魔石の使い道
帰宅した翔達を不機嫌な神鳴が出迎える。
「なんで私ハブられてるのかしらねー」
「だってお前戦えないし…」
涙目になりながらポカポカと叩いてくる。
「私だって相手の動きを止めたりサポートできるんだからねぇ!」
(そういえばそんな芸があったな…)
「…で?いくらになったの?」
神鳴がお金の話になり目の色が変わる。
「黒姫の買い物で飛んだ分差し引いて二万くらい増えたぞ」
「あらま、結構儲けたんじゃない?」
「魔石も結構デカかったし、最後の骨なんて図体もデカかったからな」
神鳴が首を傾げて呟く。
「複数出たの?また組織的な介入かしら…」
「全員仕留めたから理由は分からないな」
「兎に角これからは気を付けないとね」
黒姫の作った晩御飯を三人でつつきながら翔がとある疑問を呟く。
「換金に使った魔石って何に使われるんだ?」
「さぁ?知らなーい」
素っ気ない返事の神鳴とピタリと動きが止まる黒姫、何やら秘密がありそれを知っているようだった。
「そういえば黒姫の姉さんは魔物召喚に使ってたな」
「…新しいエネルギー源として、または兵器転用として使われているって姉さんは言っていたわ」
「召喚使役する事で兵器転用か…というかエネルギーとして何か抽出できるのか」
パクパクと食事を取りながら納得する。
「召喚するか金にするか…そういう意味では魔石を収集して軍団も作れそうだな!はは」
自分で言って兵器転用の危険性に気付く。
「今日倒したのを解き放つの!?やべーじゃん!」
「…そうですよね、姉さんは個人で購入して召喚してましたし国家がそれを始めたら世界が滅びます」
「魔石売らないと金にならない…売ったら売ったで兵器としてどこかで使われる可能性が」
深刻な事になっていると顔面蒼白の翔を神鳴がへらへらしながら言う。
「気にしたら負けよ、どうせ一度は勝った相手…つまり余裕」
「いや、個々に相手する訳じゃなくなるから余裕にはならんやろ」
冷静にツッコミを入れるも楽観的にしている神鳴に翔が尋ねる。
「やっぱり何か知ってるな…」
「大丈夫!馬鹿とハサミは使いよう、設定から賢者はしっかりした作戦を用意するわ!」
「こいつ自分を賢者とか抜かしおる、しかも設定って…」
「神鳴の自信満々の大丈夫は不安でしかないわ…」
翔のツッコミに黒姫ものってくる。
「ふーんだ、じゃあ教えないもん」
「エネルギーか兵器か…それ以外にあるか?」
「ある意味不死で非人道的なことをしても問題ないのよ?奪われたら逆に使われるのに兵器なんかに簡単に使えないわよ」
魔物は死ねば魔石になり魔石を解放すれば魔物に戻る、神鳴の言うとおり簡単に転用はできなさそうであった。そして出した答えを高らかに叫ぶ。
「無限サンドバッグでトレーニングよ!」
「…うわ、くだらねぇ」
「発想が外道ですよ」
二人のドン引き具合を見て神鳴が残念そうにダメかと呟く。
(だが黒鴉は実際召喚して試験に使おうとしていた…個人的な話になれば危険なのは変わらないか…)
翔はこれからの不安を胸に抱きつつ食事を終えるのだった。