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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
守るべきモノ
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神の下僕は世界を救いたい8

神楽の部屋に急行して武器を授かる。

「ありがとうございます、助かります」

「頼られるのって凄く気分がいいの、気にしないで」

焰鬼と氷雨の二本を手に取る。

黒姫は翔が刀を装備する様子を見て驚き納得する。

「それで神螺を制圧したんですか…ループ前は酷い惨状だったのに」

「今回も手早くね、サクッと叱って来るよ」

黒姫を置いてさっさと行ってしまう。

残された黒姫は神楽の鞄をチラッと見てウズウズする。

「あらあら、ふふ、黒姫ちゃんも翔君みたいに戦えちゃうのかしら?」

「私は…自重します、私は器用じゃないから…」

神楽は黙って鞄を開き黒姫にナイフを手渡す。

「今使わなくても…きっと必要になる時が来る…私はそう思うの」

「先生…あ、違っ…忘れてください」

デスを受け取った黒姫は癖で呟いた失言を何とか誤魔化そうとする。

「私の方が実質年下よ?先生だなんて…」

「あはは、そうでしたね…」


神斎の研究室周りでは警備隊が銃撃で通路に湧き出した鬼を相手していた。

物量に押されじり貧になる警備隊の後ろまで来た翔が刀を握り気合いを入れる。

「ここは任せてください、鬼かー八坂と一緒に倒したのが懐かしい」

焰鬼を引き抜き昔を思い出し笑う。

「研究員の君に何が…!?」

警備隊が制止するのを振り切りズバズバと手早く焰鬼と連携して道を切り開いていく。

「アイツも化け物かよ…」

転がる魔石に気を付けながら血で染まった廊下を駆け抜けていく。

研究室の前まで無休で辿り着きそこで一息入れる。

「さてと、アキトさんみたいに行けるかな?」

氷雨に持ち替えて深呼吸してから中に入る。

堂々と正面から現れた白衣の剣士に神斎は手を叩いて賞賛する。

「見てよ母さん!あれが猪武者ってやつ?」

葛之葉も隣にいるのを見て翔は神斎を叱る。

「研究員がどんなに不遜で弱々しくても面倒事は起こすもんじゃないぞ神斎、葛之葉さんも何か言ってやってくださいよ」

「なんで母さんの名前知ってんの?ウザいよお前」

神斎は指を弾く動作をして転がっている椅子を飛ばしてくる。

咄嗟に回避して尚も説得する。

「サイコキネシスだっけ?念動力?タネバレてんだ、抵抗するな」

「神通力ですよ」

葛之葉も小さな瓦礫を飛ばしてきて翔は驚きつつ刀の鞘で弾く。

「…やる気か?大人しくは引いてくれないか」

翔はしっかりと刀を構えて深く息を吸う。

「人間ごときがちょっと出来るからって調子に乗るなよ!」

「生意気坊主には折檻かお灸か…」

翔は二本の刀を握り焰鬼と氷雨を呼び出す。

飛び交う物品に時に氷柱を合わせて打ち出し時に焰鬼に迎撃させて一気に距離を詰め能力の源であろう鍵の葛之葉を狙う。

「狙いは母さん!?貴様ぁ!」

氷雨が葛之葉の首に氷の刃をかざし人質にして焰鬼を戻し空いた手で抵抗できない神斎にげんこつを見舞う。

「母を大事に思うならこんな無茶はするな、研究員が知ればどうなるか分かっているのか!?」

「人質にするなんて卑劣な!」

「俺の目が黒いうちは手は出させない、だからお前も暴れるのはやめて嘘でもいいから皆に謝れ、さもなくば…」

神斎は悔しそうに歯軋りするが大事な義母を失いたくないと翔に「約束だぞ!」と念押しして攻撃をやめさせることに成功する。

突入してきた警備隊達は大人しくなって謝る神斎を信じられないものを見る目で見つめ翔も神斎の行動に便宜を図るよう頭を下げる。

それから暫くは嘘のように協力的になった神斎に研究員一同が驚く事になる。

カフェテリアで翔は黒姫と神斎の顛末について語り疲れた顔をする。

「…ながらよく説得出来たと思うよ…」

「噂になってますよ?無名の研究員が化け物薙ぎ倒したって」

「正直戦闘になったら目立つよなぁ…まぁ結果良ければなんとやらさ」

翔は紅茶を啜って渋い顔をして不味いと呟くのだった。

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