない変人までいるし…」

「好きなもの頼むのは悪いであるか?」

「あんたは安上がりね」

コーラの空きコップの数に引きながら二人を無視することにする。

アキトがカレーライスを食べ終えて手を合わせ感謝する。

「何年ぶりだろうなー、向こうじゃ食えないかったから幸せだ」

「…ん?アキトって向こうの人じゃないの?」

黒鴉が過去にも一度感じた違和感について言及する。

「あれ?言ってなかったっけ?」

神楽に目配せして神楽が頷きアキトが説明の為に前髪をサッと弄って左目を隠すようにする。

「ほれ、これで分かるか?」

玉藻前とダンが吹き出し黒鴉が渋い顔をする。神華も学友達の席に行った翔に視線を移す。

「何それ?浜松に兄は居なかったはず…」

「本人だぞ」

「気分悪くなってきたわ…」

アキトは髪型を戻して苦笑いする。

「こっちも色々事情あるんだよ、まぁ今のアイツとは別人だから気にするな」

黒鴉が頭を抱えるとアキトは続ける。

「さてと、そろそろ聞いてもいいかな?」

「…何を?」

黒鴉が顔を上げてアキトを睨む。

「そこの新顔の本性」

テーブル内に張り詰めた空気に変わる。

神華が大粒の汗を流す。

(何、アタシの…?え?不手際があった…?どうして)

「ああ、神田っていう私の秘書、他の部署から引き抜いたの」

黒鴉が神華の紹介をする。

「成る程、ただ者ではないとは思ったが…」

(殺気!)

アキトの威圧感に負けて神華が席から飛び退く。

黒鴉が驚いた様子で神華を見つめる。

「神田…あんた…」

「…っ!」

覚悟を決めて身構える神華に黒鴉が大喜びする。

「覚醒者だったの?じゃあ護衛も頼めるじゃない!」

「え?…あの…」

黒鴉の能天気ぶりに拍子抜けした様子で姿勢を正して無礼を詫びる。

神楽が黒鴉を止める。

「違うわよ黒鴉、その子この世界の住人じゃないわ、というか私達の同類ね」

河内達の席にも声が届いて視線が神華の一点に集まる。

「なぜ…」

「あら?神理の鍵見せびらかしておいて何故はいただけないわね」

「神理の…なんですって?」

神楽が胸ポケットを指差す。

「さっき見せた眼鏡」

神楽が指を鳴らして鞄を呼び出す。

「これとかー、こんなの」

異次元旅行鞄と中から神螺の水晶を見せる。

「父から譲り受けた力の具現化、そんな所かしら…さてあなたは誰かしら」

(マズイマズイマズイ!…そ、そうまだ敵意じゃないはず、取り繕えば!)

神華は必死に思考をぶん回して敵意が無いことを偽装することを決意する。

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