金の卵を求めて5
食事をしながらワイワイしていた神鳴達は突然の警報に驚き騒いでいた。
「なんやぁ!何事や!」
「火事であるか!?」
扉に殺到する三人を尻目にアキトがモニターを見る。
「ちょっと扉開かないんだけど!」
「アカン!閉じ込められた!」
騒ぐ神鳴達を落ち着かせるようにアキトが注意する。
「落ち着け、演出だ!」
アキトの注意虚しくバキッという音を立てて玉藻前が扉を破壊する。
「あ、やってもうた…」
「あーもう、何やってんだ!入ってくるぞ!」
木刀を抜いて三人に指示して戦闘態勢に入る。
廊下にいる様々な小型の魔物が部屋に殺到してくる。
「むぅ小物ばかりであるな!」
「油断するな、数が多い」
長くした爪で雑魚を引き裂きながら余裕な様子で戦うダンにアキトが警告する。
爪に付いた血を不味いと言いながら吐き捨てていると背後を取られる。
その敵をすかさず神鳴がパイプ椅子で殴る。
「爪洗うのは後よ!」
「わ、わかったである…」
狭い通路の中を拳一つで無双しながら八坂が駆け抜けていく。
「雑魚がワラワラと鬱陶しいな!」
後ろからついてきていた人は八坂のおこぼれは無理と判断して横路に入っていく。
「どうせ浜松の様子から見て仕込みだろうしこのままスコア一位は貰うぜ!」
そんな八坂とは対照的に久坂は後方の面々に指示しながら手早く殲滅を行っていく。
「雑魚だからと油断するな!確実に仕留めて行くんだ!」
自身も細剣を振るって魔物を仕留めていく。
(飛び込んだ通路がお嬢やディレクター達のいる位置から遠い…無事でいてくれ!)
会場では翔が黒鴉の所に行くかどうか黒姫と相談していた。
「多分他の人が向かっていると思うが…」
「そうですね…どのくらい敵が中にいるか分からないですし…」
戦えるとはいえスタッフを守れるかどうか考えるとゴブリンが数匹通路から飛び出して翔達を見る。
「救助どころじゃないんじゃないか…?」
「四方から来てます…!」
二人が武器を出そうとすると矢が正面のゴブリン達を貫く。
矢の飛んで来た方向を見ると数人が戻って来て観客席に溢れ出てきた魔物へ攻撃を始める。
弓を持った人が手を振っているので翔達も振り返して黒鴉を探しに向かうことにする。
「凄い精度でしたね」
「ああ、誰かは分からないが手の内見せなくて済んだな」
「もう、素直に感謝しましょう」
翔は苦笑いしながら二人で通路に入っていく。
壁にある地図を見つけ黒姫に確認させる。
「黒鴉の場所分かるか?」
「はい、えっと…」
翔が飛びかかってくる小鬼を蹴散らしている間に黒姫が必死に地図を読み解く。
翔が隙を見て携帯を取り出して黒姫にパスする。
「場所聞いた方が早いな頼む」
「そ、そうですね!すみません」
電話をかけて黒鴉の居場所を聞き出そうとすると受話器の先から大声がする。
「魔石倉庫に行って!破られそうなのよ!」
それが聞こえた翔が怒鳴る。
「っ馬鹿野郎!なんでもっと厳重にしなかったんだ!」
間に挟まれている黒姫が小さくなりながら地図で道筋を確認する。
「最短ルートは…分かりました!翔君急ぎましょう」
山盛りの小物を想像し愚痴をこぼしながら黒姫の案内で倉庫を目指す。