リターンマッチ2
換金しなかなかの額になったことを喜ぶ翔達は昼の食事を豪勢にしようかと思案していると役所前にわらわらと餓鬼が沸いて出てくるという状況に出会す。
「敵!?こんなに出るなんて…」
「神鳴は不在のはずなんだがな」
奇妙な光景に困惑しながらも二人は武器を取り戦う。
その様子を建物の裏で玉藻前と色白で細身の男が眺めていた。
「あんなに手下を使ってどうするであるか?」
「手下?ちゃうちゃう、獲物欲しそうなそこらの奴らを片っ端からスカウトしてきただけやから」
「中々に外道であるな、身内も消耗品であるか」
「ウチやて仲間は大事と思っとるで、でもあれらは全方位に迷惑かけるタイプやからな」
ぼこぼこにされている餓鬼を見ながら玉藻前が言い放つ。
「我輩達吸血鬼には分からないである」
「西洋にはおらんのか?ああいう自己中な輩は」
「統率の取れない小物はすぐに淘汰されるものである」
「ほんまかぁ?まぁええわ」
二人がそんなやり取りをしていると餓鬼が尽きてしまった。
「嘘やろ?ちょっちはやない?」
「勿体無い奇襲であったな、夜まで待つあるよ」
「せやな…やりおるわ」
餓鬼を一通り退治して息を切らせながら異様な状態について黒姫と話し合う。
「全部仕留めた?何だったんだ?」
「分かりません、神鳴か姉さんか…」
「どちらにしても賞金の足しになったぞ、喜ぼう」
「そ、そうですね…なんだか上手く話が進みすぎてる気がしますが」
気にするなと笑う翔に不安を隠しきれない黒姫。
「いやー賞金で懐がホクホク、高級料理も行けるぞ」
「翔君、ラーメン食べたいです」
「ラーメン…!?なんでまた」
「外で食べたことなくって…ダメですか?」
「いや、いいけど…余った金で課金するか新作ゲームでも買い漁ろうかな」
要求が通った黒姫はニコニコと翔に連れられて食事に向かった。
「なんであんなに楽しそうなんや!おのれー!」
玉藻前が吸血鬼の襟首を掴み揺さぶる。
「し、知らないであるよ!落ち着くである」
「あれでめちゃくちゃ強いのほんま許せんわ」
「玉藻殿が弱かったのでは?」
「あぁん?今ここで殺ったろか?」
物凄い形相で睨まれ吸血鬼は怯む。
「冗談であーる、監視は続けるである」
「他人のデートなんか見たくもないんやけど…」
「我慢、怒りは本人にぶつけるであーる」
玉藻前は舌打ちして我慢しながら夜を待つことにする。