何気ない日々4
翔はいつの間にか連絡先を得ていた八坂に呼ばれて学校の校門にいた。
「用ってなんだ?」
八坂は黙って封筒を投げつけて欠伸をする。
「なんだこれ?」
封筒を不思議そうに見つめる翔に面倒くさそうに八坂が答える。
「この前の猪の分、渡すか迷ったが治療費の足しにしろや」
「一週間以上も前のじゃねえか…」
まぁまぁな中身を見て翔が呟く。
「仕方ねえだろ連絡先はこの前偶然狐に会って聞いたんだからよ」
「律儀だな、玉藻に渡せば良かったじゃねぇか」
恥ずかしそうに頬を掻いてから恥ずかしい事実を伝える。
「そん時は使っちまって持ち合わせなかったんだよ!」
「使ったのかよ!」
翔はすかさずツッコミをする。
「それよりも黒鴉とか言うヤツの護衛は大丈夫だったのか?」
話を無理矢理変えて魔物に被害を受けた黒服達の話にする。
翔は神妙な顔をして首を横に振る。
「薬が有っても間に合わなかった…」
「そうか、変なこと聞いたな」
二人がバツが悪そうにすると黒鴉の名刺を取り出す。
「お前はこいつの話は知ってるのか?魔物退治の…」
「知ってるが組合には参加してないな」
八坂が少し考えた後高笑いする
「ははは!そうか、なら俺が入ったらナンバーワンだな」
「凄い自信だな」
「強いヤツでもいるのか?」
翔が少し考えてから一人の名前をあげる。
「久坂ってやつが右腕として頑張ってるな」
「ほう、浜松が名前を覚えるやつか、興味が湧いた。後日行ってみよう」
「黒鴉自身も精霊使えるようになっているから今はアイツが一番じゃないかな?」
精霊と言う言葉に八坂が反応する。
「…お前ら教えたのか?」
「神様が勝手にな」
「呆れた神様だ、俺は教わってないんだがな」
翔が間を置いて驚く。
「知らなくて戦ってたのかよ!」
「知ってるお前らが特別なんだよ!」
シャドウボクシングをしながら翔達の精霊について指摘する。
「まぁいいか、くくく一気に高給取りになって…」
八坂がチラリと学校を見て頭を掻く。
「あーでも学業もやらないとな…はーやれやれ」
やりたいことの数に楽しみが増えたように声に高揚感を含めながら帰っていく。
「学業か…やべぇ、予習復習してねぇ…」
その夜、精神が磨り減り壊れかけの黒姫を家の中に入れて自分も家に入ろうとした所を黒鴉に呼び止められる。
「親善試合に興味あるかしら?」
「…無い」
嫌な予感がして断る。
「別にあなたは参加しないわ、観戦のみよ」
怪しい話に真意を尋ねる。
「…何が目的だ?」
「ズバリ金の卵探し!」
魔物討伐の素養の見極めに来いとの事だった。
「勿論報酬を出すわよ?」
指で丸を作り挑発する黒鴉に金を天秤に乗せられあっさり折れる。
「やります」
「じゃ、明日迎えに来るから、黒姫の調子を直しといてね…あとー他の先生も呼んどいてね」
「ん?先生…?」
急に不安になる翔に黒鴉が返答しないでさっさと車に戻っていく。
「お、おい!まさかお前!」
約束を反故にするわけにも行かず神鳴に説明すると仕方ないと言いながらニヤつきながら神楽達の所へ向かっていった。