金の卵を求めて2
黒鴉が打ち合わせで居なくなりどうしようかと翔と黒姫は考えていると会場の方から声がする。
「おーい浜松じゃねぇか」
八坂が目敏く翔を見つけたのだった。
見付かって仕方なく会場に近付くと八坂が質問してくる。
「お前出ないのかよ?」
「悪いな、観客サイドなんだわ」
「そうか、そいつは残念だな」
周りを見て声を上げて挑発するように言う。
「全員弱そうでな!お前位しか相手になりそうなの居ないんだがな!」
一部の参加者が挑発に乗り八坂に突っ掛かる。
それを冷静に見ていた久坂が翔と黒姫に気付く。
「あぁ浜松と妹さんか、お嬢に呼ばれたのか?この問題児は君の友達かい?」
返答に困っていると今度は荻原が騒ぐ。
「黒姫さーん!俺様強いから勇姿見てくださいね!」
荻原の発言に久坂が呆れて止めようとするがまた一部の参加者が挑発されたと感じ騒ぐ。
参加者達があまりにも騒ぐため黒鴉とテレビ局の関係者らしき人がやってきて何事かと聞きにやって来る。
八坂が楽しそうに二人を指差して何かを力説しているのを見て翔は嫌な予感を感じる。
「翔君…何か嫌な予感がします…」
「奇遇だな、俺もするんだ」
ガヤガヤと騒ぐ中で久坂がテレビ局の人と話してニコニコしだす。
黒鴉が首を全力で横に振るも大声で翔達が呼ばれる。
「ちょっと君達!来なさい!」
覚悟を決めて黒鴉達の元へ行く。
「急遽の参加は認められないがオブザーバー、負傷者が出たら交代要員って事でさ…ほら予選で…」
テレビ局の偉い人っぽく黒鴉が押されながら仕方なく承諾する。
「ごめんなさいね黒姫…あなたまで参加させることになるなんて」
「え?俺への謝罪は?」
「浜松は見つかったのが悪いわ、あんたは自業自得よ」
理不尽だと思ったが参加者の一部、特に八坂や荻原辺りが悪い笑顔になっているのを見て苦笑いする。
「…姉さんも戦えるわよね?」
黒姫の言葉に黒鴉がピクリと反応して固まる。
「私なんかより姉さんの方が強いんじゃないかしら?」
「そうなのかい黒鴉さん?」
初耳だと言う感じに何人かの人が反応する。
「やっぱり黒姫のオブザーバーは無し、代わりにいい人達がいるわ!」
翔がハッとして黒鴉を止める。
「待て!流石にそれはマズい!」
「いけるいける、エンタメ分かってそうだし」
翔が必死で止めようとする。
「そういう問題じゃ…!」
お偉いさんは翔を無視して黒鴉の言葉に乗っかる。
「えー黒鴉さん隠し玉用意してたの?人が悪いなー」
「本当に強いからその時は覚悟なさいな…おほほ」
こうして本人の知らない内に勝手に控えにされたアキト達はのんびり飲み食いしているのだった。
「翔君本気でマズいですよ…」
「あぁ誰が出てきても問題しか起きねぇよ…」
二人は絶望に苛まれながら着々と話が進んでいくのだった。