乱入者
「こないなけったいな魔石使っておままごとかいな…ショボいわぁ」
魔石を掠め取って屋敷の屋根に飛び乗る妨害者は神鳴程の大きさの狐の耳と尻尾を生やした女子だった。
「ちょっとそれを返しなさい！どこの所属！？」
「はぁ？落ちとったもん拾っただけやろー、所属とか知らんわ」
意志疎通できているがどう見ても人間ではない容姿を見て翔が黒鴉を止める。
「黒鴉、そいつは人間じゃない、魔物だ近付くな」
「呼び捨てにしないで！そんな事分かってるわよ！ほら皆で倒しちゃって」
小さい見た目と魔石取られた怒りで冷静に状況判断できていないのか黒鴉は久坂達をけしかけようとする。相手が小さいと見てやる気を出す三人を見て嫌な予感を感じていた翔は止めようとするが話を聞かずに攻撃を開始する。
「まずい、黒姫！デスは使えるか？」
「出せるけど…それより翔君…あの子は敵…でいいのかな？」
魔石を盾にして三人をあしらい狐娘は笑いながら指を鳴らして庭に餓鬼や小鬼を呼び出す。
「チョロすぎて笑てまうわ、それかたしたら相手してやるわ」
狐娘を捕まえられなかったイライラで久坂達は全力で小鬼達を攻撃し始める。
遠藤が草を操り縛り上げ久坂がレイピアで突き刺し加藤が手甲で殴り潰す。
黒鴉と黒姫を狙って火を飛ばして攻撃してくる。翔はそれに合わせて氷柱を撃ち守る。
「やっぱあんさんのがおもろいわ、ウチは玉藻前、知っとる？大妖怪やで？」
「それを元に作られたナニかだろ？二人共下がって」
怒ったのか目付きが鋭くなった玉藻前が刀を抜き翔に飛び掛かる。
「生意気や、しばいたるわ」
翔も焰鬼を抜き玉藻前の一撃を回避して反撃する。が姿勢を低くして避け空を切る。
「っち、外したか」
そのまま玉藻前が脚を狙い刀を振り、翔は間一髪の所で刀で防ぐ。
「殺気が籠っとらん一撃なんかで仕留められる思うとったんか！？」
「何か知ってそうだからな、生かして縛り上げた上で色々喋ってもらうぜ」
「っは！そん前にくたばれや」
背後から小鬼が飛び掛かってくる。
「そっちがその気なら乱戦してやるさ！焰鬼！」
確信は無かったが精霊を呼び出して見る。
「いい目をするようになったな童、背中は任せろ！」
飛び掛かる小鬼を炎の拳が打ち砕く。
「なんやそれ！？」
驚き危険を察知し離れようとする玉藻前の足が凍りつく。
「洒落にならんわ！」
仕方なく翔に一撃浴びせようと刀を振ろうとしたところで背後から氷雨の吐息をかけられ体が氷付けになり玉藻前はあえなく御用となる。
