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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
幻想生物の神
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黒鴉帰還する

帰還の日の朝、黒鴉が満足しきった顔で浜松家の物置から元気よく現れる。

「私はやり遂げたわ!強くなって帰って来たのよ!」

それをニコニコ顔の父親に出迎えられる。

「やあ黒鴉、楽しそうだな」

「お、お父様…!なぜ!」

完全に忘れていた父の存在となぜ浜松家にいるのかという疑問に顔がひきつる。

「今日帰ってくると黒姫達に聞いてね、お邪魔させてもらっているんだよ」

翔と黒姫、関係のない居候組まで完全に萎縮している。

「さぁ帰ろうか黒鴉、色々と話したいこともあるからさ」

いつも傲慢な黒鴉とは思えない程のびくびくとした様子に父親が大笑いする。

そこにアキトが遅れて入ってくる。

「ん?お客人か、おはようございます」

アキトが頭を下げると竜司が挨拶を返す。

「君が先生なのかな?娘が世話になりました」

「あー、あなたがお父さんでしたか、俺は先生の助手で送迎担当ッス、それじゃ」

嫌な予感を感じたアキトがそそくさと帰ろうとする。しかし黒鴉がコートを掴んで逃がさない。

「死なばもろともよ先生」

「家庭の事情に巻き込むんじゃねぇ!」

竜司の目付きが鋭くなりアキトを睨む。

「マジで関係無いから!お前らもなんか説明してあげてくれよ」

すがるように神鳴達に助けを求めるが全員押し黙る。

気まずい沈黙を破るように神楽がやってくる。

「あらあら、帰還のお祝いって雰囲気じゃないわねー」

わざとらしく口に手を当てて驚く。

「ケーキはキャンセルかしらね」

竜司は次々とあり得ない所から人が出てくる様を笑いながら神楽を止める。

「ははは、良いじゃないかお祝いしよう、無事娘が帰って来たのだから」

「そう?じゃあ用意しましょう」

いそいそと物置からシュメイラが出て来て手に持つ箱をテーブルに置き開ける。

中にはしっかりとしたホールケーキが入っていた。

「ひひ、人数的に足りないかもだけど…」

「そうかー人数多いもんなシュメイラ先生帰りましょう」

チャンスと見たアキトが帰ろうとする。

「あら?功労者の貴方が帰ろうとするなんた野暮よ、それじゃ私達帰りますね」

神楽がニヤニヤしながらシュメイラを連れて帰っていく。

「くそ!あのサディスト!楽しんでやがる」

アキトを無視して竜司が率先したケーキを切ろうとする。

「確かに人数が多いね、どうしたものか」

「お父様…わ、私は要らないので…」

「主役が遠慮しちゃダメだぞ?」

ケーキを八等分して気まずい空気のまま食べることになる。

テーブルに座れずに立ったまま食していた玉藻前がダンを小突く。

「今のうちに部屋に退散せんか?」

「良い考えある、我輩達は無関係であるからして…」

耐えられずに逃げ出した二人を見てアキトもケーキをさっさと食べ逃げようとするが竜司がすかさず話を投げつけてくる。

「先生にはお世話になったそうですし向こうでの娘の生活について色々と聞きたいのですが?」

「い、威圧感が凄いですよ?」

「そうですかな?可愛い娘が気になって仕方がないだけですよ、はは」

苦笑いで返すアキトだったが冷や汗を流して帰りたいと心の底から思うのであった。

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