エピローグ
時は…やっぱりそんなに流れず学校を無事卒業して結局仕事先はコネによる神藤の会社、その勤務初日…
「無事に戦いも終わりめでたしめでたし…さぁこれからは社畜人生だな!」
竜司に呼び出された翔は辟易とした様子で話を聞かされる。
「義父さんは悲しいぞ?入社初日からそんな疲れきった顔するなんて…」
「いえ、呼び出されて何事かと思ってるだけですよ」
結婚はまだだが面倒な義父が出来たとため息をする。
「まぁ安心したまえ、最初は簡単な仕事というより学習がメインさ!ははは…ところで」
スッと竜司は真面目な表情になり翔に緊張の糸が張られる。
「黒姫と二人で実家を離れて同棲生活…何も問題はないよな?」
翔はガクッと崩れて苦笑いしながら答える。
「大丈夫です、普段通り…」
「普段通りだと!不埒な!」
「あんたの普段って不埒なのかよ!」
ノータイムでツッコミをする翔に不服そうではあるが竜司は再度釘を刺す。
「ぐぬぬ、娘を奪われた心の痛みと孫の顔が見たいという欲求の二律背反に苛まれる…まだ、まだ結婚式までは…ダメだぞ」
「古風ですね…いや、分かってますよ?」
翔は呆れながら竜司の苦しむ演技を見つめていると部屋にノックと同時に焦った表情の黒鴉が飛び込んでくる。
「お父様!失礼します!天文台から緊急連絡が来てます!」
竜司はまだ話したりない様子だったが仕方なく立ち上がり「ではまた」と言い残して去っていく。
黒鴉が翔を睨みつけた後、意味深な愉悦の笑みを浮かべる。
「愚かな義弟よ、こき使ってやるから感謝なさい」
「あ、結婚は認めているんだ」
「うっさい!」
顔を真っ赤にした後フンと鼻息荒くして黒鴉も出ていく。
こうして救世の英雄は一般人の社畜として生きていく事になるのだった…
―――
社長室に籠り電話を受ける竜司は天文台と呼ばれる社内組織からの報告を受けて深刻な表情をする。
「そうか、遂に防壁が…最後に残した禍根が…わかった警戒レベルを上げるとしよう」
通話を切り窓の前に立ち呟く。
「いずれは破られる…分かっていたが、遂にか…いや、今だからこそか?神の召集と対策を練らねばな、二人の晴れ舞台を邪魔させるわけにはいかん」
消滅させなかった上位世界が切り離したこの世界に魔の手を伸ばす、その兆候を察知した竜司は決心した様子で各所に連絡を行う事にするのだった…
To Be Continued.