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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
精神と鉄機を操る神々
85/153

偽りの名3

宴会場とされたのは神藤ビル内の上層階のレストラン。

神華が言い訳するように説明する。

「急な話でしたのでこのような席しか用意できませんでしたが…」

貸切り状態で注文し放題と聞いて目を輝かせる異世界組に黒鴉が呆れる。

「どうして先生達まで呼ぶのかしらね…」

「精霊術について教え乞えばいいじゃないか」

翔が取り繕うように答える。

「久坂は長期ロケで不在、荻原は体調不良かなんかで居ないわ」

護衛役の不在をため息混じりに説明する。

そんな中で無関係な人達が勝手にグループ組んで座るのを見て黒鴉も神華もなんで呼んだんだよと心の中で怒りを燃えたぎらせる。

黒姫を呼び出して耳打ちする。

「聞きたいんだけど誰が呼んだの?」

「神鳴の案ですけど…」

気まずそうに黒姫が答えると黒鴉は諦めて好きにしなさいと呟いて翔と黒姫に本題である新しい秘書を紹介する。

「まぁ二人には紹介しておこうかしら、新秘書の神田よ」

緊張しているのか強張った声色で神華が挨拶する。

「よ、よろしくお願いします」

病院で見た記憶と違う雰囲気に翔と黒姫も首をかしげる。

「黒鴉の暴走を止めたり悪知恵が利いたりするなかなか強かな人ってイメージだったんだがな」

「きょ、恐縮です」

黒姫がじろじろと値踏みするように神華を見つめる。

(な、なんでそんなに見てくるんだ…アタシ何か変か?)

神華は自身の身嗜みを見直し髪が崩れていないか確認する。

(大丈夫、落ち着け…アタシは完璧、完璧なの!)

「あの、書類仕事とか嫌な事言われたら何時でも相談してくださいね?」

黒姫がアワアワしている神華を気遣った言葉をかける。

「黒姫酷いこと言ってない?怒るわよ?」

「姉さんすぐ無茶振りするんですもの」

後ろめたい事があるのかぐうの音も出ない様子で黒鴉は黙る。

「…病院の時と何か足りないんだよなぁ」

翔が首を捻りながら呟く。

「あ、これですね」

神華がだて眼鏡を内ポケットのケースから出して見せる。

そこで何時までも食事に来ない翔達にアキトが声をかけてくる。

「お前ら喋ってないで席ついて何か食えよ、あっちなんかフルコースで頼んでるぞ」

アキトが指差した河内達のテーブルが食事の皿で埋め尽くされている。

「あんたら残したら絞めるわよ…」

黒鴉の凄みを他所に猪尾と八坂がガツガツと食事を平らげていく。

「大丈夫そうだな…」

翔の言葉に黒姫が同意する。

神楽が黒鴉達に早くするように催促する。

「ハイハイ、わかってますよ先生」

黒鴉が勢いよく席につく。

だて眼鏡を拭きながら神華が恐る恐る神楽と神鳴を見る。

(っく、戦わずに社会を牛耳る算段なのにすぐ近くに他の神がいるなんて…)

だて眼鏡を見て神楽がシュメイラに聞く。

「お洒落眼鏡私もやってみようかしら?丸眼鏡貸してー」

「ひひ、私のは研究で近くのを見る時に使うのだよ?」

「あら、残念…初顔合わせのあなたのは?」

神楽が神華に声をかけニヤっとする。

(…絡んできやがった!どうする?黒鴉に頼んで席を外すか!?)

逃げるようにどぎまぎしながら黒鴉に目配せをする。

「他人の眼鏡より自分で選んでみては?」

「そうね、ふふ」

助け船に救われホッとする神華を黒鴉が席につかせて注文を取る。

浜松家の面々が待ってましたとはしたない様子を見せ黒姫が苦笑いし翔が額を押さえる。

神華は席を外すタイミングを失い地獄はまだまだ続く事が確定する。

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