初仕事
帰宅後に早速街へ出る。
「なんで着いてきてるんだ…」
「武器の出し方とかわからないでしょ?」
「確かに…ちょっと思慮不足だったな」
衣装を現代風にした神鳴とウィンドウショッピングがてらに探索してみる。
「そういえばなんで家にいたんだ?」
「面白い拠点がある訳じゃないし、こんな日が来る気がしてたのよね」
「やれやれ、巻き込みたくなかったのか巻き込みたいのか…」
望み通り敵が現れたのは収穫無しで帰ろうかと思い始めた日が落ちかけた駅前の広場にゴブリンが現れ人や建築物に無差別に攻撃を始める。
「来たか、マジで出るんだな…神鳴!刀は?」
「名前を呼ぶのよ!」
「は?刀の名前は知らんぞ…とりあえず、焰鬼!」
目の前に刀が現れ疑問に思いながらも握りゴブリンに向かって走る。
(体が軽い、マジで身体能力上がるのか…)
百メートルを10秒切るほどの驚異的な身体能力の向上に驚きながらもスパッと退治する。
「んー…あっさりだな」
「翔ー、石拾ってー」
神鳴が必死に追いかけて魔物の死体が消えて出てきた石を指差す。
「死体消えるのか…便利になったなー、んでこれか?小さい宝石みたいだが…」
「はぁはぁ、その魔石を役所に届けて賞金と交換、大事だからね」
「魔物石だから魔石ってか?」
説明を受ける翔に八坂が近寄ってくる。
「っち、獲物取られた後か」
「八坂!あーお先に失礼だ」
「邪魔するなとは言ったが当日にするとはな…」
八坂は魔石のサイズを見てため息を吐く。
「なんだ、雑魚か…じゃあな」
「雑魚って言っても初仕事なんだがな」
刀を手放して消してポケットに魔石を入れる。
役所前の専用ボックスに魔石を入れてそれに合わせた金額が払い出される。
「二千円…飯食って帰るか?」
「あら良いの?いっぱい頼んじゃおうかしら」
「二千円だっつてんだろ遠慮しろや」
そこに黒服の男が二人現れる。
「我々と共に車に来て欲しい」
拒否すれば危険と感じた翔は仕方なく着いていく。
「妹さんはお帰り願おう」
「いも…何ですって!?」
翔は神鳴に賞金を手渡す。
「先帰ってくれ、大丈夫だってもしもの時は…」
「仕方ないわね…気を付けてね」
翔は黒いリムジンに乗せられる。