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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
精神と鉄機を操る神々
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偽りの名1

執務室で電話をしながら黒鴉は残念そうに呟く。

「そう、浜松が元に…残念ね、利用したかったのに」

通話の向こう、病院の近くの車で事の次第をオフの荻原が報告を終える。

「はぁー、黒鴉ちゃんも浜松に御執心かー」

バックミラー越しに黒鴉の新秘書の神田に愚痴るようにハンドルに顎を乗せて呟く。

「思っていた以上に記憶の戻りが早く残念ですね」

「はは、監視の仕事が一日で終わって俺は嬉しいや、オフ潰されたけどさ」

神田はファッション用の眼鏡を取り出して装着する。

「いいね、似合ってるよ」

「御託は結構」

厳しい態度に荻原が苦笑いする。

「神田ちゃんって下の名前は?この後の予定は?」

「沙也華…よ、会社まで戻るつもり、足頼めるかしら?」

「沙也華ちゃんね、お喋りに付き合ってくれるならいくらでも」

神田は面倒臭そうに窓の外の方を見て荻原に興味無さそうにする。

「沙也華ちゃんはどこから引き抜かれたんだい?」

「単なる事務職からの成り上がり」

感心するように荻原が唸る。

「成り上がりかぁ!カッコいいな」

その後は暫く無言で車を走らせ気まずい空気になる。

ビルの地下駐車場にに到着してから神田は荻原を小馬鹿にしたように笑う。

「馬鹿らしいわね…神の力の前じゃ偽装も支配も」

「へ?…沙也華ちゃん?」

「本当の名前は神華(しんか)よ、バイバイ」

バチッと音が鳴り荻原は気絶する。

「次目が覚めた時はアタシの手駒、おバカ社長もすぐに玩具にしてあげなきゃ」

車を降りて携帯を取り出して黒鴉に繋ぐ。

「黒鴉様、ただいま駐車場に到着致しました。はい、食事…ですか?」

執務室でパソコンを操作しながら机の上の携帯に黒鴉が話しかける。

「そうそう、昇進祝いみたいなもんと思ってね?なかなか優秀だし好きな食べ物奢るわよ」

これから乗っ取ろうとする相手から気の抜けた提案に目を丸くして返答に迷う。

「アタシは…黒鴉様のオススメでいいですよ?」

他人の目はないが作り笑いをして答える。

(自我を持った最期の晩餐…たんと楽しみなさい)

ニヤリとした表情に変わり笑い声を押さえる。

「あら、いいの?…あ、待って今日はもう帰っていいわゆっくり休んで、後日用意させてもらってもいいかしら?」

「は?え…っと、はい」

黒鴉が何かを思い付いたように今日は帰れと言われ呆気に取られる。

(はぁ!?なんなのこいつ…もう無理矢理襲おうかな…)

気絶したままの荻原をチラ見して舌打ちする。

(バカを手懐けるまで会社では下手に動かない方がいいか)

襟を正して軽くため息をついて仕方なく神田は帰路につく。

黒鴉は黒姫に連絡を入れて退院祝いやるのか確認する。

「そうそう、ついでに私のとこの新人秘書も紹介しよっかなーって…うんうんわかったわ」

無理矢理日程を組ませて予定を作る。

「黒姫に嫉妬させてやるんだから、その為にも今は大切に扱わなきゃね」

背もたれに寄りかかりながら伸びをして気持ち良さそうな声をあげる。

「あ、好き嫌い聞いてなかったわね…ま、いっかー」


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