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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
守るべきモノ
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神の下僕は世界を救いたい13

神と人の戦争状態に陥っている地下研究施設の中で神楽は神の主たるアーキタイプを目指そうとするも逃げ惑う研究員や防衛線を敷く警備隊に阻まれ先に進めなくなっていた。

「参ったわ…こうなってしまってはどちらかが滅ぶまで終わらないんじゃないかしら…」

物陰に隠れ独り言を呟き様子を窺う。

冷や汗を流しながら次の手を考えていると突然何者かが神楽の横を一瞬で横切り防衛線に向かって一直線に駆け抜けていく。

(誰!?神かしら…速すぎて止められなかった)

飛び交う銃弾を瞬間移動のような身のこなしで避け遂にバリケードを越えて警備隊に無骨なデザインのブレードで切りつける。

「アルバートはどこだ!?」

誰も居場所のわからない室長を求め無心で暴れる男を止めようと神楽は声をあげる。

「も、もうやめなさい!無抵抗じゃない」

男は振り返り神楽を睨む。

その姿形に見覚えのある神楽は驚き困惑する。

「翔君!?なんで!?」

時間を逆行して無かった事にしたはずの遺体からデータを抽出して作成された名も無き神だった。

「誰だ…邪魔するな」

神楽は後退りしながら彼の存在理由を考察する。

(私がわからない…記憶は無いの?でもアルバートは知ってるようだし…でもなぜ存在するの?)

逃げ出した警備には目もくれず神楽を攻撃しようと剣を構え走り出す。

「危ない!」

神楽の背後から光の球が飛来して無名の神を牽制しようとするが触れると同時に消失する。

「効かない!?」

神姫が神楽を押し退けて庇うように手を広げる。無名の神は神姫を見て頭を押さえて苦しみだす。

「ぐぅ、君は…俺はぁ…!」

「翔さん、ワタシは神姫、思い出せますか?」

神姫はゆっくり近付き精神治癒を試みるが送り出した力がかき消されていることに気付く。

「ダメ…神の力が通用しないみたいです…」

「もしかして神鳴の時間操作を受け付けずに存在が消えなかったのね…」

神姫は貰った指輪を見せてみる。

「神姫…?俺は…酷く頭が痛む…」

神楽が理性を取戻した神に改造された翔に説明する。

「死んだ肉体を使って神にされたのよ…アルバートへの憎しみだけは消えなかったみたいね」

「…そうか、死んだのか…玩ばれ…黒姫は?」

「安心して、神鳴の力で翔君の死は無かった事になったわ、貴方は自身の力で消えずに残っちゃったみたいだけど」

神楽の言葉に落ち着きを取戻し二人に感謝する。

「ありがとう、俺は居てはいけない存在なんだな…っは、アキトさんみたいだな…」

逃げ出した警備隊が再集結して武装を改めてやってくる。

「不味いな!取り上げる逃げよう」

翔は二人を脇に抱えて逃げ出す。

「我ながら凄い身体能力だな…」

アルバートの研究室まで戻って来てしまった神楽がため息をつく。

「振り出しね…皆を何とかして止めないと…」

焦燥する神楽の思いに答えるかのように館内放送が鳴り響く。

「哀れな神共、抵抗を止めて大人しく言うことを聞け、今ならまだ懲罰程度で許してやる」

アルバートの声に神楽が驚く。

「嘘でしょ!?死んだんじゃないの?」

黒姫の一撃で絶命に至らなかったのか元気そうな声だった。

「…まさか俺にしたことを自身でやったんじゃないか?」

意識のある内に自身を改造したのではという翔の意見に答えるようにアルバートは続ける。

「僕は神となった!無駄な抵抗は止めるんだな!」

「あらま、ほんとね、自我あるから神でも攻撃されないのかしら?」

翔の予想が的中した事に面倒臭い事になったと感じながら神楽は苦笑いする。

「翔さん、どうしましょうか?」

神姫の言葉に翔は首を横に振る。

「例え和解の道が示されているとしても…俺は奴を切る、二人は大人しく隠れていて欲しい」

「御武運を、お帰りお待ちしております」

翔は一人飛び出して行ってしまう。

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