神を討て1
競技場に出現した巨体な騎士鎧を纏った神斎の能力と時間を稼ぐためにアキトが一人奮闘する。
無茶苦茶な動きで剣を振り続ける神斎をおちょくるようにアキトが剣に合わせて回避する。
「ウザいなぁ!潰れちゃえ!」
剣での攻撃を諦めて手足を動かしてアキトを押し潰そうとする。
しかしそれもドーピングによる加速力でサッと避け膝裏を木刀で殴り付ける。
「…成る程」
命中はしても微動だにせず音が響く、アキトは何かを察して距離を取る。
「そんな棒っきれなんか効かないんだよぉ!ばーか」
「馬鹿はどっちかな、能力の種が見えたな」
確信は無いがはったりを言うアキトに神斎含め控えていた全員の注意が集まる。
「なんだよ!今の小突いただけで何が分かるってんだ!強がるなよな」
鎧をガシャガシャと鳴らしながら各部間接を正して離れたアキトに向かって走り出す。
上階の観客席の出入り口から見ていた翔が違和感に気付く。
「…アイツ浮いてるんだ、足音跡も音もしない」
「それが分かった所で…」
遠藤が困ったように鎧を見る。
「あ、サイコキネシスか!」
「瓦礫操作も地震もそれの延長…ということですか?」
黒姫が以前の戦いを思い出して呟く。
遠藤が久坂に能力について話をする。
翔達は暴れまわる神斎に視線を戻して観察を続ける。
「そろそろ鎧脱げよ、そんなデカブツじゃ一生捕まえられないぞ」
腕を振り回して殴り付けようとするがやはり当たらない。
間合いも見切られて神斎が我慢の限界を迎えようとする。
「能力出し惜しみするのか?ちんけ子供騙しの能力だもんな?」
「黙れぇ!」
腕の感覚が広がり間合いを広げるもアキトの動きの方が未だに速い。
「その程度か?サイキック少年!頭の中身は鎧並みに空っぽか?」
アキトは薬を一つ飲みながら全力を引き出そうと挑発を続ける。
雄叫びを上げて神斎が鎧をばらして姿を現しながら鎧の破片をアキトとその周囲目掛けて一気に降らせる。
「しぃねぇぇぇ!」
轟音と共に土煙が上がる、そしてホイッスルの音が競技場全体に響く。
「死ぬのはあんたよ!」
無防備になっていた神斎目掛けて水流がぶち当たり地面に落とされ待機していた全員の様々な遠距離攻撃が降り注ぐ。
土煙を消すように黒鴉がバハムートに水を吐かせ雨を降らせる。
ボロボロになりながらも神斎が立ち上がり高笑いする。
「まだ死んでないんだよ!もうお前らに勝ち目ないからさぁ!」
八坂が飛び出し拳を放つも鎧の破片で防ぎそのまま破片ごと吹き飛ばす。
「はい、二人目…あと何人いるのかな?」
黒鴉を睨むように神斎振り返る。
「っち、しぶといガキね…」
「でも君達は今までで一番強かったかな?特にさっきのウザいやつ」
ミハエルが隙を突き背後から射撃を行う。
しかし散らばった鎧の破片に防がれそのまま破片がミハエルを襲う。
「shit!」
庇うように近場にいた男がミハエルを押し攻撃を受け腕が切断される。
「っち、避けんなよ!」
悲鳴をあげる男と周囲に向けて幾つか破片を浮かせて飛ばす。
氷の壁が出現し全て受けきる。
「氷!?」
神斎が周囲を警戒しながら破片を自身を守るように浮かせる。
「残念だがまだやられてないんだよな…」
アキトが氷雨を鞘から引き抜いて構える。
「あぁ!?なんでだよ!」
「なんででしょうね?当ててみろよ糞ガキ」
アキトが注意を引く間に他の全員が配置を変えて再出撃の準備をする。