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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
新たな神の物語
32/153

精神世界5

翔が開いた扉の先は魔法学校の展望台だった。

そこには窓越しに黒姫視点で幾つもの感情の入り雑じった光景が映し出されていた。

(神姫はこれをずっと見ていたのか…)

明るい気持ちにされる記憶を多く映す映像の端々には大体翔の姿があり恥ずかしくなる。

(さて、戻るか…)

神姫の記憶の一端を垣間見た翔は二人の元に戻ろうと次の扉に手をかけ開く。

翔の家のリビングに戻り二人が向かい合い翔が戻って来た所で報告してくる。

「私達一緒に翔君を支えるという事で合意したわ」

「俺を?神姫は友達や仲間が欲しかったんだろ?」

「…!見たの…?」

「出口を探してたらたまたまな…」

「そう…もうどうでもいいの…ワタシはあの時憧れた人になれるんだもの」

神姫は黒姫の手を取りゆっくりと消えていく。

「最初からこうするべきだったの…翔君、ワタシも愛してね?」

「あ、おい…最後まで勝手なヤツだ」

神姫が消えて黒姫が深呼吸する。

「なんだか凄く体が軽くなった気分」

「そうか、それは良かった…んで俺はどうやって帰ればいいんだ」

顔を見合わせて黒姫がニコッと笑う。

「一緒に居ます?」

「馬鹿言うなよ、人の心の中にずっといるなんて頭おかしくなりそうだ」

「残念、独り占めしたかった」

「流石に勘弁してくれ」

しかし出口がどこか分からず二人は考える。ふと翔は物置だけ何処とも繋がっていない事を思い出す。

「ん、もしかして」

物置を開き暗闇を覗き込む。黒姫も中を見て驚く。

「真っ暗ですね」

「もしかしたら出口かもな…試してみるか」

翔は落ちるように闇の中に消えていく。

「大丈夫かな…」


闇の中を落ちながら黒姫と神姫の喜怒哀楽の感情が聞こえてくる。

(二人の波長が合ったのは救いなのかな…俺もしっかりしないとな…)

そう考えていると周囲が光に包まれて意識が現実に戻ってくる。

長いこと呼吸を止めていたかのように咳き込みながら呼吸を整え目を見開く。

「げほっ、戻ってこれた?」

神楽が翔の声を聞き安堵する。

「良かった…もう何時間待たせるのよ」

翔がふと時計を見ると針は夜の十時を指していた。

「うわ、マジか」

黒姫もゆっくり体を動かし咳き込みながら声を発する。

「ごほごほ、うん?なんで濡れてるんですか…」

「封印解くの忘れてて…ごめんね」

翔が黒姫に目を移すと髪がびしょびしょになっていた。

「あ、そうだ!神楽さん戻り方教えてくれなかったでしょう!困ってたんですよ!」

翔が不満点をくどくどと伝えると何度も神楽は謝り黒姫の様子を伺う。

「それよりも黒姫は大丈夫?大丈夫そうだけど…大丈夫なら帰るね」

神楽ら逃げるように物置に飛び込んで帰っていく。

「逃げちゃいましたね」

「っち、神鳴にも問いたださないといけないこともあるが…」

「それよりも…」

黒姫が腕に絡み付いてきて翔がドキッとする。

「二人分の愛は重いですよ?」

「冗談でも程々に頼むよ…」

見える口元は笑っているが前髪の奥の瞳は笑っていないように感じた。

(半分は神鳴達と同じ神様か…今更後悔するのはアレだが滅茶苦茶怖い)

とりあえず一件落着であるが面倒なので翔は黒姫の中の神様は秘匿することにした。

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