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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
精神と鉄機を操る神々
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赤い服1

暑い夜、暗い森の中で懐中電灯片手に廃墟目掛け進む一行、その中で白目を向きながら歩く翔はどうしてこうなったと何度も呟きながら過去を振り返る。


黒鴉の思い付きで夏といえばホラーとか曰く付きの廃墟探索だのと神鳴達も悪乗りして嫌がる翔を簀巻きにする。

最後の頼みの綱の黒姫も謝りながら協力していた。

「やめろー、そういうのは遊びで行くのは良くないんだぞ!」

翔の必死の説得も聞く耳持たずで流され、黒鴉がニコニコ顔で翔に答える。

「何言ってるのよ、仕事よ?」

「そういう事じゃないんだが…」

「大丈夫、皆で行くから!」

怖いもの無しな面々が翔を見つめる。

ダンが自分を指差して笑う。

「吸血鬼もいるのであるから怖がる必要はないであるよ」

うんうんと頷く全員を見て翔が喚く。

「絶対皆狂ってる、これは悪い夢だ…」

引きずられながら連れていかれる。


その後まさかのリムジンでの移動、浜松一家と黒鴉が少し調べて噂のある近場の廃墟に向かうことになった。

そして今、噂話の詳細を黒鴉が語り翔は生き地獄を味わっていた。

「これから行く廃旅館は赤い服の女の幽霊が出るという話よ」

耳を塞ぐ翔を玉藻前と神鳴が腕を引っ張り塞がせないようにする。

「ちゃんと話聞かなアカンよ」

「そうそう、逃げちゃダメよ」

半泣きになる翔を見て黒鴉が楽しそうにする。

「見えてきたわ…廃旅館よ」

ボロボロの建物を懐中電灯で照らし出す。

雰囲気だけで卒倒しそうになる翔をダンが支える。

「無理、絶対無理、体が拒絶している!」

「唯一の男子なのにだらしないわねー」

黒鴉の言葉にダンが即座に反応する。

「わ、我輩忘れられてるである!」

「マジで忘れてたわ、ごめんごめん、さぁ行くわよみんな」

懐中電灯を掲げ「オー」と張り切る女子を見て翔が白目になる。

「なんで皆平気なんだよ…」

「集団行動してるから気が強いのであるよ」

バキバキと枯れ枝やガラス片を踏みながら集団で中に入っていく。

「カメラとか持ってくればよかったわね」

「久坂さんが用意してくれましたよ?はい」

黒姫が鞄からハンディカムを取り出す。

「入る前に出しなさいよ!」

黒鴉はツッコミしながらカメラを受け取り起動して録画を始める。

「うーん…普通ね、取り敢えず全員揃ってるわね?翔?逃げてない?」

「いるよ…てか許可もらってるのか?」

内装もボロボロで腐っている床も散見できた。

「ビデオカメラ一つしかないけど班分けして探索しましょう」

「は!?班分け!?」

「声大きいわよ、広いんだからいいでしょ?皆携帯あるんだし」

携帯のカメラを使えと言ってじゃんけんで班分けすることになる。

「行くわよ、じゃんけん!」

ダンが一人チョキ、黒姫と玉藻前がグー、翔と黒鴉と神鳴がパーを出す。

(三人!多くてよかった…黒鴉がいるのが心配だが)

安堵する翔と不服そうな他の女子メンバー、ダンは余裕そうだった。

「我輩は夜行性故問題ないであるよ、元より幽霊など慣れっこである」

黒姫と玉藻前もマイペースに呟く。

「翔君大丈夫でしょうか…」

「松ちゃんのビビる姿が見れなくて残念や…」

黒鴉と神鳴は翔のビビる姿が見れると歓喜する。

「バッチリ撮すから!期待してなさい」

「とことんやるわよー」

項垂れる翔が悲痛な叫びを上げる。

「皆狂ってるぜ、ほんとマジで」

「翔君、魔物に比べたら怖くないから、頑張ってください」

「物理的に倒せる方が怖くねえって…」

黒姫の応援も今になっては皮肉に近い物に感じられる翔だった。

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