新たな敵7
逃げ惑うダンをサポートするように周防と黒姫それと神鳴がバイコーンに挑む。
「ミナさん！足止めお願いします、一撃で決めます！」
黒姫がナイフを取り出して声を張る。その様子に驚きながらも錫杖と精霊のヤトを呼び出して了承する。
「…足止め、行きます！」
シャンと武器を鳴らして槍のように構えて声をあげる。
「お馬さん！此方ですよ！」
ヤトも長い舌を出して威嚇をする。
バイコーンはダンを追いかけるのをやめて地面を蹴りながら鼻を鳴らして周防を標的にする。
タンタンと地面を蹴る音が響き角をゆっくり突き出し走り出す。
壁を背にしていた周防がギリギリまで引き付けて回避しようとする。
間に合わないと判断した近場にいた神鳴が周防を引っ張り本当にギリギリになりバイコーンの角が壁に突き刺さる。
「あっぶなー」
「カナリさんすみません…」
角を引き抜こうとバイコーンが嘶きながら暴れる。
そこをデスの鎌が首を切り落とす。バイコーンは魔石になり地面に転がる。
黒姫はそれを無視して翔達の方に走り出す。
「クロさん！？」
「まだ行けます、ミナさんは無理しないでください」
膝が震えて動けないミナを神鳴が支えながら立たせ魔石を拾う。
「助かったである、しかし無理はいけないのであーる」
戦ってないダンは神鳴に睨まれてすぐに謝る。
倒した騎士に止めを入れ黒姫が翔を呼ぶ声に反応して目を話した翔を玉藻前が注意する。
「アホ！魔石になっとらん！まだや！」
ハッとして刀から焰鬼の力で炎を放つも騎士が暴れ翔も玉藻前も振りほどかれる。
「済まない油断した」
「ま、普通に考えたら勝ちの状況や、しゃあない」
「ごめんなさい、私のせいで…」
黒姫が合流し騎士に向かって三人が構える。
三人揃った所を騎士が立ち上がりまじまじと観察した後に体を大の字に開き鎧を勢いよく弾き飛び道具にして攻撃してくる、
不意の攻撃に防げないと判断し氷雨に切り替えて氷の壁で防御を行う。
攻撃を防ぎきった後に騎士のいた場所から拍手がする。
「神鳴の下僕共はなかなかやるじゃん」
氷の壁を消して騎士の胴体の中にいた神鳴より少し歳上に見える男の子が笑いながら拍手していた。
「誰だ！」
反射的に翔が叫ぶ。
男の子が少し考えた後自信満々に答える。
「ボクは神斎、そこの駄狐の世界の神様さ」
玉藻前が怯え後退りする。翔と黒姫が玉藻前の前に達武器を構える。
「ふーん、それじゃあ遊ぼうか！」
神斎が指を鳴らすと瓦礫が一つ高速で翔目掛けて飛んでくる。
氷の壁でなんとか防ぎきるが神斎がゲラゲラ笑いながら指を指す。
「必死だねぇ、次は防げるかなー？」
また指を鳴らすと地面が揺れヒビが入る。そちらに気を取られていると先程同様に拳大の瓦礫が飛来して翔の腹部に命中する。
声をあげることも出来ずに倒れる。
「翔君！」
黒姫が呼ぶが翔は返事も出来ずに踞ったまま動けなかった。
「だっさー、もう立てないの？」
神斎の挑発に黒姫が怒りを露にし光球を作りだし素早く神斎に放つ。
その光景と白髪になった黒姫に全員が驚く中で翔がなんとか血反吐を吐きながら立ち上がる。
光球を瓦礫を操作して防いだ神斎に対し更に大きな光球を作りながら黒姫が呟く。
「殺す、コロス！」
「はは、君人間じゃないのかい！」
光球を放ち正気を失っている黒姫を翔が呼び肩を叩く。
「黒姫！神姫！俺は大丈夫だから」
「翔…君？」
黒姫が髪の色が戻りふらふらになる。
「おやおや、この攻撃といい聞き捨てならない名前聞こえたね、へぇあの雑魚姉かぁ」
また攻撃をしっかり防いだ神斎がぼろぼろの二人を嘲笑う。
「…！あー残念、もっと遊びたかったんだけどなぁ」
しかし何かを悟り残念そうに神斎は背後に次元移動の穴を開け帰っていく。
そこに久坂率いる神藤グループの部隊が到着する。
「大ボスには逃げられたか…浜松、妹さん、大丈夫か！」
援軍のお陰で騒ぎは治まる事を確信して翔は気が抜け崩れるように倒れる。
