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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
幻想生物の神
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神の力8

黒姫が目を覚ましたのは浜松家の現在の黒姫の自室の客間だった。

隣で様子を見ていた翔とシュメイラが安堵する。

「あぁ、良かった、薬が効いて良かったよ」

「先生ありがとうございます」

何とか黒姫も声を出そうとするが翔の安静にするよう言われて大人しくなる。

「兎に角目が覚めて良かった、黒鴉にも報告してこないと」

翔がいそいそと部屋を出て行くのを名残惜しそうに見つめる黒姫にシュメイラがニヤニヤした顔で話しかけてくる。

「ひひ、それじゃ経過観察させてもらうねぇ」

シュメイラは手早く脈拍や熱を確認しながらメモを取り続ける。


リビングにて爪を噛みながらソワソワする黒鴉の所に翔がやってくると早足で近付き肩を掴んでくる。

言葉を交わす前に翔の柔らかい表情から察して深く呼吸をして床に膝をつく。

他に椅子でじっとしていた神鳴、玉藻前、ダンも翔が笑顔を向けた事でホッとする。

勝手にテレビを見ていた神楽が振り返りニコニコしながら言葉を発する。

「間に合って良かったわ、神鳴が飛び込んで来た時は何事かと思ったわ」

「もう、茶化さないでよ…」

「翔と黒姫が交互に怪我して大変よねー、鍛練足りないんじゃないかしら」

神楽はリモコン片手にニュースで世界各地での魔物との戦いの特集を見て欠伸をする。

黒鴉が神楽のその様子を見て詰め寄る。

「何か強くなる方法を知ってるの!?」

「んー?興味あるの?」

以前会った時は変人と切り捨てた相手を真剣に見つめる黒鴉に神楽がにこやかに聞き返す。

「姉さん!勝手なことは…!」

「いいじゃない、この子はそれを望んでいるわ、あなたが力をあげてもいいとは思うけど」

「それは…だって…!」

神鳴が自分は精霊を使えないことに口ごもる。

神楽が指をパチンと鳴らしていつぞやの旅行鞄が出てくる。

「覚悟があるなら開けなさい、傷付き死ぬかもしれない世界に脚を踏み入れる覚悟があれば」

深く考える様子もなく黒鴉は鞄に手を掛け開く。

剣の束が開け口から延びてくる。

「これを引き抜けば…」

黒鴉がグッと力を入れようとするがすんなり抜けて尻餅をつく。

鞘に収まっているが豪華な装飾に黒鴉は目を輝かせそれらを見つめる。

神楽がまた指を鳴らして鞄を消す。

「どうかしら?神様からのプレゼントよ」

「神様の?ふふ、これが神の力!」

翔も神鳴も勘違いして調子に乗りはしゃぐ黒鴉を見て頭を押さえる。

「俺らの時より酷いな…やっぱり余計な事だったんじゃ」

「教育は姉さんがやってよね…その子面倒臭いんだから」

神楽が一層ニコニコして新人教育に燃える。

「それじゃあ一週間位修行させるわね」

「お嬢様なんだから一週間も外に出っぱなしはマズいって!」

翔がすぐさま止めにはいる。

「ふふ、浜松!心配は要らないわ!黒姫がいるじゃない!」

「双子だからって病み上がりの妹に全部任せる気かよ!」

「さぁ先生!行きましょう!私優秀だから!」

全員が引き留めようとする中で神楽を引っ張る完全に調子に乗っている黒鴉を止めることは誰にも出来なかった。

「せめて先に黒姫に説明してから行けー!」

翔の叫びも虚しく修行に旅立つ黒鴉だった。

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