神の下僕は世界を救いたい5
神螺の暴走後今後の方針の変更を余儀なくされる。
翔の努力と功績は全てアルバートが吸ってどんどん発言力はつよくなっていた。
そんな事は関係ないと普段通り神楽の世界の構成について二人で話し合っているとアルバートが新人を紹介する。
「K!君の後輩となる人だ、教育など任せるよ」
翔は適当に返事して新人が部屋に入ってくる。
新人の顔に見覚えがあった、今一番殴りたい相手だった。
「あの、宜しく…あ、えっと…お願いします」
反応を見て十中八九本人だろうと感じて翔は渋い顔をする。
「っち」
「し、舌打ち!?」
半泣きになる黒姫に翔がわざとらしく自己紹介する。
「翔だ、よろしく」
「あ、あの…自己紹介…いります?」
明かに機嫌の悪い様子の翔に小動物のように怯えながら尋ねる。
「あ?お前が俺の知ってるヤツならまず言うことあるだろうが」
「どうしてここに…じゃなかった、ごめんなさい」
黒姫の謝罪の言葉を聞いて翔はため息をつく。
「どうしてはこっちの台詞だ…なんで約束を違えた?」
神楽が二人のやり取りを見て目を丸くする。
「お二人はどういう関係?」
「おともだち」
翔がにこやかに答え黒姫が何度も謝る。
「根深い問題があって…神の未練を断つ必要があると」
「せめて一言寄越せ、凄い気苦労あったんだぞ…」
二人の口論を見て神楽がニコニコ笑う。
「あらあら、仲が良いのですね…神鳴が嫉妬しますよ?」
黒姫が神鳴の名前を聞いて驚く。
「え!?そんな…神鳴はまだ名前の無いはず」
「すまん、俺がぐちゃぐちゃにしてるみたいだ」
翔はこれ迄の話をすると黒姫は想定外の事態になっていて開いた口が塞がらなくなる。
「既に正史から大分外れちゃってます…どうしましょう」
「未練を断つってこの世界を守るんじゃないのか?」
「違うと思います…言葉にするのが難しいのですが」
翔は少し考えるが黒姫が答えられないのではどうすることも出来ないとして今後の研究を待つしかないと結論付ける。
「K、相談がある、研究室にきてくれ」
スピーカーでお呼びだしがかかり黒姫に後は任せてアルバートに会いに行く。
「ああ、K、助かる、またアドバイスが欲しいんだ」
新規プロジェクトの資料を見せてくる。
「前回の暴走でやはり上層部は見切りをつけようとしているんだ!」
資料を手に取り神華と神斎についての記述がある。
資料には子供をモデルにしているのを見て翔が正史に合わせる。
「神華なんだが子供は神鳴の前例があるし成功している神楽に近いモデルにした方がいいんじゃないか?」
「成る程…神斎は?」
「データパターンとして男児は必要と思うな…精神的に未熟だしサポートは必要と思うが空想生物のコンセプトなら年相応で丁度いい気もする」
アルバートは翔の手を取り貴重な意見に感謝をする。
「みな世界の監視に躍起になって開発部が人員不足でな、本当に助かる」
「神とは言え人と同じ精神構造だ、無理をさせないように頼む」
翔の言葉を不思議そうに聞き入れ新しい神の作成に注力することとなる。