新たな敵2
騒ぐ黒鴉達を翔はなんとか落ち着かせ玉藻前もダンももう戦う気がないことを確認して今後の処置をどうするかの話しに移ろうとした時物置をバンと音を立てて神鳴が入ってくる。
「おは…よう?なんか増えてるんだけど?」
「タイミング良いのか悪いのか…おはよう神鳴」
午前11時過ぎ、おはようの時間では無いが朝の挨拶を済ませて神鳴が玉藻前達を見て尋ねる。
「誰?新しい精霊?」
「いや魔物です」
翔が淡々と伝えると目をぱちぱちさせて眉間に皺を寄せる。
「なんでいるの?」
「お前がお遊びで呼んだんじゃないのか?」
神鳴のお遊びで魔物を呼び出していた話を指摘して玉藻前達がそれの一部じゃないのかと聞き返すと首を横に振る。
「いや、私のやったのは適当に向こうの世界を見つけてタイミングよく繋いで魔物呼んでみただけで…あ、もし巻き込んで呼んでたらごめんね」
翔は玉藻前の話を思い出して本人に確認する。
「お前…玉藻がこっちに来るように唆したのは神鳴…コイツじゃないよな?」
「ウチはこんな金髪ロリ知らんわ、顔は見えんかったけど図体がちゃうわ」
翔は神姫に問うように黒姫を見て無言で「君は?」と確認する。驚いた様子で黒姫は小さく首を横に振る。
「じゃあやっぱりまだ戦いは続きそうだな…」
「魔物いなくなったら覚醒した人達が路頭に迷うからそれはそれで困るんだけど」
黒鴉が腕を組んでため息をつく。
「退魔士よ!」
神鳴が自信を持って名乗る。
「知らないよ、というかあなたも魔物なの?角あるし」
黒鴉が神鳴の頭をつつく。初対面では無いが話しはしたことが無く怪しいものを見る目で聞く。
「ふふん、神様よ!」
「はぁ!?…浜松、ヤバい奴しか知り合いいないの?」
翔は頭を抱えながら謝る。
「面目ない、説明は後でするから取り敢えず玉藻とダンをどうするか話を戻したいんだが」
玉藻前とダンは恐る恐る頷く。
「元の世界にも帰れなくて困っているのであーる」
「ウチも消されてまうからなぁ…」
どうやら二人は不退転の戦いを強いられていたようだった。
「あら、味方になるならここで暮らせば?」
神鳴が軽々しく口にした事に翔達人間サイドがひりつく。
「正気?魔物と対話とか初耳だしあり得ないわ」
「なんや!信用ないんか!」
「無いわよ!黒姫二回も襲っておいて」
「ウチボコられた側なんやけど…」
事実撃退された側だが翔も頭を抱え答えを出せずにいる。
「私は許します、お二人は油断しなければ強いですし」
黒姫が二人を許すと二人は明るい表情になる。
「神鳴も黒姫も仲間に引き入れるの賛成するなら多数決で通すしかないな」
「ほんと前代未聞だわ…明日から私達敵になるかもしれないのよ?」
「んー、黒鴉は友達レベルの関わりだがそっちの組織とはライバルだしなぁ」
「ともだ…ちぃ!?敵よ!果たし状送るから覚悟しなさい!」
黒姫が携帯を操作して黒鴉に見せる。
「じゃあ姉さんその果たし状はメッセージアプリでお願いしますね」
黒鴉は額に手を当てて深い深いため息をして帰っていく。
「覚醒者どうしの交流試合でもなんでもやって今度こそプライドへし折ってやるわ!覚悟してなさい!」
「退魔士ぃ!」
神鳴がキレながら黒鴉を見送る。
「んじゃ昼飯にするか」
翔は話の締め方に困り取り敢えず昼食の作成を行うことにする。